残業 減らす 社長の仕事

私の会社は人材サービスの会社ですが、この業界は昔から「終電で帰る業界」と言われていました。理由はスタッフや応募者との連絡が夕方以降しかできないのが理由とされていました。しかし、それって誰が決めたんでしょうか?

残業しなければいけない理由は本当なのか?

社長がいくら従業員の残業を減らしたいと思っていても、一番抵抗するのは従業員です。なぜなら、彼らには残業したい理由があるからです。

・残業代を稼ぎたい
・家に帰ってもすることがな

大抵はこの2つが主な理由です。本当は仕事は早く終わらせることができるのですがいろいろ理由をつけて残業する。逆に強行に残業させないようにすれば、社員満足度は上がるどころか低下する。不思議ですね。

なので、逆に残業しない理由を作ってあげれば従業員は率先して早く帰るようになります。私が現在実践している方法を簡単にご説明します。

残業しなくても良い武器を与える

まずは残業をしなくてよいようにリソースから整えていきます。例えば、従業員の1日の行動を可視化します。1日8時間の間に何をしているのかを記録させます。

そうすると、どんな作業、仕事、行動に時間が多く費やされているのか実態を知ることが分かります。例えば、顧客からの電話対応に時間が多い割には生産性がないという判断がなされた場合は、電話対応をアウトソースする、問合せはすべてメールなどで対応するという仕組みに切り替えます。

ここで必ずクレームが従業員から発生します。売上が下がるとか、新規顧客が獲得できない等など。この場合は社長として業績が悪くなっても構わないという意思を明確に従業員に伝えることです。

これで社長は本気なんだと認識されることでやっと従業員はしぶしぶ行動に移します。ぶっちゃけ、それで売上が減るなんてことはほぼ無いことは社長は分かっているんですけどね。

このように、従業員に残業しなくてもよい武器を提供して環境を整えます。

残業しないことのインセンティブを発生させる

私の会社では22時以降も平気で仕事をしている社員が大勢いました。そこで、半年間の猶予を与えて21時に完全退社できるように仕事のやり方を考えさせました。

仮に人員が不足しているようであれば増員もするので、遠慮なく申し出るようにとも同時に伝えます。

実際には半年後に人員を増員することなく全員が21時までに退社することが出来ました。優秀なマネージメントがいる部署では自主的にノー残業デーを設定したり、20時退社を実行する部署もありました。

次の目標は20時完全退社です。ただし、現在の人員で通年で20時退社をさせることは社長の私にとっても未知の世界です。そこで、完全退社は従来通り21時とし、20時退社を1ヶ月達成できた部署にはその分の手当を支給することにしました。

会社としては残業代がこの時点で削減されていましたので、削減された残業代を原資にしていますので持ち出しはゼロです。そうすると、繁忙期以外は、ほぼすべての部署で20時退社が達成されました。

繁忙期でも21時近くまで仕事をする従業員もほぼ皆無です。一旦、早く帰る癖が習慣化すると残業するのが馬鹿らしくなるんです。残業=能力が低い、そんな風潮に変わります。

もちろん、削減された残業代から20時退社のインセンティブを差し引いても前年よりも経費は削減出来ましたので、売上は大きくは伸びませんでしたが、十分決算賞与を支払えるだけの原資を確保し、支払うことができました。

残業することでインセンティブを得るのではなく、残業しないことでインセンティブを得る。ある意味逆転の発想な訳ですが、人間という動物はちゃんと損得勘定をしながら生きています。

分かりやすいインセンティブを提示できれば、必ず楽できる方を選択します。そこへどのように誘導するのか?ここが社長の腕の見せどころです。

現在は、短い時間で同じだけの生産性を発揮し、生産性のアップで業績もアップできるように試行錯誤中です。

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