新型BMW X5(G65)は、先代よりもオフロード性能を強化する方向には進みませんでした。ただし、これは悪路走破性を落としたという意味ではありません。BMWは先代X5がすでに十分な能力を備えていると判断し、新型では日常的に使われる性能の向上を優先しています。なぜオフロード性能の強化が開発の中心にならなかったのか、BMW幹部の説明をもとに私が整理します。
- ✅新型BMW X5 G65は悪路性能を落とさず追加強化を見送り
- ✅先代X5 G05は顧客用途を上回る悪路走破性を確保
- ✅G65は積載・燃費・空力・オンロード性能を優先
新型BMW X5 G65ではオフロード性能の強化を優先せず
新型X5の発表後、米国サウスカロライナ州スパータンバーグで記者向けの取材が行われました。その場で新型X5のオフロード性能について説明したのが、BMWラグジュアリークラス、BMW ALPINA、ロールス・ロイス・モーター・カーズを担当するシニア・バイス・プレジデントのフィリップ・ケーン氏です。
ケーン氏は、X5のオフロード性能をさらに高めることは、今回の開発における最優先事項ではなかったと説明しています。その一方で、新型X5は車体、積載能力、パワートレインの種類、燃費、走行性能などを総合的に進化させており、歴代で最も高い総合力を持つX5だと位置づけています。
つまりBMWは、悪路性能だけを大きく伸ばすのではなく、X5を利用する多くのユーザーが普段の運転で体感しやすい部分を広く改善する方針を選んだことになります。
先代X5 G05はすでに十分な悪路走破性を持っていた
BMW幹部も驚いたG05の走破性
オフロード性能を優先しなかった背景には、先代X5(G05)がすでに高い悪路走破性を備えていたことがあります。
ケーン氏は、ニューヨーク州にあるモンティチェロのオフロード施設を訪れた際、G05型X5が通常のオーナーであれば試さないような激しい走り方をする場面を見たと振り返っています。それでも車両は問題なく走り切り、ケーン氏自身もX5が発揮した能力に驚いたとしています。
先代には本格的なオフロード装備も用意
市場によっては、G05にオフロードパッケージも設定されていました。主な装備は、車高を調整できる2アクスル・エアサスペンション、ロック機能付きリアディファレンシャル、アンダーボディ保護、オールテレーンタイヤなどです。
X5は本格的なクロスカントリー車として設計されたモデルではありませんが、雪道や未舗装路、勾配のある路面などに対応できる余裕を持っていました。BMWはその能力が一般的な利用範囲をすでに上回っていると判断したため、新型でさらに悪路性能を引き上げる必要性は低いと考えたのでしょう。
新型X5 G65が優先した性能とは
積載性や効率を含む総合性能を向上
新型X5では、オフロード性能の強化に代わって、車体サイズ、荷室の使いやすさ、パワートレインの選択肢、燃費、空力性能などが重視されました。X5の主な使用環境が舗装路であることを考えると、日常で利用する機会が多い性能へ開発資源を振り向けた形です。
とくにパワートレインは、新型X5を特徴づける重要な要素です。エンジン車だけに絞らず、プラグインハイブリッドや電気自動車を含む複数の選択肢を用意することで、市場や利用目的の違いに対応します。
Heart of Joyで走行性能も進化
走行性能では、駆動系とシャシーを統合的に制御する「Heart of Joy」が採用されます。加速、減速、ステアリング、車体の動きを緊密に連携させることで、オンロードでの反応と安定性を高める技術です。
新型X5の開発では、特定の場面だけで使う性能よりも、普段の運転で感じられる快適性、効率、積載性、走行性能のバランスが優先されたと考えられます。
オフロード性能が低下したとは限らない
「オフロード性能を強化しなかった」という説明だけを見ると、新型X5の悪路走破性が先代より低下したようにも受け取れます。しかし、BMWは新型でもX5として必要な能力を維持しており、オフロード性能を弱めたとは説明していません。
新型G65は、改良されたCLARアーキテクチャーを引き続き採用します。これまでのX5が備えてきた舗装路での安定性と、必要な場面で未舗装路へ対応できる性能を両立する基本的な考え方も継承されます。
重要なのは、「追加の強化を行わないこと」と「従来の性能を削ること」は同じではない点です。先代が実用上十分な水準に到達していたため、新型では別の性能を伸ばしたというのがBMWの説明です。
BMW X5は万能型SUVとして進化
BMW X5は1999年の初代モデル以来、一般的なSUVではなくSAV、つまりスポーツ・アクティビティ・ビークルとして展開されてきました。舗装路での走行性能や快適性を重視しながら、天候や路面状況が変化しても移動を続けられる対応力を持つことがX5の特徴です。
新型G65も、その基本的な役割を変えるモデルではありません。オフロード専用車を目指すのではなく、日常の移動、長距離走行、荷物の積載、さまざまなパワートレインへの対応を含めた総合性能を高めています。
私が今回の説明から読み取れるのは、BMWがX5の悪路性能を軽視したのではなく、すでに十分な能力を確保できていると判断したことです。新型X5は、必要なときには舗装路を離れられる余裕を残しながら、普段使う性能をさらに磨いた万能型SAVとして進化したと整理できます。
Reference:motortrend.com
よくある質問(FAQ)
Q1. 新型BMW X5(G65)はなぜオフロード性能を強化しなかったのですか?
先代X5(G05)が、一般的なユーザーの利用範囲を上回る悪路走破性をすでに備えていたためです。新型では追加のオフロード性能よりも、積載性、燃費、空力性能、パワートレイン、オンロードでの走行性能が優先されました。
Q2. 新型BMW X5(G65)のオフロード性能は低下したのですか?
BMWは、新型X5のオフロード性能を低下させたとは説明していません。オフロード性能の追加強化を開発の最優先事項にしなかったという意味であり、X5に必要な悪路対応能力は維持されます。
Q3. 新型X5の開発方針を説明したBMW幹部は誰ですか?
BMWのラグジュアリークラス、BMW ALPINA、ロールス・ロイス・モーター・カーズを担当するシニア・バイス・プレジデント、フィリップ・ケーン氏です。新型X5発表後の記者向け取材で説明しました。
Q4. 新型BMW X5(G65)が優先した性能は何ですか?
車体と積載能力、燃費、空力性能、複数のパワートレインへの対応、オンロードでの走行性能です。駆動系とシャシーを統合制御する「Heart of Joy」も採用され、加速、減速、ステアリング、車体の動きが緊密に連携します。
Q5. BMW X5は本格的なオフロード車ではないのですか?
X5は本格的なクロスカントリー車ではなく、舗装路での走行性能や快適性を重視したSAVです。ただし、雪道や未舗装路など、必要な場面で舗装路を離れられる悪路対応能力も備えています。





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