EV版 BMW X3M ZA5にもM3 ZA0にも車名に「i」が付かない理由と問題点について解説します。
2026年以降に本格導入されるNeue Klasse(ノイエ・クラッセ)を背景に、X3Mは2027年にEV専用のZA5として、2028年にはM3はZA0として登場見込みです。
どちらもEVでありながら「i」を名乗らない方針が報じられており、その狙いとメリット、そして市場で生じうる課題を整理します。
- 「i」バッジ非採用の理由:EVでも従来名称を維持し、Mブランドの価値とファン層の連続性を守る戦略。
- X3M ZA5の最新スペック:900馬力級、4モーター構成、800V充電対応など先進性能を搭載。
- 同名モデル併存の課題:EV版とICE版M3が継続併売され、識別性の確保が長期的課題に
BMW MモデルEV化の流れ

発売ロードマップ:iX3(NA5・2026年)→X3M EV(ZA5・2027年)→M3 EV(ZA0・2028年)
BMWは2026年にNeue Klasse(ノイエ・クラッセ)量産第1弾として中型SUVのiX3(NA5)を投入します。
翌2027年には、このiX3をベースにしたハイパフォーマンス版であるX3M EV(ZA5)が登場見込みです。
さらにその翌年、2028年にはMブランドの象徴であるM3のEV版(ZA0)が続く流れです。
派生としてX4M EV(ZA7)も控えており、Mハイパフォーマンスの電動化は段階的に上位モデルから広がっていく構図になります。
ガソリン後継の打ち切りとMブランドの電動シフト
現行のX3M(G01系)やX4M(G02系)には、ガソリンやハイブリッドの後継モデルを設定しない方針が示唆されています。
BMWは量販領域では内燃機関を一定期間併売しつつ、Mの頂点領域ではEVを最上位に据える戦略へ舵を切りました。
これにより「M=最高性能」というブランド認知をそのままEV時代へ橋渡しが可能となります。
車名に「i」が付かない理由

Mブランド継続性の維持——EV時代でも名前を変えない
BMWのEVは通常、「i4」「i5」「i7」「iX」など“i”バッジを付けて統一されています。
しかし、X3M EV(ZA5)、M3 EV(ZA0)などは、EVであっても従来どおり「X3M」「M3」を名乗る方針です。
これは、BMW Mがブランドの象徴的モデルとその歴史的なネーミングを守り、ガソリン車からEVへの移行期においても連続性を確保するための戦略です。
この決定は「もっとも象徴的なモデルとの連続性を維持するための意図的な動き」と考えられます。
ブランド価値の保持とファン層への配慮
長年にわたり築き上げられた「M3」「X3M」という名称は、BMW Mにとって単なる車名ではなくブランド資産そのものです。
仮に“i”を付けた新名称に変更すれば、従来モデルとの直接的なつながりが希薄になり、ファン層が受ける印象も変わってしまう可能性があります。
そのため、BMWはEV化しても名称を変えず、既存ファンや市場における認知度を維持する道を選びました。
他社動向との対比——ネーミングの複雑化を回避
一部メーカーでは電動化の過程でネーミング体系が複雑化し、動力源やグレードの違いが直感的に伝わらなくなる事例が見られます。
こうした混乱を避けるため、BMWはMモデルについては“i”を付けず、シンプルな「M」の記号を維持する方針を採用しました。
他ブランドが市場反応を受けてネーミングやエンジン構成を再調整する例が紹介されており、BMWはその逆を行く形で一貫性を優先していることが分かります。
ネーミング戦略のメリットと問題点

