BMW i7 G70 LCIでリマック(Rimac)製バッテリーが採用されることで、BMWのEV戦略にどのような変化が起きるのでしょうか。特に混同しやすいのが、ノイエクラッセで使われる第6世代バッテリーとの違いです。
今回のi7は、BMWが進めるGen6技術をベースにしながら、リマックと共同で高電圧バッテリーシステムを作り上げた点に特徴があります。
この記事ではまず、リマックとはどのような企業なのか、そして同社のバッテリー技術がなぜ注目されているのかを整理します。
- ✅BMW i7 G70 LCIはリマック製バッテリーで高電圧システムを最適化
- ✅ノイエクラッセのGen6バッテリーはBMW主導の標準技術
- ✅BMW EV戦略は内製Gen6と外部協業を使い分ける構造
リマック(Rimac)とは何か?EV業界での位置づけ
リマックはクロアチアに拠点を置く電動化技術企業で、現在はハイパーカーの開発元という顔だけでなく、自動車メーカー向けに電池やeアクスル、電子制御、ソフトウェアを供給するTier1サプライヤー(完成車メーカーに直接部品を供給する企業)としての存在感を高めています。BMWとの長期提携でも、高電圧バッテリー技術を選定車種向けに共同開発・共同生産することが明らかになっています。
注目すべきなのは、単なる少量生産の特殊メーカーではないことです。リマックは自社で設計から試作、量産までを一貫して進める体制を持ち、近年は高性能車向けの技術供給企業から、より量産規模の案件にも対応できるサプライヤーへと役割を広げています。BMW i7向け電池の生産もクロアチアの拠点で行われ、完成した状態でBMWのディンゴルフィング工場へ送られる流れです。
リマック(Rimac)製バッテリーは何が優れているのか
出典:rimac-technology.com/batteryより
高出力・高効率を実現するリマック製バッテリーの技術
リマック製バッテリーの強みは、単純な容量の大きさではなく、高出力、高効率、熱管理、そしてパッケージングを一体で最適化できる点にあります。リマックは高性能EV向けにバッテリーシステムを手がけてきた実績があり、自社のハイパーカーでも円筒セルや液冷システムを用いた高出力バッテリーを実用化してきました。こうした知見は、急速充電時の発熱制御や、高負荷時でも性能を安定して引き出す設計につながります。
熱管理と液冷システムに優れるリマック製バッテリーの特徴
さらにリマックは、セル単体ではなく、バッテリーマネジメントシステムや電力配分ユニットまで含めて統合的に設計できることを強みとしています。BMW i7向けの新システムでも、BMWのGen6円筒セル技術の性能を短期間で引き出せる高電圧ストレージを共同開発したとされており、重要なのは「電池セルを仕入れて組む会社」ではなく、「車両に合わせて電池全体を成立させる会社」だという点です。BMWがi7のような最上級EVで組んだ理由も、ここにあると考えるのが自然です。
BMW i7 G70 LCIで採用されるバッテリーの特徴

BMW i7 G70のLCIモデルでは、従来の角形セル中心の構成から、次世代の円筒セル(いわゆるGen6系)をベースとした高電圧バッテリーシステムへと進化することがポイントです。エネルギー密度の向上により航続距離の改善が期待されるほか、充電性能も従来より高められる設計となっています。
さらに特徴的なのが、バッテリーパック単体ではなく、制御や冷却を含めた「システム」として最適化されている点です。リマックと共同で開発されるこのバッテリーは、セル性能を最大限引き出すための熱管理や電力制御が重視されており、特に高負荷時や急速充電時の安定性に寄与します。
LCIによる外観や内装の変更以上に、電動化の中核部分がアップデートされることが今回の大きなポイントです。
ノイエクラッセのGen6バッテリーとの違い

