2026年にBMWが販売するマニュアルミッション車は、いよいよ「数えられるほど」になってきました。
Z4の生産終了が決まり、クラッチペダルを踏めるBMWは、事実上M部門の限られたモデルだけに絞られつつあります。
かつては3シリーズや1シリーズでも当たり前に選べた3ペダル仕様が、今や希少な存在になっている現状を、寂しさと同時に時代の流れとして受け止めざるを得ません。
本記事では、2026年時点で新車として購入できるBMWのマニュアル車と、その背景にある市場環境や技術的な事情について、私なりの考察と感想を交えて整理していきます。
❗️記事3行まとめ
✓BMWでまだ買えるマニュアル車はどれか
✓M2・M3・M4のMTはいつまで選べるのか
✓DCT消滅とAT進化がBMWの未来を決める
2026年に買えるBMWのマニュアルミッション車とは?

2026年時点で新車としてマニュアルミッションを選べるBMWは、多くの方が想像している以上に限られています。
まず押さえておきたいのがロードスターのZ4です。
Z4はファイナルエディションをもって2026年春に生産終了が予定されており、その短い期間だけ6速マニュアル仕様を新車で注文できます。(日本は未発売)
そのZ4がラインアップから消えた後、クラッチペダルを備えるBMWはM2、M3、M4というM部門の3モデルだけになります。(日本ではM3/M4のMTの販売は終了)
この3台のうち、もっとも現実的な選択肢になるのがM2 G87の6速マニュアルです。
Mモデルの中で比較的手が届きやすく、「最後の3ペダルBMW」として語られる理由のひとつになっています。
一方でM3 G80とM4 G82にもマニュアル仕様は残されていますが、選べるのは後輪駆動のベースグレードのみで、M3ツーリングやコンペティション、xDrive仕様はすべて8速AT専用です。
こうした条件を踏まえると、2026年に「マニュアルのBMWが欲しい」と考えるなら、実質的にはZ4ファイナルエディションとM2・M3・M4のベースグレードという、ごく限られた候補から選ぶことになると私は感じています。
なぜBMWはマニュアルを減らしているのか?

販売比率の極端な低下
BMWがマニュアルミッションを減らしている最大の理由は、世界的に見て「売れないから」です。
とくにM3やM4クラスではマニュアルを選ぶユーザーがごく少数で、地域によっては販売比率が一桁台と言われます。
メーカーからすれば、開発や認証のコストをかけてまでマニュアルを残しても回収しにくく、ラインアップ整理の対象になっていくのは自然な流れだと私は感じます。
CO2規制と電動化のプレッシャー
同時に、CO2排出規制と電動化シフトのプレッシャーも無視できません。
各メーカーはフリート全体のCO2排出量を下げるため、ハイブリッドやEV、高効率なAT制御の開発にリソースを集中させています。
マニュアル車はドライバーの操作で燃費や排出量が変動しやすく、試験条件に合わせ込みやすいATと比べると規制対応で不利です。
限られた開発リソースの配分を考えれば、マニュアルより電動化や高効率ATを優先する判断は妥当だと私は考えます。
M2が“BMWマニュアルの象徴”と呼ばれる理由

Mモデルの中で最もMT購入比率が高い
M2が“BMWマニュアルの象徴”と語られる背景には、M3やM4と比べて圧倒的に高いマニュアル選択率があります。
M3やM4ではAT需要がほとんどを占め、MTは一部の熱心なユーザーが選ぶだけの存在になっています。
一方、M2は車両価格やキャラクターの性質上「走りを自分で操りたい」と考える層が集まりやすく、MT需要が他のMモデルより明確に残っています。
BMWがM2のMT設定を維持しているのは、単に伝統だからではなく、実際に選ばれる比率が比較的高いからだと私は考えています。
コンパクトFRの特性がMTと相性抜群
M2はM3やM4と同じS58エンジンを搭載しながら、ボディサイズは一回り小さく、走りのキャラクターはより原始的でダイレクトです。
この“扱いきれるパワー感”と“FRの素直さ”が6速マニュアルとの相性をさらに高めています。
私はこの車の設計思想こそ、BMWが長年掲げてきた「駆けぬける歓び」をもっとも純粋な形で表現しているように感じます。
MTで操る楽しさを実感できるパッケージであることが、M2が象徴的な存在と言われる理由の一つだと考えています。
DCTはなぜ消え、トルコンATが残ったのか
DCTの弱点が明確になった時代背景
DCT(デュアルクラッチトランスミッション)はかつて“最速の変速機”として脚光を浴びましたが、街乗りでは低速のギクシャク感やクラッチ損耗の課題がありました。
年々高度化する安全支援システムとの協調制御も難しく、DCTを維持するための開発リソースは増える一方でした。
結果として、幅広いユーザーに対応するにはDCTはやや尖りすぎており、BMWが採用を縮小していったのは必然だったと私は考えています。
トルコンATの進化がDCTの役割を奪った
一方、BMWが採用するZF製8速ATは進化を重ね、変速速度・滑らかさ・耐久性のすべてが飛躍的に向上しました。
現行のATは「速さ」という点でもDCTに匹敵するレベルに達しており、一般走行からサーキットまで一台でこなせる万能型に近づいています。
私自身も近年のATを体感すると、もはやDCTである必要性をあまり感じません。
ユーザーの幅を考えると、BMWがATを主軸に据える判断は非常に合理的です。
2026年以降、BMWマニュアル車はどうなる?

