まもなく生産が終了する8シリーズのファイナルエディションの位置づけとなるBMW M850i Mヘリテージエディション G16は、初代8シリーズであるE31型への明確なオマージュとして、世界限定500台で登場します。
1990年代を象徴する5色(ブライトレッド、モーリシャスブルー、コスモスブラック、オックスフォードグリーン、デイトナバイオレット)を現代の塗装技術で再現し、カーボンルーフとMストライプを組み合わせた特別仕様です。
内装はフルメリノレザーとアルカンターラで仕立て、専用の刻印やマットカーボン加飾を備えます。
生産は2025年11月開始、北米を中心に2026年初頭の納車予定です。
この記事では、E31由来の意匠や装備の意味を詳しく解説します。購入検討の参考になります。
- E31直系の復刻色:90年代の名色を現代塗装で再現。色と陰影で8シリーズの文法を伝承。
- 限定500台の希少性:専用装備と“1/500”刻印で資産性を強化。コレクター層にも訴求。
- 仕立ての完成度:カーボンルーフやIndividual内装を標準化。最後の8シリーズに相応しい濃度。
なぜE31型8シリーズが特別なのか
E31が生んだ“ラグジュアリーGT”像
E31型8シリーズは1989年に登場し、BMWのフラッグシップとして1990年代の“ラグジュアリーGT”を体現しました。
ロングノーズと低く構えたワイドボディ、空力を意識した滑らかな面構成は、当時の量産車としてはきわめて先進的でした。
V12とV8を擁するパワートレインは静粛性と高速巡航性能を重視し、長距離を速く快適に移動するという8シリーズの役割を明確に示しました。
スポーツとラグジュアリーを同時に満たす設計思想が、後の世代にも影響を与え続けています。
技術と意匠が象徴する“先進”
E31は、電子制御スロットルや高度な電装統合、洗練されたシャシー設計など、当時のBMWが持つ最新技術を凝縮した存在でした。
フレームレスドアや水平基調のインテリアは上質感と機能性を両立し、夜間の計器照明やスイッチの作法まで統一された“設計言語”を確立しました。
こうした総合力こそが、現在のM850i MヘリテージエディションG16に受け継がれる核心であり、単なる復刻ではなく“哲学の継承”として再解釈されています。
オマージュの意義と今日的価値
オマージュの核は、当時のカラーパレットと“品格ある速さ”という価値観です。
色は記憶を呼び起こし、価値観は乗り味と仕立てに宿ります。
艶やかな塗装と抑制の効いた装飾、余裕ある動力の組み合わせはE31が切り拓いた領域であり、最終盤に原点を色と質感で示す意義があります。
それがM850iMヘリテージの存在理由です。E31への敬意が核にあります。
外装オマージュの詳細
E31由来の5色と個性
M850i Mヘリテージエディション G16の外装で最も象徴的なのは、E31型8シリーズ由来の5色をBMW Individualで再現した点です。
Mauritius Blue metallic(モーリシャスブルー・メタリック)
出典:https://bringatrailer.com/listing/1993-bmw-850csi-4/
Cosmos Black metallic(コスモスブラック・メタリック)
出典:https://supercarnostalgia.com/blog/one-to-buy-52000km-1993-bmw-e31-850-csi-on-type-2-ac-schnitzers
Oxford Green metallic(オックスフォードグリーン・メタリック)
出典:https://www.carandclassic.com/de/ein-angebot-machen/1996-bmw-850-csi-e31-nkwdJn
Daytona Violet metallic(デイトナバイオレット・メタリック)
出典:https://www.reddit.com/r/carporn/comments/nzc2n6/daytona_violet_bmw_850csi/
- Bright Red(ブライトレッド)
- Mauritius Blue metallic(モーリシャスブルー・メタリック)
- Cosmos Black metallic(コスモスブラック・メタリック)