メリット:ブランドの継続性とファン層の維持
最大の利点は、Mモデルの象徴的な名称を維持することでブランド価値を損なわずにEV時代へ移行できる点です。
「もっとも象徴的なモデルとの連続性を維持する」という方針は、既存ファンの心理的ハードルを下げます。
ガソリン車からEVへと動力源が変わっても、名称が変わらなければ、オーナーや市場は同じ系譜として受け止めやすくなります。
これにより、販売面でも既存顧客の乗り換えを促進できる効果が期待されます。
メリット:シンプルで分かりやすいラインナップ構造
BMWのEVは通常“i”バッジで統一されますが、Mモデルはその例外とすることで、ラインナップ内での位置づけが明確になります。
Mモデル以外は「iX3 50 xDrive」や「i5」など“i”を冠することが確認されており、この一貫したルールにより、Mは最高性能の証という理解を世界市場で共有しやすくなります。
問題点:EVとICEの同名モデルが継続的に併存
M3の場合、EV版のZA0とガソリン版のG84が同時期に市場で継続的に販売されます。
どちらも「M3」という同一名称を用いるため、動力源の違いは型式コードやスペック表記を確認しない限り判別が難しくなります。
この併存は一時的な移行期の現象ではなく、BMWが戦略的に両パワートレインを並行展開する方針によるものです。
ブランドの一貫性というメリットを維持しつつも、ユーザーや市場での識別性確保が長期的な課題として残ることになります。
問題点:一部市場での“i”バッジ認知との乖離
BMWは2010年代以降、EVやPHEVモデルに“i”を付ける戦略を採ってきました。
このため、一部市場では“i”=電動化という認知が根付いています。
そこにMモデルだけが例外として登場すると、初期段階では「本当にEVなのか?」という混乱を招く可能性があります。
Mモデル以外は“i”を維持する一方、Mは例外という二重構造が指摘されており、市場の受け止め方次第では戦略修正の余地も残ります。
今後の展望と他モデルへの波及

次期X4M(ZA7)や他Mモデルへの展開
X3M EV(ZA5)の後にはX4M EV(ZA7)が控えており、両者は多くのコンポーネントを共有するとみられます。
さらに、M5やX5Mなどの大型Mモデルでも同様のネーミング戦略が適用される可能性が高く、Mブランド全体で“i”を付けない方針が浸透する可能性があります。
Neue Klasse世代での一貫性確保
Neue Klasseは2026年以降、BMWのEV戦略の中心となります。
このプラットフォームで展開されるMモデルは、性能・デザイン・ネーミングすべてにおいて一貫性が重視される見込みです。
“i”を外すという今回の決定は、その一環として将来のMブランドを統一的に位置づける布石と考えられます。
市場の反応と調整の可能性
もっとも、この戦略が長期的に継続されるかは市場の反応次第です。
もしEV版Mモデルとガソリン版の混同が深刻化すれば、識別性を高めるための新たな命名ルールが導入される可能性もあります。
BMWとしては、ブランド資産の維持と市場での明確な差別化、その両立が求められる局面に立っています。
まとめ:BMW EV版Mモデルのネーミング戦略と課題
EV版BMW X3M ZA5とM3 ZA0が「i」バッジを付けないのは、Mブランドの連続性を維持し、象徴的なモデルの価値をそのままEV時代へ引き継ぐための戦略です。
Neue Klasse世代として高性能かつ先進的な技術を搭載しながらも、名称を変えないことで既存ファン層に安心感を与え、市場での認知度を維持します。
一方で、ガソリン車とEVの区別が付きにくくなるなどの課題も存在し、今後の市場反応や販売現場での対応が注目されます。
ブランド価値の維持と識別性の確保、その両立がBMWにとって重要なテーマとなるでしょう。
Reference:carbuzz.com
よくある質問(FAQ)
Q1. なぜX3M ZA5とM3 ZA0は「i」を付けないのですか?
BMW Mブランドの連続性を維持し、象徴的なモデル名をEV時代にも引き継ぐためです。名称を変えないことで既存ファン層への認知を守ります。
Q2. M3 ZA0とガソリン版M3 G84は同時に販売されますか?
はい。両モデルは同一名称を持ちながら異なる動力源で継続的に併売される予定です。識別には型式コードや仕様の確認が必要です。
Q3. X3M ZA5の発売時期はいつですか?
X3M EV(ZA5)は2027年の発売が予定されています。前年度の2026年にはベースモデルとなるiX3(NA5)が登場します。
Q4. X3M ZA5の主なスペックは?
800〜900馬力級の出力を想定し、4モーター構成とHeart of Joy制御を搭載。800V充電対応で10分間で約350km分の充電が可能です。
Q5. このネーミング戦略の課題は何ですか?
EVとICEの同名モデルが市場に併存することで識別が難しくなります。長期的にはユーザーと市場の混乱を防ぐ対策が求められます。
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