BMWの電動M3「ZA0」で注目を集めているのが、新サウンドシステムとして語られる「サウンドスケープ(Soundscape)」です。
従来のASD(アクティブサウンドデザイン)と同じ“フェイクサウンド”の延長だと誤解されがちですが、内燃機関が存在しないEVでは前提条件がまったく違います。
そこで本記事では、サウンドスケープが何を指し、ASDと何が違うのかを、私の考察も交えつつ整理します。
❗️記事3行まとめ
✓BMW 電動M3 ZA0のサウンドスケープとは
✓ASDとの決定的な違いは前提と役割
✓フェイクサウンドの誤解を事実で整理
BMW 電動M3 ZA0とは何か

ZA0は、次期BMW M3のフル電動モデルを指す開発コードとして報じられている呼称です。
内燃機関を搭載しないため、排気音や燃焼の鼓動といった“エンジン由来の音”は物理的に発生しません。
一方で、プロトタイプについては前後アクスルにモーターを搭載し、最大で4モーター構成が想定されること、状況により前輪側を切り離して後輪駆動のように振る舞わせるモードが検討されていることも伝えられています。
私は、この「走りのキャラクターを電動で作り込む」流れが、音の作り方にも直結すると見ています。
新サウンド「サウンドスケープ」とは何か
サウンドスケープという言葉が指すもの
BMW 電動M3 ZA0で語られている「サウンドスケープ(Soundscape)」は、現時点で正式な商品名が公表されているわけではなく、BMW側や海外メディアが用いている概念的な呼称です。
重要なのは、これが単なる疑似エンジン音や演出音を指す言葉ではなく、電動Mモデル専用に設計された音響全体の考え方を示している点です。
内燃機関を持たないEVでは、エンジン音を補助・強調するという従来の発想が成立しません。
そのためBMWは、音そのものを走行体験の一部として再構築する必要に迫られました。
その答えとして示されているのが、このサウンドスケープです。
実在したMエンジン音を「素材」として使う仕組み
サウンドスケープでは過去のMモデルに搭載されてきた実在エンジンの音が収録されています。
具体的には、BMWの伝統を象徴する直列6気筒、高回転型のV8、そしてE60型M5などで知られるV10です。
ここで誤解されやすいのは、これら3種類のエンジン音を常時同時にブレンドして鳴らしているわけではないという点です。
実際には、それぞれの音は「素材」として扱われ、モーターの回転数やトルクの立ち上がり、加減速の状態に応じて音の性格が変化するよう設計されていると説明されています。
EV専用に再構築された音響体験
サウンドスケープの本質は、過去の名エンジン音をそのまま再生することではありません。
電動モーター特有の回転音や加速フィールと組み合わせ、EVとして一貫性のある音響体験を構築する点にあります。
私はここに、BMWが「エンジン音の再現」ではなく「Mらしい高揚感の再設計」を狙っている姿勢を感じます。
サウンドスケープはEVであることを前提に、音を主役としてゼロから設計した仕組みだと言えます。
従来のASD(アクティブサウンドデザイン)とは

ASD(アクティブサウンドデザイン)は、BMWが内燃機関車に採用してきた音響制御技術です。
エンジン回転数やスロットル開度、走行モードといった車両データに応じて、車内スピーカーから音を出すことで、実際のエンジン音を補強・演出する役割を担っていました。
ASDはあくまでエンジンが存在することを前提とした技術であり、排気音や機械音と組み合わせて使われる点が特徴です。
またASDは、主に車内での体感を目的としており、ドライバーに対して走行感覚を分かりやすく伝える補助的な位置付けでした。
エンジンの静音化が進んだ世代では、物足りなさを補うための手段として使われることもありましたが、音そのものが走りの主役になることはありません。
ここを整理すると、ASDは「実音を前提にした後付けの補助技術」であり、電動M3で語られるサウンドスケープとは出発点から異なる存在だと理解できます。
サウンドスケープとASDの決定的な違い
前提条件の違い:エンジンが存在するか否か
サウンドスケープとASDの最大の違いは、音が設計される前提条件にあります。
ASDは、実際にエンジンが存在し、その音が物理的に発生していることを前提にした技術です。
排気音や機械音がベースにあり、それを補助・強調するためにスピーカー音を重ねるという考え方でした。
一方、電動M3 ZA0では内燃機関が存在しません。
つまり、補強すべき実音そのものがなく、音はゼロから設計する必要があります。
この時点で、ASDの延長線上では成立しないことが分かります。
音の役割の違い:補助か、主役か
ASDにおける音の役割は、あくまで走行感覚を分かりやすく伝えるための補助でした。
音が走りの中心に立つことはなく、実際のエンジン挙動を裏方として支える存在です。
対してサウンドスケープは、EVである電動M3において、走行体験を構成する主要な要素のひとつとして位置付けられています。
私はこの点に、BMWが音を「付加価値」ではなく「設計要素」として扱っている姿勢を感じます。
設計思想の違い:後付けか、ゼロベースか
ASDは既存のエンジン車に後付けされる形で成立した技術でしたが、サウンドスケープはEVであることを前提に、最初から組み込まれる音響設計です。
過去のMエンジン音を素材として使いながらも、そのまま再生するのではなく、モーターの特性に合わせて再構築されている点が特徴です。
こうして整理すると、両者は似た印象を持たれがちでも、思想も役割も根本的に異なる仕組みだと理解できます。
まとめ:電動M3の音はASDとは別物として設計されている
電動M3 ZA0に採用されるサウンドスケープは、従来のASDとは前提条件、役割、設計思想のすべてが異なります。
ASDが実エンジン音を補助する技術であったのに対し、サウンドスケープはエンジンを持たないEVで走行体験を成立させるための音そのものです。
フェイクサウンドという言葉だけで両者を同列に扱うと、この違いは見えません。
電動M3の音はASDの進化形ではなく、別物として設計されていると言えます。
BMW M Electrified – Episode 4. A new Era of Performance and Driving Dynamics.
Reference:motor1.com
よくある質問(FAQ)
Q1. 「サウンドスケープ」とは何ですか?
電動M3 ZA0で語られる「サウンドスケープ」は、EV専用に設計された音響体験全体を指す概念です。単なる疑似エンジン音ではなく、モーター特性に合わせて音を再構築する考え方として説明されています。
Q2. サウンドスケープはASD(アクティブサウンドデザイン)と同じですか?
同じではありません。ASDは実エンジン音が存在する内燃機関車を前提に、音を補助・強調する技術です。一方サウンドスケープは、エンジンが存在しないEVで音をゼロから設計する仕組みとして整理できます。
Q3. 直6・V8・V10の音は「3つを同時にブレンド」して鳴らすのですか?
参照記事の説明では、これらの実在エンジン音は「素材」として収録され、走行状況に応じて音の性格を変える方向で設計されるとされています。常時3つの音を同時に混ぜて鳴らす、という単純な話ではありません。
Q4. フェイクサウンド(擬似音)という理解で問題ないですか?
「エンジンが鳴っているわけではない」という意味では擬似音ですが、ASDのような補助音とは役割が異なります。電動M3では走行体験を成立させる主要要素として音が設計されるため、同列に扱うと違いが見えにくくなります。
Q5. サウンドスケープは正式名称(商品名)なのですか?
現時点の報道では「Soundscape(サウンドスケープ)」は概念的な呼び方として使われており、正式な商品名として確定しているとは言い切れません。本記事では参照記事の表現に沿って「サウンドスケープ」として説明しています。





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