BMWは2028年に向けて、次期BMW 1シリーズと新たな電動モデル「BMW i1」を同時に投入する計画を明らかにしました。現行F70型の後継として登場する新型1シリーズは、従来のガソリンエンジン車に加え、初の電動プレミアムコンパクトカー「i1」をラインナップに加えることで、幅広いユーザーニーズに対応します。
近年、電動コンパクトカー市場は急速に拡大しており、特に都市型高級EVへの需要が高まっています。メルセデス・ベンツやアウディが小型EV市場から徐々に撤退する中、BMWはi1を武器にこのセグメントを独占する構えです。
本記事では、次期BMW 1シリーズとi1の最新情報、そしてBMWの電動プレミアムコンパクトカー市場への戦略について詳しく解説します。
- 次期BMW 1シリーズと新型i1が2028年登場へ:BMWは次期1シリーズと初の電動プレミアムコンパクトカー「i1」を投入予定です。
- メルセデス・アウディが撤退、BMWが市場独占狙う:小型EV市場から他社が撤退する中、BMWは電動コンパクトセグメントを本気で押さえにかかります。
- i1は航続距離400km超、走りと質感もプレミアム:i1は航続距離と充電性能を両立し、BMWらしい走りと上質な室内空間を提供する予定です。
次期BMW 1シリーズとは?
現行F70型の後継モデル

次期BMW 1シリーズは、2024年に登場した現行F70型の正統な後継モデルとして開発されています。現行型は内外装の大幅な進化を遂げたものの、プラットフォーム自体は従来のF40型をベースにしていました。これに対し、次期モデルでは新たに電動化を見据えた設計が取り入れられ、BMWの小型車戦略において重要な役割を担うことになります。
エンジン車と電動車を両立する戦略
BMWは次期1シリーズにおいて、ガソリンエンジン車と電気自動車(i1)を同時に展開する「二本立て戦略」を採用します。これにより、従来の内燃機関車ユーザーを取り込みつつ、EV需要の高まりにも応える狙いです。
エンジンモデルには最新の排出規制対応技術が搭載され、電動モデルでは航続距離や走行性能の最適化が図られる予定です。柔軟なラインナップ展開により、多様化する市場ニーズに的確に応える姿勢が打ち出されています。
新型i1の概要
BMW初の電動プレミアムコンパクトカー
BMW i1は、BMWブランド初となる本格的な電動プレミアムコンパクトカーとして開発されています。これまでBMWのEVラインナップはi3、iX1、i4など比較的中型以上のモデルが中心でしたが、i1は都市部ニーズに応えるコンパクトサイズでの投入となります。プラットフォームには新型FAARアーキテクチャが採用され、EVに最適化された設計が施される予定です。
パワートレインについては、単一モーター仕様に加え、上位グレードではデュアルモーターAWD(四輪駆動)モデルの設定も噂されています。航続距離はWLTP基準で400km以上を目指して開発が進められており、都市部の日常使いから中距離移動まで幅広く対応できる性能を備える見込みです。
ターゲット市場とモデル特徴
BMW i1のターゲット市場は、都市部在住のプレミアム志向層です。メルセデス・ベンツAクラスやアウディA3に代わる選択肢を求めるユーザーに向けて、上質な室内空間と俊敏な走行性能を両立させたパッケージが提供されます。
最新世代のiDriveインフォテイメントシステムや、先進運転支援システムも搭載される予定で、小型ながらも妥協のない仕上がりが期待されています。BMWはこのi1で、電動プレミアムコンパクト市場において新たな基準を打ち立てることを目指しています。
電動プレミアムコンパクト市場の現状
EV需要の高まり
世界的な環境規制の強化とともに、EV(電気自動車)需要は急速に高まっています。特に欧州連合(EU)では2035年までにガソリン車・ディーゼル車の新車販売を禁止する方針が打ち出され、各メーカーは電動化戦略を加速させています。この流れの中で、都市部を中心としたコンパクトEVへの関心も急上昇しています。
プレミアムコンパクトEVへの期待と課題
一方で、コンパクトEV市場には課題も存在します。車両価格がバッテリーコストにより高騰しがちであり、利益率を確保しにくいという問題があります。そのため、多くのメーカーが小型プレミアムEV市場から撤退、あるいは開発規模を縮小する動きが見られます。
こうした状況下で、BMWが新型i1を投入することは、単なる新型車発表以上の意味を持ちます。BMWは高級小型EV需要を着実に取り込み、競合不在の市場で存在感を高める狙いです。
メルセデス・アウディ撤退の理由
利益率問題・ブランド戦略転換
メルセデス・ベンツとアウディが電動コンパクトカー市場から撤退を決断した背景には、利益率の問題があります。コンパクトクラスは車両単価が低く、電動化に伴う高額なバッテリーコストを上乗せすると、十分な利益を確保することが難しくなります。このため、両社はより高価格帯の大型EVやSUVに開発資源を集中させる方向へ舵を切っています。
コンパクトEV市場からの撤退背景
さらに、ブランド戦略上の理由も見逃せません。メルセデスは「エントリーラグジュアリー」からの撤退を進め、より高級なSクラスやEQSなどに注力しています。アウディもA1スポーツバックの生産終了を決定し、将来的にはA3クラスも統合または縮小する可能性を示唆しています。両ブランドは、高級志向を強める中で、収益性の低い小型車セグメントを切り捨てる方向性を明確に打ち出しているのです。
BMWが市場独占を狙う理由
BMWの電動化ロードマップ(Neue Klasse含む)
