メルセデス・ベンツが、車内の物理ボタンを再び増やす方向へ動いています。大型ディスプレイを中心としたMBUXの考え方を捨てるわけではありませんが、タッチ操作へ移しすぎた機能の一部を、再び手で直接操作できる形へ戻します。一方のBMWは、すべてを画面へ集約するのではなく、利用データを基に物理操作として残す機能を選別しています。両社の動きを比較すると、今後の車内UIが単純な「ボタンレス」ではないことが見えてきます。
- ✅メルセデスは物理ボタンを再導入し大型画面は継続
- ✅BMWは利用データで残す物理操作を選別
- ✅両社ともタッチ操作から全面回帰するわけではない
メルセデスが物理ボタンを復活させる
メルセデス・ベンツCEOのオラ・ケレニウス氏は、デジタル操作への移行について、自動車業界全体が少し行き過ぎたとの認識を示しました。メルセデスではすでにステアリングホイールに物理操作を戻し始めており、今後も必要性の高いボタンを再導入する方針です。
ケレニウス氏は、技術そのものを目的にすると顧客を少し忘れてしまうことがあるという趣旨の発言もしています。つまり今回の変更は、大型画面を否定するものではなく、実際の操作性を考えて物理ボタンとのバランスを修正する動きです。
なぜメルセデスはタッチスクリーン偏重を見直すのか
MBUXは大型ディスプレイを中心に進化してきた
メルセデスはMBUXを中心に車内のデジタル化を進めてきました。代表例のMBUX Hyperscreenは、3つの画面を一体化した構成で、車種によっては横幅が1,410mmに達します。ナビゲーションや車両設定など多くの機能をディスプレイ上で扱える一方、従来は独立したスイッチで操作していた機能まで画面内へ移されてきました。
大型スクリーンそのものはなくならない
ケレニウス氏は、スクリーンの大型化が終わったとは考えていません。その一方で、現在の自動車業界について「スクリーンが最大になったかは分からないが、ボタンは少なさの限界に来ている」という趣旨で説明しています。今後のメルセデスは、タッチスクリーンや音声操作を維持しながら、頻繁に使う機能には物理操作を組み合わせる方向へ進むことになります。
BMWはすべての物理ボタンをなくさない
BMWは実際の利用データから操作方法を決める
BMWのUI/UX開発を担当するステファン・デュラッハ氏は、すべてのボタンを取り除くことが良い考えだとは思わないと明言しています。BMWはデザイン上の流行だけでボタンを減らしているわけではありません。BMWの公式説明では、2,200万台を超えるコネクテッド車両から得られる利用データに加え、約3,000人の顧客を対象にしたユーザビリティ調査も新世代iDriveの開発に利用されています。
BMWが物理操作として残す機能
BMW Panoramic iDriveでは、ワイパー、ウインカー、ドアミラー、音量調整、ギアセレクター、デフロスターなどに物理スイッチを残します。さらに新しいマルチファンクションステアリングホイールを主要な物理操作系として位置付け、ボタンには触覚フィードバックを採用します。デュラッハ氏は、ステアリング、シート、ハザード、ミラー、ウインドウなど、頻繁かつ直感的に使う操作は物理式を維持する考えも示しています。
それでもBMWはiDriveの物理操作を減らしている
従来のiDriveコントローラーは中心的な操作系ではなくなる
BMWが物理ボタンを残すからといって、従来の操作方法をそのまま維持するわけではありません。デュラッハ氏は、ナビゲーション、メディアの閲覧、パーソナライズなどでは、利用者がタッチや音声操作へ移行し、従来のiDriveコントローラーの利用が大きく減っていると説明しています。
Panoramic iDriveは4つの操作・表示要素を組み合わせる
BMW iDrive Xを採用するPanoramic iDriveは、BMW Panoramic Vision、セントラルディスプレイ、マルチファンクションステアリングホイール、オプションのBMW 3D Head-Up Displayを中核に構成されます。タッチ、音声、ステアリング上の物理操作を機能ごとに使い分ける設計で、従来の「iDriveコントローラーで多くの機能を操作する」という考え方からは大きく変化しています。
メルセデスとBMWの物理ボタンに対する考え方はどう違う?
メルセデスは減らしすぎたボタンを戻す
メルセデスの動きは、デジタル化を進める過程で減らしすぎた物理操作を見直すものです。ケレニウス氏自身が業界全体のデジタル操作への移行は行き過ぎたとの認識を示し、必要なボタンを再導入するとしています。ただしMBUXや大型ディスプレイは継続するため、物理操作への全面回帰ではありません。
BMWは利用頻度によって残すものを選別する
BMWは、どの操作を物理式に残すかを利用データから選別しています。頻繁に使い、視線を大きく動かさず操作したい機能は物理式で残す一方、ナビゲーションやメディア、各種設定などはタッチや音声へ移します。私は、この違いを「メルセデスは行き過ぎたデジタル化の修正、BMWはデータを使った操作方法の再配置」と捉えると、両社の方向性が分かりやすいと考えます。
物理ボタンへの「全面回帰」ではない
メルセデスとBMWに共通しているのは、タッチスクリーンをやめて昔の車内へ戻ろうとしているわけではない点です。大型ディスプレイ、音声操作、タッチ操作は今後も重要な役割を担います。そのうえで、運転中に繰り返し使う機能や、視線をそらさず確実に操作したい機能には物理ボタンを残します。
車内のデジタル化は「ボタンを何個減らしたか」を競う段階から、どの操作方法をどの機能に割り当てるかを競う段階へ移りつつあります。BMWとメルセデスの最新方針は、その変化を分かりやすく示しています。
Reference:autocar.co.uk
よくある質問(FAQ)
Q1. メルセデスは物理ボタンを全面的に復活させるのですか?
全面的に物理ボタンへ戻すわけではありません。大型ディスプレイやMBUX、音声操作は継続しながら、頻繁に使う機能や直感的な操作が必要な部分に物理ボタンを再導入する方針です。
Q2. メルセデスが物理ボタンを復活させる理由は何ですか?
メルセデス・ベンツCEOのオラ・ケレニウス氏は、業界全体でボタン削減が行き過ぎたとの認識を示しています。タッチ操作だけに集約せず、操作性を考えて物理ボタンとのバランスを見直しています。
Q3. BMWも物理ボタンを増やすのですか?
BMWは単純に物理ボタンを増やすのではなく、実際の利用データを基に残す操作を選別しています。ステアリング、音量調整、ウインカー、ドアミラーなど、頻繁に使う機能には物理操作を残します。
Q4. BMWのiDriveコントローラーはなくなるのですか?
BMW Panoramic iDriveでは、従来のiDriveコントローラーを中心とした操作体系から変わります。ナビゲーションやメディアなどは、タッチ操作や音声操作、ステアリング上の操作へ移行していきます。
Q5. メルセデスとBMWの物理ボタンに対する考え方は何が違いますか?
メルセデスは減らしすぎた物理ボタンを戻す方向へ修正しています。一方のBMWは、ユーザーの利用データを基に、物理操作として残す機能とタッチや音声へ移す機能を選別している点が異なります。




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