BMWが2001年に初めて発表したiDriveは、ドライバーと車両の直感的なインターフェースとして自動車業界の標準を築きました。
そして2025年末、Neue Klasse(ノイエクラッセ)車両の導入とともに、次世代型のBMW iDrive X(10)が登場します。
この新しいシステムは、操作性とパーソナライゼーションを飛躍的に向上させると同時に、BMWの持つ革新性をさらに前進させるものです。
本記事では、BMW iDrive X 10の特徴、そしてその中核を担うパノラマiDriveについて詳しく解説します。
- 次世代型「BMW iDrive X 10」の登場:BMWが新しいインターフェース「iDrive X 10」を発表し、2025年末にNeue Klasse車両で初搭載
- 「パノラマiDrive」が生み出す新体験:フロントガラス全体に情報を投影する「パノラマビジョンディスプレイ」や新型ステアリングが、ドライバー中心の設計で安全性と利便性を強化
- 進化したBMW Operating System X:Androidベースの完全内製ソフトウェアにより、柔軟な機能拡張とサードパーティコンテンツとのシームレスな統合を実現
iDriveの進化:BMWのインターフェースの歴史
2001年、初代iDriveがBMW 7シリーズに初めて搭載され、ドライバー中心の操作性が注目されました。
当時、中央に配置されたコントローラーとディスプレイを用いたインターフェースは画期的でした。
その後の20年間、BMWはiDriveを進化させ続け、画面解像度や操作性、音声アシスタント機能を段階的に改良しました。
特に、2020年代に入ってからは、タッチスクリーンやジェスチャーコントロールが追加され、より直感的な操作が可能になりました。
今回発表されたBMW iDrive X 10は、こうした進化の延長線上にありながらも、パノラマビジョンディスプレイや新しいソフトウェアプラットフォームを導入し、従来の概念を大きく刷新するものです。
BMW iDrive X 10の特徴
BMW iDrive X 10は、新しい時代のインターフェースとして4つの主要要素を備えています。
パノラマビジョンディスプレイ
車両のフロントガラス全体に情報を投影する画期的なディスプレイシステムです。
ドライバーだけでなく同乗者も、ナビゲーションやエンターテインメント情報を共有できます。
このディスプレイは、3つのセクションに分割されており、デジタルインストルメントクラスター、ナビゲーション、ウィジェット情報を同時に表示可能です。
センターディスプレイ
ステアリングホイールのすぐ隣に配置され、操作性を重視したフリーデザインが特徴です。
新たに導入されたマトリックスバックライト技術により、昼夜を問わず鮮明な表示を実現しています。
3Dヘッドアップディスプレイ(オプション)
BMW iDrive X 10の特徴として、初めて3D表示に対応したヘッドアップディスプレイがオプションで提供されます。
ナビゲーションや自動運転モードの情報を、ドライバーの視線内に直接表示することで、安全性を向上させます。
新型マルチファンクションステアリング
ハプティックフィードバック(振動や圧力などで操作感やフィードバックを提供)を搭載し、ドライバーは視線を外さずに操作が可能です。
ボタンには触覚で分かる立体的な表面が採用され、感覚的に簡単に操作できます。
パノラマiDriveによる新しい運転体験
BMW iDrive X 10は、これまで以上にドライバー中心の体験を提供します。
1. ドライバー中心の設計
BMWの設計思想である「Hands on the Wheel, Eyes on the Road」(手はステアリングへ、視線は道路を)をさらに進化させました。
新しいディスプレイとインターフェースが、必要な情報を適切なタイミングで提供し、視線を道路に集中させることを可能にしています。
2. パーソナライゼーション機能
「My Mode Personal」により、ドライバーはステアリング設定や駆動モードなどを自由にカスタマイズできます。
また、インフォテインメント画面の背景に自分の写真を設定したり、アンビエントライトの色を変更したりと、これまで以上にパーソナルな空間を作り出せます。
3. 「HypersonX」による音響体験
BMW独自の音響技術「HypersonX」は、43種類のサウンドシグナルを駆使して、走行モードやドライビングシーンに応じた音響を提供します。
特に「My Mode Sport」では、エンジン音を強調するダイナミックな音響体験が楽しめます。
操作性とテクノロジーの進化
1. ノブの廃止と新しい操作モデル
従来のiDriveで採用されていた中央コントロールノブが廃止され、新型マルチファンクションステアリングが主な操作手段となりました。
触覚へのフィードバックにより、視覚に頼らない直感的な操作が可能です。
2. 自然言語対応の強化
BMW Intelligent Personal Assistantは、大型言語モデル(LLM)の採用により、自然な会話形式で操作できます。
たとえば「食料品店の近くで充電できる場所に連れて行って」といった指示も簡単に処理可能です。
BMW Operating System Xの技術的進化
BMW iDrive X 10を支えるソフトウェアは、Androidを基盤とした「BMW Operating System X」です。
このシステムは完全内製で開発されており、デジタル技術の独立性を確保しています。
また、サードパーティのストリーミングやゲーム、インフォテインメントサービスもシームレスに統合されています。
新システムはアップデート能力が向上しており、将来的な機能拡張にも柔軟に対応可能です。
たとえば、カーナビの地図データや新しいエンターテインメントサービスも簡単に追加できます。
まとめ:BMW iDrive X 10がもたらす未来
BMW iDrive X 10は、車両インターフェースの新しい基準を確立します。
パノラマiDriveを中心とした設計は、これまでにない直感的でパーソナルな運転体験を提供します。
また、Neue Klasse車両の一部として、BMWが目指す次世代のモビリティの方向性を示しています。
BMW iDrive X 10が登場する2025年末には、多くのユーザーがその革新性を体感し、ドライバーと車両の関係性が新たな次元に進化することでしょう。
Reference:carscoops.com