レカロは1906年から自動車シートの製造を手がけ、業界の先駆者として知られています。高性能なシートで多くの車両に採用され、スポーツカーやモータースポーツの分野でも高い評価を受けてきました。しかし、最近突然の倒産発表があり、自動車業界に大きな衝撃を与えました。
【この記事のポイント】
レカロの歴史と倒産の衝撃
1906年からシート製造を手がけたレカロが突然倒産価格高騰と主要契約の喪失
原材料費の急上昇と重要な取引先の契約喪失が経営困難を招くフォルクスワーゲングループの影響
フォルクスワーゲングループの取引減少が原因か?
レカロ社からの倒産に関する発表内容
レカロは、近年の原材料費の急騰によって経済的困難に直面していました。
鉄鋼やプラスチック、アルカンターラなどのコストが大幅に上昇し、その影響で製品価格も引き上げざるを得ませんでした。
しかし、レカロ社は自動車だけではなく飛行機などの非自動車以外の椅子を製造販売しており、その代わりを担う会社が世界中に見当たらないことを考えると、多少の値上げによって販売不振になるとは、あまり考えることはできません。
これに加え、会社が公表している「主要契約の喪失」は、特定の自動車メーカーとの重要な取引が失われたことを指しています。
この契約喪失が、レカロの収益基盤を大きく揺るがし、倒産の直接的な原因となったと考えられます。
「主要契約の喪失」とはどの自動車メーカーか?
レカロはこれまで、多くの自動車メーカーと取引を行ってきました。
近年の自動車メーカーごとの販売金額を調べた結果、ある1つの仮説が浮かび上がりました。
「主要契約の喪失」とはどの自動車メーカーなのか?
恐らくはアウディやポルシェなどの高級ブランドを数多く抱えるフォルクスワーゲングループとの取引が大きく減少したことが、今回のレカロ社の倒産の大きな原因ではないのか?という仮説です。
レカロ社はアウディやポルシェといった高級ブランドのシートを担当し、スポーツカーや高性能モデルに数多くのシートを供給していました。
しかし、VWグループは最近、モデルラインの見直しを進め、アウディR8やポルシェ718ボクスター/ケイマンなどの高級モデルやモータースポーツ車両を次々と廃止しました。
これにより、レカロへの注文が減少し、収益に大きな打撃を与えのかもしれません。
VWグループの取引減少は、レカロの経営に深刻な影響を及ぼし、最終的な倒産の一因となったのかもしれません。
破産したのは欧州のレカロ オートモーティブ GmbH のみ
レカロ社の今後は、航空、鉄道、ゲームなどの他の部門に依存する可能性があります。
これらの分野では依然として需要があるため、一定の市場シェアを維持できるかもしれません。
しかし、自動車部門でレカロ社の代わりを担う会社は世界中のどこにも存在しません。
よって、早期にスポンサー企業が見つかり再建されることになると思われます。
なお、今回破産申請はドイツのレカロ オートモーティブ GmbH のみに限ったことであり、ポーランド、米国、メキシコ、日本を含む他の子会社には影響はありません。
レカロ社は過去に親会社が買収、合併などを繰り返すうちに細分化され、その過程で複数の子会社が発生したものと思われます。
よって、日本やアメリカでのレカロシートの販売は継続されます。
また、ドイツのレカロ オートモーティブ GmbHについても、事業を継続しながら再建することになっており欧州においても従来通りレカロシートの販売は継続されます。
新商品が発売されたタイミングでレカロ オートモーティブ GmbHの破産が公表されたのは、一種の炎上商法かもしれません(笑)
Reference:thedrive.com