BMWグループの新型モデル、X3 G45・M5 G90・ミニクーパー SE J01が、2025年ワールドカーアワードの最終選考に進出したことで、世界中の注目を集めています。
次世代SUV、ハイブリッドスポーツ、都市型EVという異なる個性を持つ3車種が、なぜそれぞれのカテゴリーで評価されたのか。
その理由を探ることで、BMWとMINIが目指す未来のクルマづくりが見えてくるのではないでしょうか?
- BMWとMINIの3車種が主要部門で最終選考入り:BMW X3 G45、M5 G90、ミニクーパー SE J01が、それぞれ異なる部門で最終候補に選出され、ワールドカーアワードでの注目度が高まっています。
- パフォーマンス・実用性・都市型EVで高評価:X3は多用途SUV、M5はPHEVスポーツ、MINI SEは都市向けEVとして、それぞれの個性と完成度が評価されています。
- 受賞のカギはブランド力と革新性:BMWグループの強みである走行性能やデザイン性に加え、環境対応や使いやすさといった現代のニーズへの対応力が評価のポイントとなっています。
ワールドカーアワードとは何か?
世界規模で評価される自動車賞
ワールドカーアワード(World Car Awards)は、世界中の自動車専門ジャーナリストによって選ばれる国際的な自動車賞です。
2004年に創設され、2025年で21回目を迎えます。
世界各国の主要市場で販売されている新型車やフルモデルチェンジ車が対象で、選考は性能・デザイン・環境性能・革新性など多角的な基準で行われます。
6つの主要カテゴリーで評価
アワードは
- 「ワールドカー・オブ・ザ・イヤー」
- 「パフォーマンスカー」
- 「ラグジュアリーカー」
- 「アーバンカー」
- 「EV(電気自動車)」
- 「カーデザイン」
の6部門で構成されています。
各部門で最終候補3台が選ばれ、最終的な受賞車はニューヨーク国際オートショーにて発表されます。
世界100人以上のジャーナリストが審査
審査は、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど29カ国の自動車専門家約100名が担当し、各自の試乗評価に基づいて投票が行われます。
この公平かつグローバルな審査体制により、ワールドカーアワードは世界で最も信頼される自動車賞のひとつとされています。
BMW X3 G45:次世代SUVがなぜ選ばれたのか

X3 G45:洗練されたデザインと多彩なパワートレイン
2025年のワールドカーアワード最終選考に入ったBMW X3 G45は、プレミアムSUVの中でも注目の存在です。
先代よりも洗練されたデザイン、進化した安全機能、多様なパワートレインで、グローバル市場における幅広いニーズに対応しています。
X3 G45型では、大型化したキドニーグリルと空力性能を意識したボディデザインが特徴的で、都会的な印象とスポーティさを両立しています。
また、48Vマイルドハイブリッドやガソリンエンジンをラインアップし、環境性能と走りの楽しさのバランスを追求している。
最新iDriveで快適なドライビング体験を実現するX3 G45
内装では14.9インチの大型曲面ディスプレイを中心とした最新の「iDrive」システムを搭載。
視認性や操作性の高さに加え、Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応し、現代のドライバーが求める利便性を備えています。
プレミアム性が選考の決め手に
競合となるKia EV3やHyundai Insterが価格と電動化技術で評価される中、X3 G45は高品質な素材やドライビング体験の質で一線を画しています。
価格帯はやや高めだが、その分だけ価値を感じさせる作りになっており、「上質な日常」を求めるユーザーに支持される。
これらの要素が評価され、BMW X3 G45は世界中のジャーナリストから高得点を獲得。
まさに「次世代SUVの基準」として、ワールドカーアワードでの受賞にふさわしいモデルといえる。
BMW M5 G90:電動化と走りを両立するハイブリッドパフォーマンス

高性能と環境性能の両立を目指すPHEVシステム
BMW M5 G90は、プラグインハイブリッド(PHEV)を採用した初のM5として登場し、2025年のワールドパフォーマンスカー部門に選出されました。
環境配慮と高性能の両立を目指し、スポーツカーの常識を塗り替える存在です。
搭載されるパワーユニットは、4.4リッターV型8気筒ツインターボエンジンと電気モーターの組み合わせで、システム出力は717馬力、最大トルクは1000Nm近くに達します。
このスペックにより、0-100km/h加速はわずか3.5秒と、従来モデル以上の加速性能を実現しています。
重量増を感じさせない俊敏なハンドリング
バッテリー搭載により重量は増加しましたが、BMWは車体剛性と足回りを最適化することで、俊敏なコーナリング性能と安定性を確保しています。
ドライブモードの選択肢も豊富で、EVモードやハイブリッドモードなど、シーンに応じた走行が可能です。
内外装も一新され、M専用パーツや先進的なインターフェースにより、運転時の没入感を高めています。
最新のiDriveシステムやデジタルメーターは視認性と操作性に優れ、日常使いでも扱いやすい設計となっています。
強力なライバルとの直接対決
今回の選考で競合するのは、ポルシェ911 カレラGTSとタイカン ターボGTという強豪です。
911は伝統的な後輪駆動スポーツカーとしての完成度が高く、タイカンはEVとしての圧倒的な加速力を武器にしています。
対してM5は、内燃機関と電動化の両立による多面的な性能が評価されており、「未来型スポーツセダン」としての新たな地位を築きつつあります。
ミニクーパー SE J01:都市型EVがアーバンカー部門に食い込んだ理由

