BMWが、ドリフトの開始をサスペンション側から支援する技術を特許出願しています。一般的なドリフトでは、駆動力やブレーキ、荷重移動によって後輪のグリップを失わせますが、今回の技術はリアタイヤにかかる荷重そのものを一時的に減らすという発想です。単なるドリフト補助機能として見るだけでなく、BMW Mが進める電動化や車両運動制御との関係まで含めると、今後につながる興味深い技術が見えてきます。
- ✅️BMWのドリフト支援特許は後輪荷重を減らす技術
- ✅️技術の核心はタイヤのグリップを制御すること
- ✅️特許出願のみで市販車への採用は未定
BMWが出願したドリフト支援特許とは
BMWがドイツ特許商標庁に出願したのは「ドリフト操作の開始を支援するための車両制御方法」に関する特許です。出願番号は10 2025 106 033.9、公開番号はDE102025106033A1。2025年2月18日に出願され、2026年8月20日に公開されました。
出願者はBayerische Motoren Werke AG(BMW AG)で、現在は出願手続き中です。特許の成立や、この機能を搭載した市販車の登場が決まったわけではありません。BMWがドリフト開始を支援する制御方法を特許出願している段階です。
サスペンションで後輪を滑らせる仕組み
駆動力を増やすのではなく後輪の荷重を減らす
今回の特許で特徴的なのは、大きな駆動トルクを与えて後輪を空転させるのではなく、リアアクスルにかかる荷重を一時的に減らしてドリフトを開始しやすくする点です。
サスペンションを瞬間的に動かして後輪にかかる荷重を減らし、タイヤのグリップを一時的に弱めます。通常なら強い駆動力が必要な場面でも、後輪が滑り出しやすくなり、少ない駆動力でドリフトへ移行できる仕組みです。
車両の状態を見ながらドリフト開始を支援する
制御は単純にリアを跳ねさせるだけではありません。車速や車両の進行状態、ステアリング操作などを利用し、ドリフトへ移行する状況を判断する構成も想定されています。ドリフト開始時だけグリップの限界を下げ、従来とは異なる方法でオーバーステアへ移行させます。
なぜBMWはそこまでドリフトを重視するのか
BMW Mは以前からドリフトを単なる余興として扱っていません。M3やM4などには、後輪のスリップ量を段階的に調整できるMトラクション・コントロールが用意され、M xDrive搭載車では前輪への駆動を切り離して後輪駆動にできるモデルもあります。さらにドリフト角度や時間などを記録・評価するM Drift Analyserも採用されています。
2026年の「AREA M」でも、M2を使ってドリフトを学ぶプログラムやGames of Driftが用意されています。つまりBMW Mにとってドリフトは、一部ユーザー向けの機能である一方、後輪駆動を基礎とした車両コントロールや「操る楽しさ」を分かりやすく表現する要素でもあります。今回の特許も、その延長線上に位置する技術と見ることができます。
この特許は本当にドリフトだけの技術なのか
注目したいのはタイヤ荷重を能動的に変える考え方
特許の目的として明記されているのは、あくまでドリフト開始の支援です。ただし技術そのものを見ると、興味深いのは「ドリフト」よりも、サスペンションを使ってタイヤにかかる荷重を瞬間的に変化させるという考え方です。
現在の車両運動制御では、エンジンやモーターのトルクを減らしたり、特定の車輪へブレーキをかけたりすることで車両姿勢を安定させる方法が広く使われています。今回の特許では、それらとは別にタイヤが発揮できるグリップ側へ働きかけています。
サスペンションが車両の動きを作る装置になる可能性
サスペンションは乗り心地や車体姿勢を整えるだけでなく、タイヤの接地荷重を通じて車両の動きにも影響します。その荷重を電子制御で積極的に変えられれば、車両運動を作るための新たな制御要素になります。
今回の出願が別の機能を開発するための基礎研究だとする事実は確認されていません。ただ私は、ドリフト開始だけに注目するより、駆動力やブレーキとは異なる方法でタイヤのグリップを制御する技術として見る方が、今後の可能性を考えるうえでは重要だと思います。
