GRスープラ A90が2026年春で生産終了となる中、その後継モデルの開発動向に注目が集まっています。
とりわけ関心が高いのは、「次期スープラもBMWと共同開発されるのか?」それとも「トヨタが完全に主導権を持つ内製モデルとなるのか?」という点です。
現在のGRスープラは、BMW Z4 G29とプラットフォームやパワートレインを共有しており、一部のファンからは“トヨタらしさが薄い”と指摘されることもありました。
本記事では、A90スープラがなぜ生産終了に至ったのか、その後継車開発におけるパートナー戦略の変化、さらにBMWとの関係見直しの背景などを深掘りし、GRスープラがこれからどのように進化していくのかを探ります。
- スープラ生産終了決定:2026年春にGRスープラA90の生産が正式に終了します。
- BMWとの提携見直し:<p>次期モデルはBMWとの共同開発を見送る可能性が高いです。
- 後継車はトヨタ主導へ:トヨタ主導で開発する次世代スープラに注目が集まっています。
GRスープラA90の概要と背景

2019年に復活した伝説のスポーツカー
GRスープラA90は、2002年に生産終了したA80型スープラ以来、約17年ぶりに登場した完全新設計のモデルです。
2019年に正式発表されると、長年トヨタのスポーツモデル復活を待ち望んでいたファンから大きな注目を集めました。
車名の前に冠された「GR」は、トヨタのモータースポーツ部門「GAZOO Racing」に由来し、スポーツ性能を重視したブランド展開の一環として投入されました。
BMWとの共同開発で誕生したA90
A90スープラは、BMWとの共同開発によって生まれたモデルであり、兄弟車にあたるのがBMW Z4(G29型)です。
両車はオーストリアのマグナ・シュタイヤー社で生産され、プラットフォームやシャシー構造を共用しています。
搭載されるエンジンは、BMW製の直列6気筒3.0Lターボ「B58型」で、スープラ用に専用チューニングが施されていました。
「A90/A91」世代の違いと評価
A90は2019年に登場し、翌年にはマイナーチェンジ版であるA91が投入されました。
主な違いはチューニング内容や装備の見直しで、特別仕様車なども用意されました。
ただし、BMWのインテリアデザインやドライビングフィールが色濃く残ることから、トヨタファンの間では賛否が分かれるモデルでもあります。
スープラファンとの期待の乖離
かつてのスープラ、特にA80型は「国産スポーツカーの象徴」として評価されていましたが、A90ではそのアイデンティティが失われたと感じるユーザーも少なくありません。
特に「トヨタが主導していない」「BMW車に似すぎている」といった意見が多く見受けられ、GRスープラが“トヨタのスポーツカー”として受け入れられにくいとする意見も存在します。
なぜ2026年で生産終了するのか

GRスープラの生産は2026年春で終了予定
GRスープラA90は、2026年春をもって生産終了となることが発表されています。
これは同モデルが生産されているオーストリアのマグナ・シュタイヤー社における生産ラインの整理や、BMW Z4の生産終了とのタイミングを揃える動きと連動しているとみられています。
GRスープラはZ4と共通のプラットフォームを用いているため、生産体制の変化が直接的に影響します。
新規制への対応コストが重荷に
近年、自動車業界では衝突安全性、排ガス規制、電動化などに関連する法規が急速に強化されつつあります。
これに対応するためには、車両の構造設計や制御系の大幅な改修が求められますが、GRスープラのような低販売台数のモデルにとって、その投資は極めて非効率です。
トヨタ側も「新たに規制に対応するには、まるで家を建て替えるようなコストがかかる」と表現しており、現行型の延命は難しいと判断されたと考えられます。
販売面での限界と経済性
GRスープラは話題性の高いモデルである一方、スポーツカー市場全体が縮小傾向にある中で、販売台数は限定的でした。
さらに、トヨタ全体としてはRAV4などの主力車種の刷新や電動化への対応にも大きな開発リソースが割かれており、スープラのような趣味性の高い車種への優先度はどうしても下がってしまいます。
そのため、開発資源の集中という観点からも、現行スープラの終了は必然的な判断だったと言えるでしょう。
「Final Edition」に託された役割
生産終了に際しては、特別仕様の「Final Edition(ファイナルエディション)」が用意されます。
これはA90世代の集大成ともいえるモデルであり、これまでのファンに向けた感謝の意を込めたリリースになります。
特別カラーや内外装の専用デザインが施され、コレクターズアイテムとしての価値も高くなるでしょう。
BMWと共同開発を続けない理由
開発主導権の不足が残した不満
GRスープラ A90はBMWと共同開発されたことで、プラットフォームからエンジン、インテリア設計まで多くの要素を共有していました。
この構造上の制約は、トヨタ側の開発主導権を限定的にし、細部の設計やチューニングに制限が生じることになりました。
ユーザーからも「スープラらしさが足りない」「BMW感が強すぎる」という不満が散見されており、今後はこのような制約を回避したいという意向が強く表れています。
トヨタの独自技術戦略との齟齬
トヨタは近年、GRヤリスやGRカローラ、GR86といったスポーツモデルで自社開発力を強調してきました。
こうしたGRシリーズの中で、スープラだけが外部メーカーとの共同開発という立場にあり、シリーズ全体の統一性という観点からも浮いた存在となっていました。
トヨタは今後、GRブランド全体で一貫した技術・設計哲学を持つ方針を強めており、その点でもBMWとの提携継続には課題があると見られています。
トヨタ幹部が語る「再提携は未定」
トヨタ北米の幹部はインタビューの中で
「次期スープラについて、BMWと再び共同開発するかはまだ決まっていない」
とコメントしています。
これは、トヨタ本社が最終的な判断を下す立場にあることを示すと同時に、現時点で提携継続に積極的ではない姿勢の表れでもあります。
再びBMWと組むにしても、開発主導権をどう配分するかが大きな論点となるでしょう。
次期モデルは“トヨタ主導”が軸に
今後のGRスープラ後継モデルは、トヨタが自社で完全に開発する「内製型」が軸になると見られています。
これにより、設計自由度が高まり、GRシリーズとの整合性も図れるようになります。
技術やコストの面で外部提携のメリットはあるものの、「トヨタらしさ」を重視したスポーツカーづくりが優先される流れにあります。
こうした背景から、BMWとの共同開発が継続される可能性は極めて低いと考えられます。
GRスープラ後継モデルはどうなるのか

