BMWとオープンカー、2台持ちは大変でした/GOCCHI | アストンマーチンの誤発注で敗訴したディーラーの間違ったクレーム対応

アストンマーチンという高級車を特別仕様で発注したにも関わらずディーラーの誤発注で間違った仕様の車が納車。誤発注を認めたディーラーはこの段階で敗訴だと思いますが、そもそもの対応がまずかったと思います。

2,000万円以上の車のクレーム

【衝撃事件の核心】「注文した車と違うやん!」ボンドカーで有名、2千万円超の英アストンマーチン ディーラー誤発注で法廷闘争に

英アストンマーチンといえば、映画「007」シリーズの主人公、ジェームズ・ボンドの愛車として名高い。中でも顧客が特注する「Qオーダー」の車は、セレブリティの証。製…


事の詳細は記事を参照していただくとして要約すると・・

・大阪の歯科医師がアストンマーチン購入を決める
・特別仕様の詳細をディーラーへ依頼
・ディーラーがメーカーへシートの仕様を誤発注
・納車後に発覚し協議
・ディーラーから日本でのシート交換を提案
・歯科医師は納得できずに裁判へ
・ディーラーは裁判で負ける

これが今回の話の要約ですが、この対応のどこかで正しい対応をしていれば少なくても裁判にはならなかったと思います。

さて、どこに対応のまずさがあったのでしょうか?

顧客はシートの誤発注を問題にしていない

この大阪の歯科医師は確かに注文した仕様と違うシートで納車されたことがクレームの原因です。しかし、そこまでは誠心誠意お詫びするするしかないのでここまでは問題ありません。

問題はディーラーが歯科医師に提案した対応策です。

「特別仕様のシートを日本に取り寄せてシートを交換する」

この提案はディーラーのマニュアル的には最善策の提案内容だと思います。2000万円以上する車の特別仕様のシートをメーカーに改めて依頼して交換するのですから、かなりの高額な金額の弁済になります。

しかし、歯科医師はその提案に満足しませんでした。通常の購入者、またはBMWやメルセデス・ベンツの購入者ならそれで解決しているハズです。

今回歯科医師が納得出来なかったのは「ビルドブック」というオプションの存在です。簡単に言えば納車された車の鑑定書みたいなものでしょうか?

この車はメーカーであるアストンマーチン社でこのような仕様でアストンマーチン社が製造しました、と証明すると共に、顧客の「特別感」「満足感」を満たさせるオプションです。

なので「ビルドブック」に記載されている仕様と現物の車の仕様が異なれば、現物の車の価値が下がります。もちろん、購入者の「特別感」「満足感」はそれ以上に低下します。

ここがこの問題の本質です。なので、ここでディーラーが歯科医師に提案する対応策は・・・

「納車されたアストンマーチンをイギリスのアストンマーチン社へ送り返して正しい仕様で再納車する」

こうすることで、「ビルドブック」の仕様も現物と同じになりますから、すべてが解決できるハズです。

ディーラーがどのぐらいの損になるかはしれりませんが。

クレーム対応の本質が分かっていない

1台数千万円もする高額商品を販売するディーラーとしては今回の対応はまったくイケていないと言えます。

今回のアストンマーチンは約2200万円と報じられています。この金額で車を購入する人の多くはお金に無頓着な大金持ちか、車にかなりの拘りを持っている人です。

歯科医師の場合はこだわりがあるタイプだった訳ですが、どうもディーラーはそこを理解していないようです。

金額は別にしてこだわりを持つ人のこだわりの解決ができなければクレーム対応としては失格です。今回の件はそれがよく分かる事例です。

「ビルドブック」というオプションの「意味」「特性」「価値」を理解せずに、アストンマーチン車を販売しているという時点で販売店としては失格です。

大阪のアストンマーチン車の正規代理店は一社しかありませんので会社は想像できますが、この会社でアストンマーチン車を販売するのはヤメたほうが良い。

または、アストンマーチン社から正規ディーラーとして不適格だと契約解除されてもおかしくない。高額商品を、それも嗜好品でもありブランド力がある商品を販売するのであれば、もっとアストンマーチン社の理念や趣旨を理解しなければ販売する資格がないと言えるでしょう。

現に裁判を起こした歯科医師は保証金が返金された後に、別のメーカーの車を購入したと記載されています。

この意味がどれほど重要な意味を持っているのか?販売する側としてはもっと理解するべきだと思います。