約1年後の2022年3月で生産が中止になるホンダS660が生産中止の約1年前に完売したのはなぜでしょうか?
なぜホンダS660は生産中止になるのか?
ホンダは2022年3月をもってS660の生産を中止することを発表しています。
月間販売台数が約200台の車が生産中止になる理由は基本的にはメーカーが想定した程に車が売れなかったため、というのが一番納得できる理由だと思います。
しかし、S660は発売当初は納期が1年先と言われるぐらい人気の高いモデルでしたが、発売から数年が経過した段階で既に月間販売台数は現在と同じ200台程度に落ち着いており、今更生産を中止する理由には考えづらいです。
今回のS660の生産中止の理由は、今後改正される安全基準などの改正に適応させることが出来ない、というのがホンダの公式発表です。
確かに月販200台の車では改修費用を回収するのが難しいというのは誰が考えても分かりますね。
しかし、本当の理由はそれだけではありません。
S660の生産はホンダ・アクティなどの商用車と同じ製造ラインで生産されているのは有名な話です。
しかし肝心のアクティなどの商用車の生産をホンダは中止することを既に発表しています。
つまり、生産台数が少なくても商用車と混合生産することでS660は少ない販売台数でも販売が継続出来た訳ですが、肝心の商用車の生産が中止になることからS660の生産も中止せざるを得なくなった、というのもS660の生産中止を決めた理由の1つになっている模様です。
S660の延命策が仇になった感じですね。
ホンダS660が生産中止1年前に完売になった理由
S660は元々大量生産を前提に作られた車ではありません。
月販200台程度でも生産が続けられるように商用車と混合生産することでやっと生産することが出来た車です。
よって発売当初のように人気が出た場合でも納期が1年先になるような台数しか生産が出来ない。
つまり売れるから生産台数を増やす、ということが出来ない車だと言うことです。
恐らく商用車と混合生産しているために製造ラインでは商用車が優先して作られ、その空きスペースでS660を生産していたという感じでしょうか。
S660が人気が高いからと言って商用車の生産を減らしてまでS660を生産する事ができない、というのが実情だと思います。
つまり月間生産台数の上限が決まっており、その範囲の中であれば調整が出来るがそれ以上の場合は生産を先送りするしか方法がありません。
なので、生産中止まで期間が1年空いているとしてもその1年間で生産できる台数には上限がある。
S660の生産中止が決まったことで駆け込み需要が発生し、あっという間に1年間に製造できる上限の台数に達したため完売となった、ということだと思います。
元々生産台数が少なくても生産し続けることが出来るように作った仕組みがここに来て仇になったという感じでしょうか?
S660は1年間で何台生産できるのか?
S660の近年の販売台数は月販200台程度だったと思われますので、年間生産台数は2400台程度だったと思われます。
今回S660の生産中止が発表された後に駆け込み需要で注文があった台数が約4100台と言われています。
なのでS660の最大年間生産台数は約4100台程度ということが言えそうです。
生産中止が発表されてから完売するまでの僅かな期間で例年の生産台数の約1.7倍の受注があったということになります。
と言っても月販340台ぐらいですから売れている軽自動車の何分の一程度の台数でしかありませんが、これがS660の最大生産台数ということになります。
ちなみに、駆け込み需要で受注した台数のうち、S660の最後のモデルとして販売が開始されたモデューロX バージョンZが約半分の2000台を受注しているとのこと。
モデューロX バージョンZは車両本体価格が300万円程度の高額な軽自動車ですから、それが僅かな期間で2000台も売れたことの方がある意味驚きです。
それだけS660の人気が高かったということになりますので、安全規制の問題やホンダの商用車撤退という原因が無かったとすれば生産中止にはならなかったと思われます。
ぜひともホンダにはS660のような軽自動車をまた販売してもらうか?S2000のようなS660の兄貴分のような車を販売して欲しいと思いますね。
【引用・参照元】