EV化でこの技術の意味はさらに大きくなるのか
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次世代BMW Mは4モーターで各輪を個別制御する
BMW Mは2027年から、ノイエ・クラッセをベースにした完全電動Mモデルを投入します。BMW M eDriveは4つのモーターを備え、1輪を1つのモーターで駆動。M専用のBMW M Dynamic Performance Controlが各輪のトルクと出力を個別に制御します。
前輪側の駆動は完全に切り離すこともでき、四輪駆動のトラクションとBMW Mらしい後輪駆動特性を両立させます。電動化後もコーナリングや限界領域の車両コントロールはMの重要な開発テーマです。
駆動トルクとタイヤ荷重を組み合わせた制御
EVではモーターの応答が速く、4モーターなら各輪のトルクを細かく調整できます。そこへサスペンションによる荷重変化が加われば、「どれだけ駆動力を与えるか」に加えて「タイヤがどれだけグリップを発揮できる状態にするか」という二つの方向から車両の動きを作れる可能性があります。
今回のドリフト支援特許が次世代電動Mに採用されるという発表はありません。ただ、BMWが電動Mで各輪の駆動力を精密に制御しようとしていることを考えると、タイヤ荷重を利用する今回の考え方は、EV時代の車両運動制御とも相性のよい技術だと私は考えます。
ドリフト支援特許から見えるBMW Mの今後
今回の特許を「誰でも簡単にドリフトできる機能」とだけ捉えると、対象となるユーザーはかなり限られます。しかし技術の核心は、サスペンションによってリアタイヤの荷重を変え、グリップの限界そのものへ働きかけることにあります。
BMWはノイエ・クラッセで、駆動、ブレーキ、回生、ステアリングの一部を高速に統合制御する「Heart of Joy」を導入し、電動Mではさらに4輪のトルクを個別に制御します。私は今回の特許も、電子制御を安全側へ介入させるだけではなく、クルマの動きを積極的に作る方向へ進むBMWの技術開発として注目しています。
一方で、特許の市販化、採用車種、次世代BMW Mへの搭載はいずれも決まっていません。現段階ではドリフト支援のための特許出願ですが、その仕組みはBMWが今後どのように「操る楽しさ」を電子制御で作ろうとしているのかを考える材料になりそうです。
Reference:carbuzz.com
よくある質問(FAQ)
Q1.BMWが出願したドリフト支援特許とは何ですか?
サスペンションを使って後輪にかかる荷重を一時的に減らし、タイヤのグリップを低下させることでドリフトを開始しやすくする技術です。大きな駆動力だけに頼らず、タイヤが滑り出しやすい状態を作る点が特徴です。
Q2.BMWのドリフト支援特許は市販車に採用されますか?
現時点では市販化や採用車種は発表されていません。公開されているのは特許出願の内容であり、BMW Mの市販モデルへの搭載が決定した技術ではありません。
Q3.なぜBMWはドリフト支援技術を開発しているのですか?
BMW Mは以前から後輪駆動特性や車両を操る楽しさを重視し、M Drift Analyserやドリフトプログラムなども展開しています。ドリフトはBMW Mのドライビング性能を分かりやすく示す要素の一つと位置付けられます。
Q4.この特許はドリフト以外にも利用できますか?
特許の目的はドリフト開始の支援ですが、技術の中心はサスペンションによってタイヤの荷重を能動的に変えることです。将来的に別の車両運動制御へ応用される余地はありますが、BMWから具体的な用途は発表されていません。
Q5.次世代の電動BMW Mと関係がありますか?
BMWは2027年以降の電動Mで4モーターによる各輪のトルク制御を導入すると発表しています。一方、今回のドリフト支援特許を電動Mに採用するとは発表していません。駆動力制御とタイヤ荷重制御を組み合わせられる点では関連性を考えられる技術です。




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