BMWは近年、車内の物理ボタンを減らし、タッチスクリーンや音声操作を重視しています。Neue Klasseの新型BMW iX3では、その考え方がさらに明確になりました。一方、中国では安全に関わる重要な操作を物理的なスイッチやレバーで行えるようにする強制規格の導入が進み、Euro NCAPも2026年から操作系の評価を強化しています。BMWは物理ボタンをなくそうとしているのか。それとも、必要な機能だけを残そうとしているのか。現在のBMWの操作思想と制度側の動きを整理します。
- ✅️BMWは若年層に合わせタッチ・音声操作を拡大
- ✅️中国は2027年から重要機能の物理操作を義務化
- ✅️BMWも安全に関わる物理ボタンは残す方針
BMWが物理ボタンを減らす理由は「若い世代」
45歳以下のユーザーはタッチ・音声への適応が速い
BMW グループ オーストラリアのCEOであるヴィクラム・パワー氏は、BMWが物理スイッチを減らしている背景について、社会全体でタッチ操作や音声操作が一般化していることを挙げています。特に、おおむね45歳以下の若い世代はこうした技術への適応が速く、素早く操作しながら複数のことをこなす傾向があると説明しています。
BMWは内装をすっきり見せるためだけにボタンを減らしているわけではありません。スマートフォンや音声アシスタントに慣れたユーザーの操作方法の変化を前提に、車内インターフェースを設計しています。
音声操作も車両操作の中心へ
新型iX3ではBMW インテリジェント・パーソナル・アシスタントも進化し、「顔に風が当たらないようにしてほしい」といった自然な言葉から空調を操作できます。タッチスクリーンだけに機能を集約せず、音声も積極的に使う点がBMWの特徴です。
BMWはすべての物理ボタンを廃止するわけではない
パノラミックiDriveにも物理操作は残る
Neue Klasseで採用されたBMW パノラミック iDriveを見ると、BMWが目指しているのは「完全なボタンレス」ではありません。新型iX3には、ウインカーやワイパー、シフト操作、パーキングブレーキ、ハザード、音量調整、ドアミラー操作、リアウインドウの熱線やデフロスターなどに物理操作が残されています。
ステアリングホイールも重要な物理操作の場所です。ボタンには凹凸とハプティックフィードバック(触覚フィードバック)が用意され、必要な機能が使えるときに表示する「Shy Tech」が採用されています。
快適装備はタッチと音声へ移行
一方、空調を含む快適装備やインフォテインメントは、セントラルディスプレイや音声による操作の比重が高くなっています。BMW自身もパノラミック iDriveを、デジタル機能と物理的な要素を組み合わせた操作体系としています。
中国は重要な車両操作を物理ボタン化する方向へ
19の重要機能に物理的な操作手段を求める
中国では「自動車の操縦装置、表示器及び信号装置の標識」に関する強制国家標準の改訂が進められており、2027年7月1日の実施が予定されています。改訂案では、ウインカー、ハザード、ホーン、P・R・N・Dのシフト操作、ワイパー、フロントガラスのデフロスター、パワーウインドウ、灯火類、運転支援システムの作動など19の重要機能について、ディスプレイだけに依存しない物理的な操作手段を求めています。
物理操作は位置を固定し、一定の操作面積を確保するか触覚で位置を判別でき、操作時には触覚または音によるフィードバックを得られることも盛り込まれています。
全面的なタッチスクリーン禁止ではない
中国がタッチスクリーンそのものを禁止しようとしているわけではありません。対象は安全や運転に関係する重要機能で、ナビゲーションやエンターテインメントなどの画面操作とは分けられています。
Euro NCAPもタッチスクリーン一辺倒を求めていない
2026年から操作系も安全評価の対象に
Euro NCAPは2026年の評価基準でHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)の評価を強化しました。ホーン、ウインカー、ハザード、ワイパー、ヘッドライトなど主要な運転操作について、物理ボタンを用意するか、ディスプレイ上の固定された領域から直接操作できることを求めています。
重要なのは、Euro NCAPも「すべてを物理ボタンに戻す」としているわけではない点です。主要操作を画面の階層の奥へ隠さず、運転中の注意散漫を抑えることが狙いです。
新型BMW iX3は2026年基準で5つ星を獲得
この新基準で評価された新型BMW iX3は、2026年7月に5つ星を獲得しました。評価では、主要な運転操作にボタンやレバーなどの物理操作を使い、インフォテインメントや快適装備では画面や音声を多く使っていることも確認されています。
BMWの方針と「物理ボタン回帰」は本当に逆方向なのか
BMWと安全基準には共通する線引きがある
BMWが若い世代に合わせてタッチや音声を増やしていることだけを見ると、中国やEuro NCAPとは逆方向に見えます。しかし操作体系まで比較すると共通点があります。
中国が物理操作を求めるのは主に運転や安全に直結する機能で、Euro NCAPも主要な運転操作を簡単に扱えることを重視しています。BMWも新型iX3ではウインカーやワイパーなどを物理操作として残しています。
私には、現在起きているのは「タッチか物理ボタンか」という二者択一ではなく、それぞれをどの機能に割り当てるかという線引きの変化に見えます。
BMWの物理ボタンは今後どうなるのか
BMWは今後もタッチスクリーンと音声操作の比重を高める方向ですが、物理ボタンを全面的に廃止する方針ではありません。パノラミック iDriveでは、運転に直結する重要な操作を物理的に残しながら、快適装備やインフォテインメントをデジタル操作へ移しています。
中国の規格やEuro NCAPの評価も、すべての機能を物理ボタンへ戻すものではありません。BMWが進めているのはボタンの全廃ではなく、「何を物理操作として残すのか」を絞り込む方向だと考えられます。
Reference:futurezone.at
よくある質問(FAQ)
Q1. BMWは今後、物理ボタンをすべて廃止するのですか?
いいえ。BMWはタッチスクリーンや音声操作の比重を高めていますが、物理ボタンを全面的に廃止する方針ではありません。新型iX3でもウインカーやワイパー、ハザードなど、運転や安全に関わる重要な機能には物理操作が残されています。
Q2. BMWが物理ボタンを減らしている理由は何ですか?
BMW Group AustraliaのCEO、ヴィクラム・パワー氏は、特に45歳以下のユーザーがタッチ操作や音声操作への適応が速いことを理由の一つに挙げています。スマートフォンなどに慣れた世代の操作方法に合わせ、車内インターフェースも変化させています。
Q3. BMWではどの操作がタッチスクリーン中心になりますか?
空調などの快適装備やインフォテインメントは、セントラルディスプレイや音声操作の比重が高くなっています。一方、運転中に素早い操作が求められる機能については、物理ボタンやレバーを残す設計が採用されています。
Q4. 中国では車のタッチスクリーンが禁止されるのですか?
タッチスクリーンそのものが禁止されるわけではありません。中国では2027年7月から、ウインカーやハザード、シフト、ワイパーなど安全や運転に関係する重要機能について、画面だけに依存しない物理的な操作手段を求める規格の導入が予定されています。
Q5. Euro NCAPも物理ボタンを増やすよう求めているのですか?
Euro NCAPはすべての機能を物理ボタンにすることを求めているわけではありません。2026年の評価基準では、ウインカーやハザード、ワイパーなど主要な運転操作を簡単に扱えることを重視しており、運転中の注意散漫を減らす方向で評価しています。




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