- Oxford Green metallic(オックスフォードグリーン・メタリック)
- Daytona Violet metallic(デイトナバイオレット・メタリック)
の各色は、90年代の空気感を色そのもので語ります。
鮮烈な赤、深い緑、夜空のような黒、青紫の輝きなど、当時の記憶を最新の塗装技術と下地処理で高い均質性と艶に置き換え、限定車らしい存在感を強めています。
これらの特別塗装は価格に含まれ、選択時の追加費用はありません。
カーボンルーフとMストライプ
標準装備のMカーボンルーフにはトリコロールのMストライプが組み込まれ、屋根そのものがヘリテージのサインになります。
カーボン化は軽量化と重心低下に寄与し、高速域での落ち着きをもたらします。
E31の伸びやかなシルエットを崩さず、現代の構造材で質感と機能を両立させた点がオマージュの核心です。
見た目のアクセントに留まらず、走りの安心感まで含めて“特別”を体験できます。
ホイール、ブレーキ、光の演出
足もとは20インチのデュアルスポーク「Style 895M」バイカラー(Orbit Grey)が専用装着され、サマータイヤと組み合わせてワイド&ローの姿勢を強調します。
Mスポーツ・プロフェッショナル・パッケージを標準化し、Mスポーツブレーキ(ブラックキャリパー)、Mシャドーライン・ライト、エクステリア・エクステンド・シャドーラインを採用。
クロームを抑えた黒基調の加飾がボディカラーの発色を際立たせ、昼夜を問わず精悍さを印象づけます。
プロポーションと面の継承
ロングノーズ、低いルーフライン、張りのある面。E31が築いた“流麗なGT”の文法は、G16グランクーペでも明確です。
4ドア化により実用性は増しながら、フレームレスドアやシャドーラインのウインドウグラフィックで軽やかさを確保。
過度なエンブレム表現に頼らず、色とプロポーション、陰影の設計でオーラを作る—それがこの限定車の外装オマージュの本質です。
眺める距離によって表情が変わる“面の奥行き”も受け継がれています。
内装に見るE31型へのオマージュ
素材とステッチに宿るオマージュ
M850i Mヘリテージエディション G16の客室は、E31型が体現した“品格ある速さ”を素材と縫製で現代に置き換えています。
BMW Individualのフルメリノレザーとアルカンターラを組み合わせ、ダイヤモンドパターンのMスポーツシートを採用。
シート、ドアパネル、シートベルトにはMの3色ステッチを施し、ヘッドレストには非発光のMエンブレムを埋め込みます。
E31の抑制の効いた豪華さを、触感と陰影で再提示するのが狙いです。
アルカンターラはヘッドライナーやダッシュボード、ドア上部にも広く用いられ、視界の周辺までマットな質感で包み込みます。
着座位置は低く、視界はワイドです。
操作系の質感と限定刻印
センターコンソールはマットカーボン仕上げで、ガラス製のシフトレバーとiDriveコントローラーが光を柔らかく反射します。
乗り込む一歩目で視線が触れるドアシルと、日常で手が触れるカップホルダー蓋には“M850i Edition M Heritage”と“1/500”の刻印。限定車であることを視覚と指先の両方で実感できる演出です。
握りの滑らかなエッジ処理や低反射の質感は長時間の運転でも視覚疲労を抑えます。
音と安全装備も“フラッグシップ”仕様
装備面も“当時は夢”だった要素を標準化。Bowers & Wilkinsダイヤモンドサラウンドシステムは微細な音の粒立ちを車室全体に行き渡らせ、ドライビングアシスタンス・プロフェッショナルは車線維持支援や渋滞時支援を含み、高速巡航や都心部の移動で疲労を軽減します。
選択式オプションを排し、基本はワンパッケージで外装色のみ選ぶ設計。長距離GTの思想を装備で支える、そんな割り切りもE31への敬意であり、フラッグシップGTの作法そのものです。
E31型とデザイン哲学の継承
プロポーションの連続性
E31が体現したロングノーズと低いキャビン、後輪に重心を寄せたワイドスタンスは、G16でも明確に受け継がれています。
フロントは薄く水平に、サイドは大きな面で光を受け、リアは締まった造形で切れ味を出します。
距離や角度によって表情が変わる“面の奥行き”は、初代からの文法です。
