2022年は急激な円安などの影響で値上げラッシュが続いた輸入車ですが、その中でも売れなくなった車とそれでも売れた車は何が違うのでしょうか?

2022年値上げしたことで売れなくなった車とは?

2022年は輸入車の値上げラッシュが続きましたが、その中でも一番値上げによる影響で売れなくなった車の代表格はジープのようです。

前年対比で販売台数が60%代しか売れなかったということはざっくり2021年と比較すると2022年は半分近い台数しか売れなかったということになります。

例えば、ジープの売れ筋であるジープ ラングラーの場合で6月に23万円の値上げを行い、その2カ月後にすぐさま103万円もの大幅値上げを行いました。

さすがに元々700万円前後の車がある日を境に100万円も値上がりすれば値上がり前の価格を知っている顧客からすれば購入を躊躇することは当然です。

次に売れなくなった車の代表格はプジョー。

2022年に4回も値上げをしたことが響きました。

年間4回ということは3ヶ月ごとに値上げしたことになりますので、こちらもジープ同様に値上げ前の車の価格を知っている顧客からすれば馬鹿らしいと思われてしまうことになります。

それでも2021年対比で70%代の販売台数を維持することが出来たのは、ジープよりも比較的車両価格が安い価格帯の車が多いことがジープほどの落ち込みを招かなかったということでしょうか?

次に大きく販売台数を減らしたのがアルファロメオ。

こちらも2021年対比で70%代と苦戦したブランドになります。

こちらも例えばジュリア クアドリフォリオを一気に44万円も値上げしたことが原因の1つかもしれません。

アルファロメオの場合もプジョー同様に昨年対比70%程度の販売台数になってしまいましたが、プジョーと違う所は年間販売台数がブランド全体でも年間2000台程度のブランドなので前年対比で30%減でもそもそもの販売台数が多くないので影響は軽微かもしれません。

2022年値上げして売れた車は?

2022年に値上げしたことで大きく販売台数を減らしたブランドがあったのに対して、値上げしたにも関わらず2022年に半台数を増やしたブランドもあります。

  • ランボルギーニ:124.9%(数字は前年比。以下同)
  • フェラーリ:115.1%
  • ルノー:112.4%
  • ベントレー:108.3%
  • アバルト:106.3%
  • BMW MINI:105.5%
  • キャデラック:104.3%

ランボルギーニやフェラーリの場合は超高級車ですので多少の値上げでも購入したい人は購入してしまう特殊な車であるということが販売台数が増えた理由だと思いますが、もう1つは2022年に販売した車の多くは2021年に受注した車であるということも理由だと思います。

ランボルギーニやフェラーリの納期は1年とか2年とか平気でかかりますので、ここでは少し例外です。

恐らくはベントレーもランボルギーニやフェラーリと同様の理由と思われます。

不思議なのはルノーの販売台数が増えていること。

ルノー トゥインゴとマツダ ロードスター(ND)の新車の納期を聞いてみた

ルノーの一番の売れ筋はトゥインゴだと思いますがこちらの記事でもお伝えしている通り、トゥインゴも納期が非常に長い車になりますので、恐らくはフェラーリやランボルギーニ、ベントレーと同様に2021年に受注した車が順次納車された感じだと思います。

2022年4月の値上げでアバルト595コンペティチィオーネは450万円に!

アバルトも2022年に大幅に値上げをした車ですがこちらも販売台数が増えている不思議な車です。

アバルト595は元々ベースグレードが300万円で販売される車ですが、現在は一番価格が安いモデルでも350万円程度とグレード構成が変わっているので純粋な値上げではありませんが実質的には大きく値上げを行っています。

それでも前年対比で販売台数を増やすことが出来たのは、アバルトのライバルとなるような車が存在しないことが理由の1つだと思います。

2023年頃電気自動車版アバルト595eが発売開始か?

またアバルトは車好き、特にマニュアルトランスミッションが好きな人が購入する車ですが間もなくアバルト595のEV版が発売されることが決まっています。

要するに、ガソリン車、6速MT車のアバルトがいつまで購入出来るか分からないので、今のうちに購入しておこうという人が一定数2022年に購入したのではないか?と思われます。

2022年のメルセデス・ベンツ、アウディ、BMWなどは売れたの?売れなかったの?

輸入車の御三家と言えばメルセデス・ベンツやアウディ、BMWなどのドイツ車だと思いますが、これらのブランドの売れ行きはどうだったのか?

メルセデス・ベンツはほぼ前年対比で100%の販売台数を確保しているというのはさすがにブランド力が強いということでしょうか?

メルセデス・ベンツもそれなりの値上げや新型の価格改定による実質値上げがあったにも関わらずこの成績は立派というしかありません。

それに引き換えBMWは前年対比で約15%減という感じになっていることを考えるとメルセデス・ベンツの検討ぶりが分かると思います。

BMWとメルセデス・ベンツの違いはメルセデス・ベンツの場合は高価格帯から低価格帯まで幅広い車種が売れたのに対して、BMWは3シリーズ以下の車両が強く高価格帯の車があまり強くないのが原因だと思います。

メルセデス・ベンツのSクラスなどは元々の車両価格が高いので購入する人は多少の値上げでも購入しますが、BMWの場合は3シリーズ、2シリーズなどの比較的安い価格帯がメインなので少し値上がりで販売台数に影響が出るのでは?と考えられます。

最後にアウディですが御三家の中では日本は久しく苦戦しているイメージがありますが前年対比で約10%減と軽微な影響しか受けていません。

アウディの影響が軽微だった理由はよくわかりませんが、最近力を入れているBEV(バッテリー式電気自動車)の販売が影響しているのかもしれません。

2022年に値上げラッシュが続いた輸入車業界ですが、各ブランドごとに明暗が分かれたのにはそれぞれ理由があります。

高額な車は値上げでも売れるし中低価格の車は値上げの影響を受けやすい。

また代替えが効かないスーパーカーや趣味性の強い車も値上げの影響が少ないということになりそうです。

2023年になってから急激な円安から円高に逆戻りする傾向が見えますが、値上げラッシュの代わりに値下げラッシュになるのか?

2023年に輸入車を購入する際には値下げ情報に敏感になっておくことが必要なのかもしれません。

【引用・参照元】