私は2代目社長になって4年、その2年前に代表取締役専務になっていますので、事実上は既に6年も社長業をやっていることになります。先代は私に代表権をつけた瞬間から経営には一切口を挟まなくなりましたので。
平の専務取締役と代表取締役専務はまったく違う身分というか立場であることは社長業をご経験されている方は身を持って体験されていると思います。1番の違いは契約書の保証人の欄に名前を書くことになるからです。
保証人欄に名前を書くことにはさほど抵抗は無かったです。それよりも保証人として自分自身が認められているということの方がある意味怖かった。なぜなら、こんな頼りない奴に保証しろって世の中どうかしてるよね、という感じです(笑)
そんなことを考えながら、経営という仕事に就いて6年の私が思っている社長にしか出来ない仕事を3つご紹介します。
1.経営理念、経営方針
言い方はいろいろありますが、要するにあなたの会社はどんな想いで仕事をするのか?社会に対してどのような貢献が出来るのか?という考え方を決めることは社長にしか出来ません。
これはオーナー社長でも雇われ社長でも同じです。組織のトップに立つ者として、組織全体で同じ方向を向いて一直線に向かっていくには、目指す方向と(中間)ゴールを指し示さなければ、組織としての体裁が整わない。
仮にまだあなた1人だけの会社であっても、あなたの想いはある訳ですからそれを掲げているのと掲げていないのではその後の展開に大きく関わります。しかし、スタートアップ時には事業の変化とともに理念や方針が変化することもあると思いますので、その際は柔軟に変更することも必要です。
2.人材採用
新卒、中途、正社員、パート・アルバイト。従業員を雇い入れる場合は必ず社長の想いを反映させるべきです。実際の面接は社員に任せるにしても、採用したい人物像やタイプを社長として指し示すことが必要。
特に中小企業の新卒採用に関しては、会社説明会などで社長が自身の言葉で学生に話しかけることが重要です。大企業でも中小企業でもパンフレットやホームページに書かれていない生の情報を発信する、会社への想いを直接伝えることは共感を生みやすく志望動機に直結します。
3.社外での人脈構築
出来るだけ自由な時間を確保して、出来るだけ顧客以外の人脈構築に時間を割く。顧客とは基本的に商売の話がメインになりますが、社長にとって一番重要なことは今の商売ではなく、今後の商売のことです。
会社は継続させないといけないものですから、10年、20年と存続させるためのアイデアや知識を得るために利害関係のない社外人脈を構築することでそれらの情報収集に務めなければいけません。
会社の中で引きこもっていても何も新しいことは生まれません。異業種の経営者と知り合うこと、経験豊富な経営者と知り合うこと、これらがあなたの脳みそに新しい刺激と知識を与えます。
私のたった6年間の経営者として、社長として気づいた3つの仕事。これらは決して従業員には出来ない仕事です。なぜなら、社長という肩書があるからこそ、社長としてお付き合いが可能になるからです。
私は代表取締役専務として2年間過ごしましたが、代表権があっても専務は専務。その会社のNO.1としては認めてもらえず、対等な立場でお付き合いしてもらうのに時間を要したこともありました。
社長は会社にたった1人しかいない存在です。そして、最後の責任をすべて持つことが、社会からの信用につながるのです。なので、社長にしか出来ない仕事は必ず存在ます。
そして、その社長にしか出来ない仕事を社長が放棄した段階から、その会社の衰退の一歩が始まるのです。