その最新モデル「BMW Z4 M40i G29」は、マニュアルトランスミッション（MT）を搭載することで、さらにドライバーとの一体感を追求しています。この試乗記では、BMWが「Handschalter（ハンドシフター）」として再定義したこの車の魅力に迫ります。
BMWがMTを復活させた背景には、純粋なドライビングの楽しさを提供したいという願いがあります。
今回の試乗では、改良されたシャシー、特別なホイール・タイヤセットアップ、そしてB58エンジンとMTの組み合わせが生み出す体験を徹底的に検証しました。
- マニュアルトランスミッション：BMW Z4 M40i G29に専用設計の6速MTを搭載し、エンジンと直結した操作感でドライビングの楽しさを提供
- 改良された走行性能：専用シャシーセッティング、異径ホイール、調整済み電子制御でハンドリング性能と快適性を両立
- 特別仕様のデザインと快適性：「フローズン・ディープ・グリーン・メタリック」を含む特別カラーや高級感あふれる内装で、唯一無二の魅力を実現
新型マニュアルトランスミッションの詳細
BMW Z4 M40i G29に搭載された6速MTは、ゲトラグ製のモジュラー型トランスミッションをベースに開発されました。
このトランスミッションは、Z4の直列6気筒ターボエンジン「B58型」の特性に合わせて専用設計が施されています。
特筆すべきは、Mモデル専用のギアセットやシャフトを採用している点です。
また、シフトレバーやその周辺メカニズムも専用設計されており、最新のBMW MT車と同等の精密な操作感を実現しています。
これにより、ギアチェンジの楽しさとエンジンの自由回転性能が最大限に引き出されています。
マニュアルトランスミッションがなぜ重要なのか？
それは、クラッチ操作やギア選択を通じて、ドライバーが車を直接制御する感覚が得られるためです。
この直感的な操作感が、AT（オートマチック）にはない特別な「運転の楽しさ」を提供してくれるのです。
走行性能: パワートレインと加速性能
このエンジンは1,800rpmという低回転から最大トルクを発揮し、滑らかで力強い加速を実現します。
0-100km/hの加速は4.6秒で、最高速度は電子制御により250km/hに制限されています。
さらに、このエンジンはマイルドハイブリッド技術を採用しており、環境性能も優れています。
燃費は欧州複合モードで12.4km/L（32.5mpg）を記録しており、このクラスの車としては十分な効率性を備えています。
BMW独自の滑らかな加速感と、マニュアル操作による緻密なエンジンコントロールは、長年BMWを愛するファンにとって大きな魅力です。
シャシーの改良: ドライビングフィールの進化
標準装備の可変スポーツステアリング、Mスポーツブレーキ、Mスポーツディファレンシャル、アダプティブMサスペンションに加えて、MT専用のシャシーセッティングが用意されています。
新たに採用された補助スプリングと強化されたスタビライザークランプが、コーナリング時の安定性を向上させます。
また、リアダンパーの電子制御マッピングやステアリングのソフトウェアも再調整され、よりシャープなハンドリングを実現しています。
さらに、トラクションコントロールシステムはホイールスリップを許容する設定となり、ドリフト走行も可能です。
これらの改良により、BMW Z4 M40i G29は高いコーナリング性能を誇り、よりスリリングなドライビング体験を提供します。
ホイールとタイヤの特別仕様
フロントは19インチ、リアは20インチのMライトアロイホイールを採用し、バイカラーデザインが視覚的なアクセントを加えています。
このセットアップは、駆動力を路面に効率的に伝えるだけでなく、ハードコーナリング時の横方向の力を適切に分散させます。
結果として、優れたトラクションと安定性を実現しています。
エクステリアデザインと特別なカラー選択肢
また、リアホイールアーチ周辺には新たな空力フラップが追加され、大型タイヤに対応したデザインとなっています。
特別色「フローズン・ディープ・グリーン・メタリック」は、Handschalter専用カラーとしてラインアップされており、見る人を魅了する深みのある緑が特徴です。
インテリアの詳細と快適性
さらに、ブラックアルカンターラとヴァネスカレザーのコンビネーションシートには、ブルーのコントラストステッチが施されています。
加えて、ハイグロスブラックのトリムやシフトレバー周辺の特別なスリーブも装備され、細部へのこだわりが感じられるデザインです。
ステアリングヒーターやシートヒーターも標準装備され、快適性が充実しています。
試乗レビュー: 実際のドライビング体験
試乗中、最も印象的だったのはハンドリングのシャープさとステアリングの正確性です。
路面の情報が手に伝わる感覚は素晴らしく、コーナリングでは車との一体感を強く感じました。
また、クラッチ操作にはやや力が必要ですが、この「古典的」な感覚がスポーツカーらしい満足感を生んでいます。
Z4と同クラスのライバル車、ポルシェ718ボクスターと比較すると、Z4は快適性と実用性に優れている点が際立ちます。
一方、ボクスターはよりシャープなハンドリングを提供しますが、BMWのMT車がもたらす一体感は独特の魅力を持っています。
BMW Z4 M40i G29 Handschalterは、ピュアなドライビング体験を求める方に最適なロードスターです。
この車は、BMWの長い歴史の中で培われた技術と情熱が詰まった一台であり、特にMTファンにとって「最後の宝石」とも言える存在です。
Reference：just-auto.com / BMW
