ミニ クロスオーバーからミニ カントリーマンへ名前が変わった理由これまでミニのSUVタイプの車両は日本では「クロスオーバー」という名称で販売されていました。しかし、今回のフルモデルチェンジの際に日本以外の国と同様に「カントリーマン」という名称に変更され販売されています。なぜ今回名称が変更されたのでしょうか?

そもそもカントリーマンとは?

ミニ クロスオーバーからミニ カントリーマンへ名前が変わった理由(引用元:classca.jpより)

ローバーミニ時代に存在した「ミニ」の名称が、「ミニ・カントリーマン」の由来となっています。

ローバーミニは、1959年に英国のオートメーカーであるブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)が生産を開始した、伝説的な小型車です。

「ミニ・カントリーマン」という名称は、オリジナルのミニ車の派生モデルを指します。

このモデルは、ミニのコンパクトで可愛らしいデザインを維持しつつ、よりアウトドアや冒険的な要素を取り入れた車両として開発されました。

1960年代に導入された初代のミニ・カントリーマンは、ステーションワゴンタイプのボディスタイルを持ち、より大きな荷室スペースを提供しました。

これにより、ユーザーはより多くの荷物や旅行用品を積載し、アウトドアアクティビティや家族旅行に便利に利用できました。

また、ミニ・カントリーマンはオールウェザーの走行性能や多目的性を強調し、ミニブランドの中でもより冒険心をくすぐるモデルとして位置付けられました。

この名前の由来は、当時の自動車市場におけるアウトドア志向の需要や、英国の田園風景に適した走行性能を反映しています。

このように、ローバーミニ時代に数多く作られた派生車種の中の1台がカントリーマンであり、現在のSUV車のイメージであるアウトドアアクティビティに適した車としてミニのSUVにはカントリーマンという名称が与えられたのです。

日本で発売されたミニのSUVがカントリーマンではなかった理由

日本でミニがクロスオーバーを発売した2010年にミニがカントリーマンという名称で発売をしなかった理由は商標登録が取得できなかったからです。

商標登録とは、自分の商品やサービスを他の人と区別するためのマークやロゴを法律で保護することです。

登録すると、他の人が同じマークを使うことを制限できます。

つまり、自分の商品やサービスを他と区別して守ることができるわけです。

要するに、ミニが2010年にSUVタイプの車を発売する以前に既に別の個人又は法人が自動車に関する領域で「カントリーマン」という名称を商標登録して他人が勝手に使用できないようにしていたため、ミニはやむを得ず日本だけクロスオーバーという車名を採用しました。

ミニ クロスオーバーからミニ カントリーマンへ名前が変わった理由(引用元:j-platpat.inpit.go.jpより)

商標登録されているものを検索するサイトでカントリーマンと検索すると、上記のページが表示されました。

3番は出願人が株式会社カントリーマンなので別ですが、それ以外はカントリーマンという文字がローマ字と読み方で商標登録されていることが分かります。

出願人のバイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシャフトは日本でバイエルン・モーター製造株式会社となりますので、BMWのことです。

よって、現在では日本での少なくても自動車領域の中ではカントリーマンという名称はBMWが使用する権利を有していることになります。

ミニ クロスオーバーからミニ カントリーマンへ名前が変わった理由(引用元:j-platpat.inpit.go.jpより)

問題は先程の一覧の2番にあったCOUTRYMAN(カントリーマン)という名称です。

出願経緯→出願情報と見ていくと、当初日本で自動車領域でCOUTRYMAN(カントリーマン)という名称の権利を持っていたのが株式会社デルタという会社になっています。

よって、ミニは日本ではカントリーマンという名称を使用することができなかったために、クロスオーバーという名称で発売するしか方法がなかったということになります。

株式会社デルタってどんな会社?

ミニ クロスオーバーからミニ カントリーマンへ名前が変わった理由(引用元:delta-mini.comより)

このように株式会社デルタさんはローバーミニを専門とする中古車とパーツ販売、整備、レストアなどを行うローバーミニ時代からミニの業界では有名なショップを運営する会社でした。

私もR53型ミニクーパーSを所有していた時に何度か足を運んだことがあります。

なので、当時はローバーミニとBMW MINIの両方の専門ショップとして関西最大級のショップになっていたと記憶しています。

そのショップがなぜカントリーマンという商標登録を所有する必要があったのか?

ミニ クロスオーバーからミニ カントリーマンへ名前が変わった理由その理由がこちらになります。

このBMW ミニ クラブマンにローバーミニ時代のカントリーマンの特徴である木枠(実際に木製ではありませんが)を取り付けるキットをカントリーマンキットとして販売するために、恐らくカントリーマンという商標を取得したのだと思います。

たまたまなのか?意図的なのか?は不明ですが、BMWよりデルタさんの方が申請するのが早かったために、日本ではカントリーマンという商標の権利がデルタさんが所有することになった経緯だと思われます。

私の記憶でもこのカントリーマンキットは人気で、かなり長期の納期待ちが発生していたと思います。

結局カントリーマンという商標問題はどうなったのか?

このカントリーマンという商標が2023年にデルタさんからBMWに譲渡?という記録が残っています。

よって、2024年に発売されたミニのSUVモデルは日本以外の国と同じカントリーマンとして発売することができたのだと思われます。

この譲渡が期限切れでデルタさんが更新しなかった(商標登録は10年更新)のか?デルタさんがBMWに商標権を譲ったのかは不明です。

私だったら譲らずに権利をBMWに貸すことで毎年使用料をもらえるように交渉すると思います。

実際に日本ではApple社のiPhone(アイフォン)という商標はApple社の前にアイホンという会社が商標登録済でした。

よって、日本ではiPhoneを日本語で表記する場合はアイフォーンと表記するのが正式だと思いますが、それはアイホンがアイフォンという商標権を所有しているためです。

また、iPhoneというローマ字もアイホンが商標権を持っています。

よって、Apple社はアイホンに商標使用料を年間100億円以上支払っていると聞いたことがあります。

なので、譲渡するよりも使用料をもらうのが経済的に合理性が高いと思いますが、使用料をもらうぐらいなら2010年から使用料をもらっていると思います。

この辺の経緯は不明ですが、たぶんお金ではない何かが関係しているのかもしれません。