BMWは2030年までに、世界販売台数の半分以上をEVにするという目標を掲げています。その中心となるのが「Neue Klasse(ノイエクラッセ)」と呼ばれる次世代プラットフォームです。このプラットフォームは、モジュール式設計により大小さまざまなボディサイズに対応可能であり、i1のようなコンパクトモデルにも最適化できる設計思想を持っています。BMWは新技術を小型車セグメントにも積極的に展開することで、EVシフトに柔軟に対応しようとしています。
コンパクト市場をあえて取る戦略意図
他社が撤退する中、BMWがあえてコンパクトクラスに注力する理由は明確です。都市部では引き続きコンパクトカーの需要が根強く、EV化によって環境意識の高いユーザー層が新たな購買層として期待できるからです。さらに、1シリーズやi1のようなコンパクトモデルは、若年層や新規顧客をBMWブランドに引き込む役割を担います。プレミアムコンパクトEV市場を抑えることは、将来のブランド基盤強化にも直結するため、BMWにとって極めて戦略的な一手と言えるでしょう。
パワートレインと航続距離予測
新型i1の予想スペック、航続距離
BMW i1には、最新世代の電動パワートレインが搭載される見込みです。エントリーグレードにはシングルモーター前輪駆動(FWD)仕様が用意され、より高性能なバージョンではデュアルモーターによる四輪駆動(AWD)も設定される可能性があります。出力はベースモデルで200〜250馬力、上位仕様では300馬力超となることが予想されています。
航続距離については、WLTP基準で400〜450km程度を目指して開発が進められています。この数値は都市部の日常使用だけでなく、長距離移動にも十分対応できるレベルとなり、実用性を重視するユーザーにも訴求力のある設定です。
プラットフォーム・充電性能について
新型i1は、BMWの新世代FAARプラットフォームをベースに開発されます。このプラットフォームはEV専用設計ではないものの、バッテリーパッケージを最適配置できる柔軟性を備えています。充電性能については、150kW級の急速充電対応が予想され、わずか30分程度で80%までの充電が可能となるでしょう。これにより、日常使いからロングドライブまで幅広く対応できる利便性が確保されます。
競合モデル比較とBMWの優位性
既存競合(EQA、A3 e-tronなど)との比較
新型BMW i1の最大の競合と考えられるのは、メルセデス・ベンツEQAやアウディA3 e-tronです。しかし、メルセデスはEQAを現行世代限りで段階的に縮小する方針を示しており、アウディもA3クラスの小型EV展開を今後見直す動きがあります。こうした背景から、BMW i1はプレミアムコンパクトEV市場で実質的に独走状態となる可能性が高いです。
BMWの強み(走り、質感、ブランド力)
BMW i1は、単なるスペック競争にとどまらず、「駆けぬける歓び」を掲げるBMWらしい走行性能が大きな魅力となります。優れたハンドリング性能、上質なインテリア素材、最先端のインフォテイメントシステムにより、競合モデルを上回る商品力を持つことが期待されています。また、BMWブランドが持つ信頼性とプレミアムイメージも、購入動機を後押しする大きな要素となるでしょう。
市場投入時期・価格予測とまとめ
発売時期と価格帯の見通し
次期BMW 1シリーズおよび新型BMW i1は、2027年後半から2028年初頭にかけて市場投入が予定されています。i1の価格帯については、欧州市場ではエントリーモデルが4万ユーロ台中盤(日本円で約650万円前後)から、上位仕様では5万ユーロ(約800万円)程度になると予想されています。これはプレミアムコンパクトEV市場において競争力のある設定と言えるでしょう。
プレミアムコンパクト市場独占への期待
メルセデス・ベンツやアウディが小型EV市場から後退する中、BMWはi1を武器に電動プレミアムコンパクトセグメントを独占する構えです。
そして、BMWグループのMINIと共同してプレミアムコンパクトカークラスを独占する勢いになるかもしれません。なぜ、BMWはコンパクトカークラスから撤退しないのか?それはMINIで長年コンパクトクラスの開発を行ってきたからではないでしょうか?
MINIでは他社に先駆けて電動MINIの開発、販売に成功しています。メルセデス・ベンツやアウディでは同じグループの自動車会社でもコンパクトクラスの電動化には成功していない。
BMWはMINIを買収することでブランドだけではなく、小型車の開発ノウハウを手に入れたことが、メルセデス・ベンツ、アウディなどのドイツ御三家と大きな差別化も手に入れたことになります。
Reference:autocar.co.uk
FAQ(よくある質問)
Q1. BMW i1とはどんなモデルですか?
BMW i1は、BMW初の本格的な電動プレミアムコンパクトカーで、次期1シリーズと並行して開発されています。
Q2. BMW i1の発売時期はいつですか?
2027年後半から2028年初頭にかけて欧州市場を皮切りに発売される見込みです。
Q3. 航続距離はどのくらいになる予定ですか?
WLTP基準で約400〜450km程度の航続距離を目指して開発が進められています。
Q4. 競合するモデルはありますか?
メルセデスEQAやアウディA3 e-tronなどが挙げられますが、今後両社はコンパクトEV市場から撤退する見込みです。
Q5. BMW i1の価格帯はどのくらいですか?
エントリーモデルで約4万ユーロ中盤(約650万円前後)、上位仕様で5万ユーロ(約800万円)程度と予想されています。
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