ここで混同されやすいのが、ノイエクラッセ世代に採用されるGen6バッテリーとの関係です。Gen6はBMWが主導して開発する次世代電池で、円筒セルを採用しながら、複数のサプライヤーによる量産を前提としたプラットフォームとして設計されています。
今後の主力EVであるiX3などに搭載される予定の“標準技術”といえる存在です。
一方でi7に採用されるリマックとの共同開発バッテリーは、同じ円筒セル系の技術をベースにしつつも、特定モデル向けに最適化された「プロジェクト単位のバッテリー」です。つまり、Gen6がBMW全体の基盤となる電池であるのに対し、i7のバッテリーはその性能を最大限引き出すために外部パートナーの技術を組み合わせた応用形といえます。
この違いを理解すると、BMWが内製と外部協業を使い分けている戦略が見えてきます。
なぜBMWはリマック製(Rimac)バッテリーを採用したのか
BMWがリマック製バッテリーを採用した背景には、開発スピードと性能の両立があります。i7 G70はCLARプラットフォームをベースとした既存世代のEVであり、ノイエクラッセのようなフル刷新を待たずに性能を引き上げる必要がありました。その中で、円筒セルを前提とした新しいバッテリーシステムを短期間で実用化するには、外部パートナーの技術を取り入れることが合理的だったといえます。
リマックは高出力EV向けのバッテリーや制御技術に強みを持ち、セルだけでなくシステム全体を最適化できる点が特徴です。BMWとしては、自社主導のGen6技術を軸にしつつ、特定モデルでは外部の知見を取り入れることで競争力を維持する狙いがあります。これは単なる外注ではなく、用途に応じて技術を使い分ける戦略的な選択と見るべきでしょう。
BMWのEVはどこに向かうのか?テスラ・Lucidとの関係性

現在のEV市場は、メーカーごとに異なる戦略が明確に分かれています。テスラはバッテリーからソフトウェアまでを自社で統合する内製型、Lucidは効率と航続距離を突き詰めた技術特化型といえるでしょう。
一方のBMWは、ノイエクラッセで基盤技術を自社主導で確立しながら、リマックのような外部パートナーも活用するハイブリッド型の戦略を採用しています。
このアプローチは、開発の柔軟性と市場への対応力を両立させるものです。すべてを内製化するのではなく、必要な領域に応じて外部の技術を取り入れることで、モデルごとに最適なEVを仕上げる方向に進んでいるといえます。
まとめ:リマック(Rimac)製バッテリー採用の本当の意味
リマック製バッテリーの採用は、BMWのEV戦略が変わったことを示すものではなく、むしろ最適化が進んでいる証拠です。ノイエクラッセでは自社主導のGen6バッテリーを軸にしながら、既存モデルでは外部パートナーの技術を取り入れて性能を引き上げる。この使い分けこそが現在のBMWの特徴といえるでしょう。
i7 G70 LCIはその象徴的なモデルであり、単なるフェイスリフトではなく、電動化の中核であるバッテリー戦略の一端を示す存在となっています。今後はi5 G60などの他のCLARベースのEVへも搭載される可能性も考えられます。
Reference:carscoops.com
よくある質問(FAQ)
Q1. リマック(Rimac)はどのような会社ですか?
リマックはクロアチアに拠点を置く電動化技術企業です。自社で高性能EVを開発するだけでなく、完成車メーカーに対してバッテリーや電子制御、電動パワートレイン関連技術を供給する役割も担っています。
Q2. BMW i7 G70 LCIのバッテリーはノイエクラッセのGen6と同じですか?
同じではありません。i7 G70 LCIではGen6系の円筒セル技術をベースにしつつ、リマックと共同で特定モデル向けに最適化した高電圧バッテリーシステムが採用されます。一方、ノイエクラッセのGen6はBMW主導の標準技術です。
Q3. リマック製バッテリーの強みは何ですか?
高出力、高効率、熱管理、制御の最適化に強みがあります。特に急速充電時や高負荷時でも性能を安定して引き出せるよう、セルだけでなく冷却や電力制御まで含めたシステム全体を設計できる点が特徴です。
Q4. なぜBMWはi7 G70 LCIでリマック製バッテリーを採用したのですか?
既存のCLARプラットフォームを使うi7で、フルモデルチェンジを待たずにバッテリー性能を引き上げる必要があったためです。BMWは自社のGen6技術を軸にしながら、特定モデルでは外部パートナーの技術も活用しています。
Q5. BMWの今後のEVはすべてリマック製バッテリーになりますか?
すべてがリマック製になるわけではありません。ノイエクラッセ世代ではBMW主導のGen6バッテリーが中心で、リマックは一部の車種やプロジェクトで採用されるパートナーという位置づけです。





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