2025年モデルとしてフルモデルチェンジを果たしたBMW X3 G45型。
プレミアムミドルSUVとしての存在感をさらに高めた今回の新型は、デザイン、走行性能、快適性、そして先進技術に至るまで大幅な進化を遂げています。
本記事では、注目の20dディーゼルモデルを中心に、実際の試乗を通して見えた魅力と気になる点を専門的視点から深掘り。
購入を検討している方にも役立つ詳細レビューをお届けします。
- デザイン刷新とサイズ拡大:新型X3 G45は外観と室内を一新。
- 2.0Lディーゼル×快適走行:静かで力強いマイルドハイブリッド走行。
- 最新装備と高精度ADAS:iDrive9やARナビで快適&安全。
BMW X3 G45とは何か?〜進化の背景〜

歴代モデル比較とX3の進化
BMW X3は2003年に初代(E83型)として登場して以来、プレミアムミドルクラスSUVの代表格として成長を遂げてきました。
2代目F25型ではボディ剛性や快適性が大きく向上し、続く3代目G01型では走行性能と先進装備が飛躍的に進化。
そして今回の4代目G45型は、デジタル技術と電動化要素を融合し、X3史上最も総合力の高いモデルへと進化しました。
新型G45のボディサイズとプラットフォーム
新型G45型では全長4,755mm、全幅1,920mm、全高1,660mmと、旧型G01よりもひとまわり大きくなっています。
ホイールベースも長くなり、室内空間のゆとりが大幅に向上しました。
プラットフォームはBMWの最新世代「CLAR」アーキテクチャを継続採用しつつ、EV対応を視野に入れた構造強化が施されています。
これにより、高いボディ剛性と安全性を確保しながら、燃費や走行安定性にも寄与しています。
競合車種とのポジション比較
BMW X3 G45の直接のライバルは、メルセデス・ベンツGLC、アウディQ5、ボルボXC60といったドイツ系プレミアムSUVです。
中でもGLCとの競合は激しく、価格帯・装備・走行性能のバランスが購入検討層にとって重要な判断材料となります。
G45型は、よりテクノロジー志向のユーザーを意識した装備構成と、洗練された走りで一歩先を行くことを目指しており、特にインフォテインメントやADAS技術において差別化が図られています。
新世代デザインと空力設計
フロントマスクと機能性の融合
新型BMW X3 G45のフロントフェイスは、従来の力強さを保ちつつも洗練された印象へと刷新されました。
特に注目すべきは、内部にパターンデザインが施されたキドニーグリルと、新設計のスリムなLEDヘッドライト。
DRL(デイタイムランニングライト)はL字型で構成され、視認性とブランドらしさを両立しています。
また、グリルは走行状況に応じて自動開閉するアクティブ・エアフラップ・コントロールを搭載しており、冷却効率と空力性能の両立に寄与します。
リアデザインの刷新と個性
リアビューでは、BMWとしては珍しいY字型のLEDテールライトが印象的です。
従来の水平基調デザインから一新され、彫りの深い造形と相まって立体感のあるスタイルを形成。
さらに、バンパー下部のディフューザー形状や、隠された排気口デザインにより、全体のバランスと一体感が強化されています。
スタイリングにおいても空力に配慮された構成で、視覚的な安定感とブランドの先進性が融合しています。
空力性能と静粛性の向上
G45型はデザイン面だけでなく、Cd値(空気抵抗係数)の低減にも注力しています。
サイドミラーの形状最適化、アンダーボディカバーの採用により、巡航時の風切り音を低減。
結果として、100km/h走行時でもキャビン内の静粛性が明確に向上しています。
これにより、長距離移動時の快適性が一段と高まり、上級セグメントに匹敵する静寂性が実現されています。
インテリアとユーザーインターフェースの進化
iDrive 9と次世代UI設計の融合
新型BMW X3 G45では、インフォテインメントシステムに「iDrive 9」を採用。
センターコンソールとメーターパネルを一体化したカーブドディスプレイは、12.3インチのデジタルメーターと14.9インチのセンタースクリーンから構成され、視認性と操作性を両立しています。
操作はタッチ、音声、ジェスチャー、ステアリングボタンに対応しており、ドライバーの好みに合わせて柔軟に制御可能。
新しいOSはレスポンスが速く、AR(拡張現実)ナビゲーションや360度ビューカメラもシームレスに統合されています。
新素材とアンビエント演出の美学
インテリアには、従来のウッドやピアノブラックに代わり、ファブリックメッシュ素材をダッシュボードやドアトリムに採用。
これにより、モダンで温かみのある質感が実現され、指紋や埃の目立ちにくさも向上しています。
注目すべきは「インタラクションバー」と呼ばれるLED内蔵トリムで、走行モードや警告、着座センサーに応じて発光パターンが変化。
アンビエントライトもドア、足元、天井に巧みに配置され、空間演出に加えて情報伝達の役割も担っています。
快適性と居住性のバランス
前席は通気性に優れたベンチレーション付きで、電動調整機能とランバーサポートにより長距離でも快適な座り心地を提供します。
後席は十分な足元スペースとヘッドクリアランスを確保しつつも、背もたれの角度調整が不可という点はやや惜しいポイント。
中央席はフロアのトンネルとエアコン吹き出し口の位置関係により、3人乗車時の快適性には限界があります。
とはいえ、パノラマガラスルーフや静粛性の高さと相まって、全体としては上級サルーン並みの快適性が感じられます。
パワートレイン・xDriveと走行性能
2.0Lディーゼル+マイルドハイブリッドの実力
BMW X3 G45 xDrive20dに搭載されるパワートレインは、2.0リッター直列4気筒ディーゼルターボ(B47型)に48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせたもの。