トヨタ主導による国内開発が進行中
2026年で生産を終えるGRスープラの後継モデルについては、トヨタが日本国内で主導する開発体制に移行すると見られています。
これまでBMWとの共同開発だった反省から、自社での設計・制御・試験体制を確立することで、より「トヨタらしさ」を備えたスポーツカーを目指す方針です。
これにより、GRシリーズ全体との統一感も強まり、ファンからの支持を得るための体制が整いつつあります。
新世代プラットフォームと電動化対応
トヨタは次世代のスポーツカー開発において、環境対応と走行性能の両立を求められています。
ハイブリッドやEV技術を活用したパワートレインの導入も検討されており、カーボンニュートラル時代のGRスープラがどのような姿になるのかは大きな注目点です。
完全な電動化ではなく、あくまで「走りを楽しめるパフォーマンスカー」としての本質は維持される見通しです。
マツダとの共同開発という新たな噂
一部メディアでは、次期GRスープラがマツダと共同で開発される可能性があるという報道もあります。
これによると、マツダはRX-7の復活を検討しており、トヨタと開発費を分担する形で、2台の兄弟車が誕生するのではないかと噂されています。
ただし、これは現時点で正式発表がない情報であり、確定的な内容とは言えません。
トヨタ本社が最終的な方針を決定するまでは、こうした憶測に慎重な姿勢が必要です。
後継モデルに求められる性能と個性
次期スープラには、単に高出力であるだけでなく、ドライバーとの一体感やGRブランドならではの操作性が求められます。
スープラがトヨタのスポーツカーの象徴である以上、その走行性能やデザインはブランド戦略の中心にも関わる重要な要素となります。
ファンの期待に応えるモデルとなるかどうかは、今後の開発姿勢にかかっていると言えるでしょう。
スープラが担うトヨタのブランド戦略とは
GRシリーズにおける象徴的存在
スープラは、GRヤリスやGR86と並ぶ「GRシリーズ」の中でも象徴的な存在です。
その中でも最もパワフルで高価格帯に位置付けられるスープラは、トヨタのスポーツイメージを牽引する役割を担ってきました。
ハイパフォーマンスモデルとしての認知は高く、国内外問わず注目される車種のひとつとなっています。
GR86やヤリスとの関係性と棲み分け
GR86は軽快なFRクーペ、GRヤリスはラリー直系の4WDハッチバックという特性を持っています。
対してスープラは直列6気筒を搭載するピュアスポーツカーとしての路線が明確であり、それぞれが異なるパフォーマンス領域を担当しています。
これにより、GRシリーズは多様な走りの価値観を提案できる戦略的な構成となっており、スープラの存在はその中核に位置しています。
今後の展開に向けて
トヨタは、今後のスープラ後継車についても「走る楽しさ」を追求する姿勢を崩していません。
電動化や安全技術の高度化が求められる中でも、GRブランドの精神を引き継いだモデルとして、技術と情熱のバランスを取ることが求められます。
ブランド価値の象徴として、スープラが果たす役割は今後さらに重要性を増していくでしょう。
結論:GR=トヨタらしさの追求
GRスープラの後継モデルがBMWと共同開発されない理由は、トヨタがスポーツカーづくりの主導権を取り戻し、「トヨタらしさ」を追求する意志の表れです。
A90世代ではBMW製プラットフォームやエンジンを用いたことで、コスト効率や開発スピードのメリットがあった反面、ブランドとしての一貫性や独自性に課題が残りました。
これを踏まえ、次期スープラではトヨタが自らの技術とデザイン哲学に基づいて、GRブランドの本質を体現する車づくりを志向しています。
マツダとの協業という新たな可能性も噂されていますが、いずれにしても“他社主導”ではなく、“トヨタ主導”であることが鍵になります。
これこそが、BMWと距離を置く本当の理由なのです。決して、BMWとの協業に不満があったのではありません。
Reference:motortrend.com
よくある質問(FAQ)
Q1. GRスープラA90の生産終了はいつですか?
GRスープラA90は2026年春をもって生産終了となる予定です。
Q2. 次期スープラはBMWと共同開発されますか?
現時点ではBMWとの共同開発は未定で、トヨタ主導の開発になる可能性が高いとされています。
Q3. 後継モデルの発売時期は決まっていますか?
具体的な発売時期は未発表ですが、前回の20年超の空白期間よりは短くなる見込みです。
Q4. マツダとの共同開発の噂は本当ですか?
マツダとの共同開発については報道がありますが、現時点では正式な発表はなく、あくまで噂レベルです。
Q5. GRスープラの後継モデルもガソリン車ですか?
次期モデルは電動化(ハイブリッドまたはEV)を含む構成が検討されている可能性があります。
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