BMWは、その歴史と共に多くの限定車モデルを生み出してきました。しかし、なぜかこれらの限定車は中古市場で高く売れない傾向があります。最新の例としてBMW M4エディション50ヤーレBMW Mがオークションでの落札価格と比較しながら考察してみましょう。
BMWの限定車と中古市場のジレンマ
過剰な限定感
BMWの限定車はしばしば外観や内装において特別なデザインが施され、特別なバッジやロゴが使用されます。
これが逆に、中古車市場での需要を制限してしまうことがあります。
購入者は個性的な車を求めることがあるが、あまりにも特殊すぎると幅広い需要を引き寄せにくくなります。
価格の高騰と限定モデルの差
限定モデルは通常、追加の特別な仕様を備えており、価格が通常のモデルよりも高く設定されます。
しかし、中古市場ではこれらの特別な仕様が新車時の価格を維持できないことがあります。
購入者は高額な価格と中古車としての価値の乖離を感じ、手を引くことがあります。
限定生産数と需要のミスマッチ
BMWの限定車は生産数が非常に限られていますが、需要が予測以上に高まることがあります。
一方で、需要が予測以下の場合は限定性が逆にデメリットとなります。
中古車市場では、需要と供給のミスマッチが価格に影響を与え、高く売れない要因となります。
BMW M4エディション50ヤーレBMW Mの事例
最新の例として、2023年に開催されたRMサザビーズのオークションで登場したBMW M4エディション50ヤーレBMW M。
この限定モデルはBMWの創立50周年を祝うもので、外観や内装には特別なデザインが施され、限定感が漂っています。
しかし、オークションでは予想以上に高い入札額がつかず、約1550万円で落札されました。
この落札価格を考えると、通常の中古車市場では高額な取引となりますが、限定感の強さや価格設定の影響から見ても、あまり高くはない結果と言えます。
また、こちらの記事でも書きましたが、BMW M4 エディション50ヤーレBMW Mよりも希少性が高く、より限定的なモデルであったBMW 3.0 CSLも新車販売開始直後にオークションに出品されましたが、思った以上に落札価格は高くはなりませんでした。
ポルシェの限定車は、販売直後から高額で取引されることが多いですが、BMWはあまり発売から時間が経過しないモデルに関しては、ポルシェのような高額での取引はされない傾向が強いです。
しかし、E30型M3スポーツエボリューションなどの発売からかなりの時間が経過した車種に関しては、ポルシェ同様に中古車が高額で取引されることが多くなります。
このポルシェとBMWの限定車の価格差はどこから生まれるのか?
やはり、ポルシェとBMWのブランド力の差ということが言えると思います。
ポルシェはやはりフェラーリと同様にレースまたはレーシングカーが公道を走っているイメージですが、BMWの場合は実用車に近い車がレースでも走っているというイメージの差ではないでしょうか?
BMWはポルシェやフェラーリよりも新車の販売台数が多いことは、実用性が高いハイブランドモデルである、という認知がされている証明です。
逆に、このBMWの販売台数の多さや実用性の高さが限定車としての価値をあまり高めることができないのかもしれません。
BMW M4 エディション50ヤーレBMW Mは日本では販売されていない
日本では今回取り上げたBMW M4 エディション50ヤーレBMW Mは販売されていません。
その代わり、日本ではこちらの記事にもあるようにBMW M3 M 50th Anniversary Limitedが販売され、抽選販売の形で50台が販売されました。
一番の特徴は日本には正規導入されていないM3セダン+6MT仕様だったことが人気の理由です。
この記事を書いている段階では、中古車情報サイトにBMW M3 M 50th Anniversary Limitedは掲載されていませんので、数年後に中古車として販売される際には、どのような価格が付くのでしょうか?
BMWの限定車が中古市場で高く売れない理由は、限定感の過剰さ、価格の差、需要と供給のミスマッチなどが絡み合っていると言えるでしょう。
これはBMWに限らず、他の高級車メーカーでも見られる傾向です。
購入者は独自性を求めつつも、中古車としてのバリューも考慮するため、限定車の価格設定とデザインのバランスが重要となります。
しかし、日本の場合はBMW M3 M 50th Anniversary Limitedが中古車市場で販売される際には、BMW M4 エディション50ヤーレBMW Mよりも高額で取引されるかもしれません。
なぜなら、BMW M3セダン G80の右ハンドル+6速MT車は、50台しか存在しないという希少性が高いモデルになるからです。
Reference:automesseweb.jp