4ドア化と美の両立
G16はグランクーペとして4ドア化されましたが、フレームレスドアとシャドーラインのウインドウグラフィックを採用し、視覚的な軽やかさを維持します。
ルーフのアーチは低く長く描かれ、キャビン後端は緩やかに沈み込みます。
実用性を広げつつ、E31の“流麗なGT”の印象を崩さない配慮が徹底されています。
色と素材で記憶を呼び起こす
オマージュの核は5色のレガシーカラーです。
鮮烈なBright Red、深いOxford Green、神秘的なDaytona Violetなどは、E31の時代感を一瞬で想起させます。
Mストライプ入りカーボンルーフは象徴性を現代に接続し、Orbit Greyの20インチホイールが量感と緊張感を両立します。
記号の寄せ集めではなく、色と面、陰影で語るのが8シリーズの作法です。
“速さの品格”という思想
E31が提示したのは、派手さではなく余裕で魅せる“速さの品格”でした。
G16は静かで力強い加速、抑制の効いた加飾、視界に広がる水平基調でその思想を現代化します。
ヘリテージは過去の複写ではありません。
設計言語と価値観を今の技術で翻訳し直す—それがこの限定車に込められたデザイン哲学です。
なぜ「限定500台」なのか?
フィナーレにふさわしい濃度
8シリーズの節目を飾るにあたり、装備を厳選し仕立てを濃縮するには限定生産が最適です。
全車同一コンフィギュレーションに近い構成で品質を高位に揃え、外装色の選択に集中させる設計は“記念碑”にふさわしい割り切りです。
コレクター価値の設計
ドアシルやカップホルダー蓋の“1/500”刻印は、資産性を裏付ける明快なシグネチャーです。
復刻カラー、Mストライプ入りカーボンルーフ、専用インテリアという固有要素の積み上げは、長期保有やリセールを見据える層にも訴求します。
市場配分と希少性
販売は限られた市場に絞られ、台数配分は公表されていません。
入手難度が高いこと自体が価値を高め、所有体験の特別感につながります。
限定台数は単なる数字ではなく、このモデルが“最後の8シリーズ像”を明確に刻むための設計条件なのです。
まとめ:E31の精神を現代に
M850i Mヘリテージエディション G16は、E31型8シリーズの記憶を“色と質感”で現在に翻訳した集大成です。
Bright RedやDaytona Violetなどの復刻カラー、Mストライプ入りカーボンルーフ、専用インテリア、そして限定500台という希少性が、最後の8シリーズにふさわしい物語を与えます。
過去をなぞる復刻ではなく、設計言語と価値観を最新技術で磨き直した“品格ある速さ”の提示。
それが本モデルの核心です。
Reference:f92.bimmerpost.com
よくある質問(FAQ)
Q1. 発売時期と納車はいつですか?
生産開始は2025年11月、納車は2026年初頭を予定しています。市場や配車状況により前後する可能性があります。
Q2. 価格はいくらですか?
米国価格は130,400ドルに加え、1,175ドルのデスティネーション&ハンドリング。為替により変動しますが、参考として約2,000万円超のレンジです。
Q3. 日本での販売はありますか?
販売地域は米国・カナダ・韓国が中心です。日本での正規販売は現時点で公表がありません。
Q4. 選べるボディカラーは?
下記5色から選択できます(英名が公式表記、カッコ内は日本語名)。
- Bright Red(ブライトレッド)
- Mauritius Blue metallic(モーリシャスブルー・メタリック)
- Cosmos Black metallic(コスモスブラック・メタリック)
- Oxford Green metallic(オックスフォードグリーン・メタリック)
- Daytona Violet metallic(デイトナバイオレット・メタリック)
Q5. 装備の特徴は?
Mストライプ入りカーボンルーフ、20インチStyle 895Mホイール、BMW Individual内装(フルメリノレザー×アルカンターラ)、Bowers & Wilkinsサウンド、ドライビングアシスタンス・プロフェッショナルなどを標準装備します。ドアシルとカップホルダー蓋には“1/500”の刻印が入ります。
コメント