BMWが送り出したハイパフォーマンスSUV「XM G09」が、2025年を前にして大きな転換期を迎えています。V8エンジンを搭載した中核グレードが廃止され、今後は「Label Red」と「50e」の2モデルに集約される方針が明らかになりました。
本記事では、グレード削減の背景や残る2モデルの違い、価格や装備の最新情報、さらには「いつまで買えるのか」という販売スケジュールに至るまで、最新動向を専門的に解説します。BMW XMの今と未来を見極めたい方に必読の内容です。
- グレード削減で「V8モデル」は終了:BMW XM G09の653ps仕様が廃止され、今後は「Label Red」と「50e」の2モデル体制となります。
- 残るモデルの特徴と選び方を詳解:高性能のLabel Redと実用性重視の50e、それぞれの魅力と最適な選び方を解説しています。
- フルモデルチェンジは不透明、購入は今がチャンス:次期XMの開発計画は不明瞭で、現行モデルの終息が近づいています。買うなら今が好機です。
BMW XM G09とは何か?その位置づけと誕生背景

ハイパフォーマンスSUVとしての使命
BMW XM G09は、BMW M社が手がけた初の電動化ハイパフォーマンスSUVとして2022年にデビューしました。通常のBMW車をベースにしたMモデルとは異なり、XMはM専用設計のボディを採用しており、その存在自体が異例です。PHEV(プラグインハイブリッド)システムを搭載しながら、V8エンジンとモーターを組み合わせたシステム出力653psという圧倒的な動力性能を誇ります。このスペックは、競合他社の高性能SUVを凌駕する水準であり、Mブランドの未来を担う象徴的な存在として注目されました。
BMW M初の専用モデルとしての意義
XM G09はBMW M GmbHの50周年を記念して投入された特別なモデルであり、初めてベース車両を持たないM専用車です。M1以来の“純粋なMモデル”という位置づけから、開発陣も強い意気込みを持って市場に送り出しました。そのため、従来のXシリーズとも異なるボディライン、インテリアデザイン、さらに特別設計されたドライビングモードやシャシー制御技術など、独自性の高い仕様が与えられています。
販売当初の市場評価と受容の実態
当初はそのユニークな立ち位置から多くの注目を集めたXM G09ですが、市場での反応は賛否両論でした。スペックや高級装備に対する評価は高かった一方、全体的なデザインや価格帯の強気な設定に戸惑う声も見られました。特に欧州市場では、重量税や排出規制の観点から導入が限定的となり、2025年第一四半期には世界販売台数が前年同期比で14.3%減の1,770台という結果にとどまりました。
グレード削減の実態とその背景
削減対象:V8搭載・653馬力仕様の概要
2025年のモデルイヤー変更に伴い、BMWはXM G09のラインナップを大幅に見直す方針を打ち出しました。その中で削減されることが確定したのが、システム出力653psを誇る“標準グレード”のV8モデルです。
このモデルは、4.4L V型8気筒エンジンとモーターを組み合わせたPHEV構成で、0-100km/h加速はわずか4.3秒という高性能を実現していました。しかし、明確なグレード名称を持たない中間ポジションにあり、結果的に販売面での存在感が薄れていったのです。
需要の偏りとモデル間の販売バランス
実際の市場では、販売が2極化する傾向が顕著になっていました。価格の安い直6エンジンの「XM 50e」と、Mブランド史上最強の748psを誇る「XM Label Red」が人気を集め、中間に位置する653psモデルの需要は次第に低下していきました。高性能を求める層はLabel Redへ、価格を重視する層は50eへと流れた結果、653psモデルは戦略的に“宙ぶらりん”の存在となっていました。
欧州CO₂規制やコスト最適化の観点
このグレード削減の背景には、欧州市場における厳格なCO₂排出規制の強化も影響しています。V8エンジンは排出量が高いため、メーカーとしては平均排出量を抑えるためのラインナップ整理が必要でした。加えて、生産効率の向上やパーツ共通化といったコスト最適化の観点からも、売れ行きの悪い中間モデルを廃止する判断は合理的だったといえます。事実、BMWは今後のリソースをより収益性の高いモデルへと集中させる方向へ舵を切っています。