コンパクトEVとしての完成度の高さ
ミニクーパー SE J01は、2025年のワールドアーバンカー部門で最終候補に選ばれた数少ないヨーロッパ車のひとつです。
全長4メートル未満というコンパクトなサイズながら、最新の電動パワートレインを搭載し、都市部での使い勝手を追求した一台となっています。
モーター出力は135kW(約184馬力)で、小型車ながら十分な加速性能を発揮します。
バッテリー容量は約40kWhで、都市走行を中心とする利用であれば実用上十分な航続距離を確保しています。
充電も急速対応で、利便性が高いのが特長です。
ブランドの個性と質感が際立つデザイン
エクステリアは伝統的なミニのスタイルを継承しつつ、LEDライトやシームレスなボディラインで未来感を演出。
インテリアには大型の円形OLEDディスプレイが中央に配置され、直感的に操作できる新設計のユーザーインターフェースが採用されています。
全体としてプレミアム感のある空間づくりが評価されています。
特に欧州市場では、電動車であっても「デザイン性」と「操作感の良さ」を重視するユーザーが多く、ミニのブランドが持つ個性と品質の高さが選考理由のひとつになったと考えられます。
ライバルとの違いと評価ポイント
競合には中国のBYDシーガル/ドルフィン・ミニ、韓国のヒョンデ インスター/キャスパー エレクトリックなどが含まれています。
これらは価格の安さと実用性を武器にしていますが、ミニクーパー SEはそれらと一線を画す「プレミアムな都市型EV」として評価されています。
価格面ではやや高価ですが、欧州を中心にブランドへの信頼感が高く、日常の移動だけでなく、所有する満足感も提供する点が評価につながっています。
このように、走行性能・デザイン・ブランド力の三位一体で、J01はアーバンカー部門に選ばれる実力を備えています。
なぜBMWとMINIはデザイン・ラグジュアリー部門に選ばれなかったのか?
注目モデルが候補外となった理由とは
2025年ワールドカーアワードにおいて、BMWとMINIは複数の部門で最終候補に選ばれた一方、デザイン部門とラグジュアリー部門には選出されませんでした。
これは、近年のBMWのデザイン戦略やモデル展開と関係していると考えられます。
7シリーズやXMの不在が影響

ラグジュアリー部門では例年、BMW 7シリーズやXMなどが候補になることが期待されていましたが、今回はその姿がありませんでした。
一因として、これらのモデルがすでに前年までに市場に投入されており、選考期間とのずれが影響した可能性があります。
また、XMは高性能かつ先進的なSUVでありながら、内外装のデザインが評価を分けており、世界的に意見が割れるデザインだった点も影響したとみられます。
デザイン部門でのライバルの強さ
デザイン部門では、トヨタ ランドクルーザーやフォルクスワーゲン ID. Buzz、Kia EV3などが選出されています。
これらは、革新性と親しみやすさを兼ね備えたデザインで高い評価を得ています。
対してBMWの現行モデルは、大胆さと伝統の融合を狙ったスタイルが好みを分ける傾向にあり、幅広い支持を得るには至らなかったと見られます。
ワールドカーアワードでのBMWグループの可能性と今後の展望
受賞に向けた注目点と強み
BMWグループは、2025年のワールドカーアワードにおいて複数のカテゴリーで最終候補に選出されており、いずれも受賞の可能性を秘めています。
X3 G45は世界的に人気の高いプレミアムSUVとして、高い実用性と先進技術が評価されています。
M5 G90はPHEV化により、パフォーマンスと環境性能の両立という時代の要請に応える存在です。
MINIの個性が都市型EV市場で存在感を発揮
ミニクーパー SE J01も、都市型EVとしての完成度の高さに加え、ブランドの魅力が際立っています。
特に欧州市場においては、他社製の安価なEVに対して差別化された選択肢として強みを発揮しています。
今後の課題とブランド戦略の鍵
一方で、BMWグループが今後さらに高い評価を得るためには、デザインや内装品質といった感性面での改善も重要です。
また、より幅広いユーザー層に訴求する価格戦略や地域ごとのニーズに応じた展開がカギとなるでしょう。
このように、今後の進化次第で、BMWとMINIはグローバル市場における地位をさらに確固たるものにする可能性があります。
Reference:worldcarawards.com
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