最高出力197ps、最大トルク400Nmを発生し、0-100km/h加速は7.7秒を記録します。
マイルドHVによる電動アシストは主に低速域や加速時に介入し、スムーズな発進と中間加速のレスポンス向上に貢献。
加えてアイドリングストップや回生ブレーキとの連携により、燃費と環境性能も最適化されています。
8速AT+xDriveがもたらす走行の安定性
トランスミッションには定評ある8速ステップトロニックATが採用され、変速ショックを感じさせない滑らかなフィーリングと優れたギア比設定が特徴。
シフトダウン時も必要なトルクを即座に引き出し、ドライバーの意図に忠実な制御が可能です。
BMWの全輪駆動システム「xDrive」は、通常は後輪駆動寄りのセッティングを保ちながらも、路面状況に応じて前後にトルクを適切に配分。
雪道やウェット路面でも安定したトラクションを確保します。
乗り味とラジアルタイヤ化の恩恵
G45型では従来のランフラットタイヤに代わり、通常のラジアルタイヤが標準装備となりました。
これによりサイドウォールの柔軟性が確保され、乗り心地の改善に大きく貢献。
さらに、アダプティブサスペンションとの組み合わせで、路面の凹凸に対する追従性や高速巡航時の安定感が一段と向上しています。
ステアリングは軽快かつ正確で、スポーツモードでは応答性が高まり、ワインディングでも安心感のあるハンドリングを実現。
ブレーキ性能も強力で、制動時の姿勢変化が少ない点も高く評価できます。
実際に走らせて感じた印象
走り出しの一歩目から、静かで洗練されたフィールが印象的です。
ディーゼル特有の音や振動はほとんど感じられず、アクセルに軽く足を乗せるだけで滑らかに前に出ます。
市街地ではステアリングが軽く、細い路地や交差点でも取り回しがしやすく、扱いやすさが際立ちます。
一方で高速道路では、スポーツモードに切り替えることで一変。
アクセルレスポンスが鋭くなり、キックダウン時には力強い加速が体を押し出す感覚を伴って伝わります。
100km/hを超えても車内の静粛性は保たれ、外界との遮断性が高いことに気づかされます。
ワインディングでは車体のロールが抑えられ、しっかりと路面を捉える感覚がドライバーに安心感を与えてくれます。
まさに「駆けぬける歓び」の哲学を体現する一台だと実感できました。
安全性能と先進運転支援システム
ADASの実用性と信頼性
BMW X3 G45は、最新の「Driving Assistant Plus」を搭載し、レーダーとカメラを併用した高度な運転支援機能を備えています。
アクティブクルーズコントロール(ACC)やレーンキープアシスト(LKA)は、都市部や高速道路での走行をサポートし、スムーズでストレスの少ない運転体験を提供。
介入は穏やかで自然、誤作動もほとんどなく、精度の高い制御が安心感を生み出します。
ARナビとドライブレコーダー機能
iDrive 9に組み込まれたARナビゲーションは、前方カメラ映像上にリアルタイムで進行方向をオーバーレイ表示。
複雑な交差点や分岐でも迷いにくく、実用性は非常に高いです。
また「BMW Drive Recorder」では、事故発生時の前後30秒間を自動記録し、万が一の際の証拠として活用可能。
スマートフォンからのリモートアクセスにも対応し、セキュリティ面も強化されています。
実走行での精度と信頼性
実際の試乗でも、ACCの車間維持やレーン追従の挙動は滑らかで予測性があり、不自然な加減速は皆無でした。
交通状況の多様な日本市場でも、G45のADASは十分に実用に耐えるレベルに達しており、安全性と快適性の両立に成功しています。
まとめ|選ぶべき理由と残された課題
BMW X3 G45の優れた選択理由
新型X3 G45は、デザイン、装備、安全性、走行性能の全方位で高い完成度を誇ります。
特にiDrive 9の操作性、ADASの実用性、ラジアルタイヤ化による快適性向上は大きな魅力です。
さらに、197psの高効率ディーゼル+48Vマイルドハイブリッドという構成は、日常使いにもロングドライブにも適しており、全体として高いコストパフォーマンスを実現しています。
依然として残る課題と注意点
一方で、すべてが完璧というわけではありません。
iDrive 9は多機能ゆえに操作階層が深く、直感的な操作を求めるユーザーにはやや不向きです。
また、リアシートの角度固定や中央席の狭さも、実用面での弱点として残ります。
価格面でも最上位グレードは1,000万円に迫るため、装備内容を見極めたグレード選びが求められます。
Reference:overdrive.in
よくある質問(FAQ)
1. BMW X3 G45と前モデルの違いは何ですか?
新型G45は、ボディサイズの拡大に加え、iDrive 9の採用、48Vマイルドハイブリッド化、ラジアルタイヤの導入など、あらゆる面で刷新されています。
2. X3 20dの燃費はどのくらいですか?
WLTP基準での燃費は約17.6km/Lです。実際の使用では14〜16km/L前後が目安となり、ディーゼルと電動アシストの組み合わせが効率的です。
3. 乗り心地は硬いですか?
従来のランフラットタイヤからラジアルタイヤへ変更されたことで、乗り心地は大幅に改善。アダプティブサスペンションとの相乗効果で快適です。
4. X3 20dは運転支援機能が充実していますか?
はい。Driving Assistant Plusを搭載し、アクティブクルーズコントロール、レーンキープアシスト、ARナビ、Drive Recorderなど先進機能が充実しています。
5. X3 20dはどんな人におすすめですか?
長距離移動が多く、快適性・静粛性・先進装備を重視する方に最適です。ファミリーユースからビジネスまで幅広いニーズに応えます。
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