残存グレード「Label Red」「50e」の詳細分析
Label Red:748psを誇るフラッグシップ
BMW XM Label Redは、M社史上最強の出力を誇るフラッグシップモデルとして2023年に登場しました。パワートレインは4.4L V型8気筒ツインターボと電動モーターの組み合わせで、システム出力は748ps(最大トルク1000Nm)に達します。
0-100km/h加速はわずか3.8秒というスーパーカー並みの俊足ぶりです。専用のチューニングが施されたサスペンションやM専用ドライブモード、専用バッジやカラートリムなど、見た目と走行性能の両面で差別化が図られています。まさに「ラグジュアリー×過激」の象徴とも言えるモデルであり、富裕層を中心に一定の需要を獲得しています。
XM 50e:直列6気筒+PHEVという選択肢
一方、XM 50eは2024年に追加されたエントリーグレードで、直列6気筒エンジンと電動モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHEV)モデルです。システム出力は476psに設定されており、Label Redに比べれば控えめですが、一般的なプレミアムSUVとしては十分なパフォーマンスを発揮します。
また価格帯が132,400ユーロ(ドイツ市場)からと大幅に下がるため、企業ユースや日常使用を前提とするユーザーから高い評価を得ています。EV走行距離や燃費性能にも配慮されており、環境規制の厳しい欧州市場では特に存在感を放つグレードです。
残存モデルが持つ商品力と市場戦略的意義
グレード削減を経て残ったLabel Redと50eは、BMW XMのラインナップ戦略において“両極”を象徴する存在です。超高性能かつ高価格帯でブランド価値を高めるLabel Redと、日常性と環境性能を両立した50e。
この2モデル体制は、従来の中間グレードの曖昧さを排除し、明確なターゲット層へ訴求できる構成となっています。BMWはこの再編により、生産効率と販売戦略の最適化を進めるだけでなく、ブランドのプレミアム性と持続可能性の両立を図っていると考えられます。
価格戦略と装備の変化 ―「個性化」から「整理」へ
2025年モデルの価格変動と背景
2025年モデルのBMW XMは、価格戦略にも調整が加えられています。特に欧州市場では価格の見直しが予告されており、Label Redの販売価格が203,000ユーロから200,000ユーロ未満に引き下げられる可能性が指摘されています。
これは新型M5やM5ツーリングが727psという類似スペックで14万ユーロ台から購入可能になった影響を受けたものとみられます。一方、50eは元々価格を抑えた設定で、グレード集約によってその存在感がより高まると見られています。
内外装カラー・ホイール・オプション構成の見直し
2025年のラインナップ変更に伴い、装備面でも「カスタマイズ」よりも「統一感」を重視する方針へと転換しています。
ボディカラーには新色が数種類追加される一方で、インディビジュアルオーダーによる特注設定は縮小傾向にあります。
また、ホイールデザインや内装カラーも整理され、パッケージ構成の簡略化が図られました。これにより、在庫管理や生産効率の向上が見込まれると同時に、ユーザー側の選択負担も軽減されるメリットがあります。
欧米市場での装備戦略の違い
装備内容やオプション設定は、地域ごとに異なる戦略が取られています。たとえばアメリカ市場では、インディビジュアルカラーが無料オプションとして提供される一方、欧州市場では同等の仕様が有料になるケースもあります。
また、米国ではBowers & WilkinsのサウンドシステムやMドライバーパッケージが選択装備として明示されていますが、欧州では装備パッケージとして統合されていることが多く、価格表示も異なります。このように、販売戦略はグローバルで統一されているようでいて、実際は地域ニーズに合わせた柔軟な調整が施されているのが実情です。
今後の販売スケジュールとモデルライフの見通し
G09型の生産終了予測と最終オーダー時期
BMW XM G09の中核グレードが整理されたことにより、モデル全体の生産終了時期にも注目が集まっています。現在、BMWから正式な終了時期の発表はありませんが、複数の業界筋によれば、2026年モデルイヤーをもって生産終了の可能性が高いとされています。