2026年を過ぎても、BMWのマニュアル車がすぐに消えるわけではありません。
M3 G80とM4 G82は、次期型M3 G84の登場が2029年頃と予測されているため、現行モデルの生産はおおむね2029年頃まで継続される見通しです。
つまり、M3/M4の6速マニュアルはあと数年は選べる可能性が高いと言えます。
一方で、M2 G87はM3/M4よりも後に登場したモデルであり、次期型に関する情報もまだ不透明です。
そのため、M2は2029年以降も販売が続く可能性が高く、結果的に「最も長くマニュアルを選べるBMW」になると私は考えています。
規制強化や電動化の流れの中でMTは徐々に縮小していきますが、今後しばらくはM3/M4、そしてさらに長期的にはM2がマニュアル最後の砦として残り続けるでしょう。
まとめ:BMWのマニュアルミッションは2026年が分岐点になる
2026年は、BMWのマニュアルミッションが大きな転換期を迎える年になります。
Z4が姿を消し、M3やM4のマニュアルは次期型で消滅する可能性が高い一方、M2は“最後の3ペダルBMW”として象徴的な存在になり続けるでしょう。
市場の変化や技術革新がマニュアルを追い込む一方で、操る楽しさを求めるユーザーは確実に存在します。
そうした需要が完全に途絶える前に、マニュアルBMWを選べる機会は確実に減っています。
2026年は、マニュアルを愛する人にとって一つの判断基準となる年だと私は考えています。
Reference:bmwblog.com
よくある質問(FAQ)
Q1.BMWでマニュアルを選べるモデルはどれですか?
2026年時点で新車としてマニュアルミッションを選べるのは、Z4ファイナルエディション、M2 G87、M3 G80、M4 G82といったMモデルが中心になります。その中でも、長期的にマニュアルが残る可能性が高いのはM2だと考えています。
Q2.なぜBMWはマニュアル車を減らしているのですか?
世界的にマニュアル車の販売比率が低下していることに加え、CO2規制強化や電動化シフト、安全装備との協調制御などが理由です。マニュアル専用の開発や認証にコストがかかるため、限られたモデルにだけ残す方向に整理されていると考えます。
Q3.M2が“BMWマニュアルの象徴”と言われる理由は?
M2はM3やM4よりもコンパクトで扱いやすく、FRスポーツらしいダイレクトな走りと6速MTの相性が非常に良いモデルです。MT選択率も比較的高く、将来的にももっとも長くマニュアルが選べるBMWになる可能性が高いため、「象徴」として語られやすいと感じています。
Q4.DCTが消えて、トルコンATが主流になったのはなぜですか?
DCTは変速の速さが魅力でしたが、低速域のギクシャク感や制御の難しさが課題でした。一方でZF製8速ATは変速速度・快適性・耐久性が大きく向上し、サーキットから街乗りまで高いレベルでこなせるトランスミッションに進化しました。その結果、総合性能でATが“最適解”になったと考えています。
Q5.これからBMWのマニュアル車を買うなら、いつまでがチャンスですか?
M3 G80とM4 G82は次期M3 G84の登場が2029年頃と予測されているため、現行型のマニュアルはあと数年は選べる可能性があります。M2 G87はさらに長く販売される余地がありますが、規制強化の流れを考えると「欲しいと思ったときが最後のチャンス」になり得ると私は感じています。






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