特に欧州市場では排出規制強化の影響もあり、2025年後半以降に最終オーダー受付が終了するシナリオが濃厚です。生産終了が視野に入った段階で、ディーラー在庫や限定仕様などに対する価格交渉の余地も生まれてくるでしょう。
次期XMの可能性:フル電動化かフェードアウトか
G09の後継モデルについては公式情報がない一方で、将来的な電動化の流れは避けられません。一時期は「XMの第2世代はBEV(完全電動)になる」との報道もありましたが、近年ではその計画が凍結されたとの見方が強まっています。
BMWはiX5やiX7といった大型EV SUVを別路線で開発中であり、XMの位置づけが重複しているため、次期XMが開発されずにフェードアウトする可能性も現実味を帯びてきました。特にM部門が今後のV8車種の縮小を進めている背景もあり、電動化に舵を切るには明確な戦略が必要です。
iX5/iX6/iX7との関係とM部門の開発動向
BMWは現在、電動SUVラインナップを拡充しており、「iX5」「iX6」「iX7」などの開発を進めています。これらは従来のXシリーズの電動版であり、PHEVではなく完全なBEVとして設計されています。
M部門としては、これらのモデルのハイパフォーマンスバージョンを将来的に担当する可能性があり、XMの役割は他の電動Mモデルへと分散されていくことが考えられます。今後はALPINAブランドとの連携によってラグジュアリーとスポーツ性を両立する新たな電動パフォーマンスSUVが登場するかもしれません。
ユーザー視点での買い時と選び方のポイント
どのモデルが「今買うべきXM」か
現行XM G09の中で「今、買うべきモデル」として注目されるのは、やはりLabel Redです。その理由は、まず第一にBMW M社史上最高出力を誇るという希少性にあります。また、今後V8モデルの新規投入が減少する見込みであることから、再販価値という観点でも有利です。
豪華装備もほぼ標準で備わっているため、追加コストが抑えられる点もポイントです。既にG09全体が終息フェーズに入っている可能性が高く、「最後のV8 Mモデル」としての価値も注目されています。
Label Redと50eのどちらを選ぶべきか
選択の基準は、用途と予算、そして維持コストにあります。Label Redは強烈なパワーと存在感を持ち、週末のドライブや趣味性を重視するユーザーに向いています。
一方で、50eは都市部や法人需要、日常使用に最適なグレードです。PHEVながらも十分な出力と走行安定性を持ち、価格帯も控えめなため、XM入門者にも適しています。
将来的なリセールやサポート体制の見込み
BMWはプレミアムブランドとしてのアフターサポートに定評があり、今後数年間はG09に対する保証やパーツ供給も安定して継続される見通しです。
ただし、将来的に完全電動モデルへの移行が進む中で、PHEVやV8エンジン搭載モデルの下取り価格は早期に下落する可能性があります。特に50eのような“実用系”モデルよりも、Label Redのような限定性の高いモデルのほうがリセール面では有利です。今後はメンテナンスコストと環境性能の両面を考慮した選択が求められます。
Reference:bimmertoday.de
よくある質問(FAQ)
Q1. BMW XM G09の生産終了はいつですか?
A. 正式な発表はまだありませんが、2026年モデルイヤーで終了する可能性が高く、最終オーダーは2025年内が目安とされています。
Q2. Label Redと50eの主な違いは何ですか?
A. Label RedはV8ハイブリッドで748ps、50eは直列6気筒ハイブリッドで476psです。性能・価格・使用目的が大きく異なります。
Q3. 2025年モデルで装備はどう変わりますか?
A. カラーやホイールデザインの見直し、パッケージ構成の簡略化が行われています。個性よりも統一感と効率性が重視されています。
Q4. XM 50eは都市部の通勤や日常使いに向いていますか?
A. はい。PHEV仕様で静粛性・燃費性能が高く、日常使用や法人需要に適したモデルです。
Q5. 今後XMのフル電動モデルは登場しますか?
A. 現時点ではその可能性は低いとされています。BMWはiX5など他のBEV SUVに開発リソースを集中しています。
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