BMWの代表的なスポーツセダン「M3」の完全電動版の開発が進んでいます。
コードネーム「ZA0」と呼ばれる新型M3 EVは、これまでのガソリンモデルとは異なる次世代プラットフォームを採用し、根本から設計が見直されています。
その中で最も注目を集めているのが、車両重量です。
現行モデルよりも約1トンも重くなるという情報が浮上しており、車好きだけでなくEV開発に関心のある層からも大きな話題となっています。
本記事では、その重量増加の背景と、EV専用構造によってもたらされる車体設計の違いについて、最新のスクープ写真と情報をもとにわかりやすく解説します。
- 圧倒的な重量増：現行より約1トン増えた理由を徹底分析。
- EV専用構造の解剖：Neue Klasseが支える電動M3の構造とは？
- 重くても高性能：0-100km/h加速は3秒台の高性能EVセダン。
新型BMW M3 EV（ZA0型）とは？従来モデルとの違い
Neue Klasseを採用した完全新設計のM3
BMW M3 EVは、「Neue Klasse（ノイエ・クラッセ）」という次世代EV専用アーキテクチャを用いて開発されています。
この新型プラットフォームは、バッテリーパックを車両の床下に搭載し、モーターや電装系を効率よく収めることができるため、剛性や重量バランスに優れた設計が可能です。
外観は現行G80型に近いシルエットを保ちながらも、グリルやライト類は簡略化され、未来的なデザインへと刷新されています。
ホイールもNeue Klasse特有の空力を意識したマルチスポーク形状となっており、従来の内燃機関M3とは明確な差別化が図られています。
驚異の2.7トン！重量が1トン増加した根拠と情報源
開発中の試作車から明かされた内部データ
2024年に公開されたスパイショットの中で、ある決定的な証拠が見つかりました。
それは車体に貼られたシャシータグ（車両情報ラベル）に記載された車重です。
この数値は約6,000ポンド（約2,720kg）であり、現行M3コンペティション（約1,735kg）と比較すると、実に1トン近い増加となります。
この情報はBMWが公式に公表していないもので、開発現場での偶然の露出によって明らかになったものです。
また、この数値はi4 M50（約2,290kg）やテスラ モデルS プラッド（約2,270kg）と比較しても重く、特異な構造設計がなされている可能性を示唆しています。
なぜそんなに重くなる？重量増加の5つの理由
1. 大容量バッテリーパックの搭載
新型M3 EVが重くなる最大の要因は、航続距離と出力を両立するために必要な大容量バッテリーです。
BMWはMモデルにおいて高いパフォーマンスを維持するため、100kWh級のバッテリーパックを搭載すると見られています。
バッテリーだけで車両重量の500〜600kgを占める可能性があり、これはガソリンモデルにはなかった構造的な重量増加です。
さらに、冷却材やケーブルも含めると、総重量はさらに増えます。
2. クアッドモーター構成の採用可能性
M3 EVでは、BMWが電動Mモデル向けに開発しているクアッドモーターシステムが導入される可能性が高いです。
4つのモーターをそれぞれの車輪に個別に配置することで、正確なトルク制御と高い走行性能を実現しますが、当然その分コンポーネント数も増え、重量も加算されます。
高性能インバーターや補機類も含めると、従来のツインモーターよりも大幅な増加となります。
3. シャシーとサスペンションの強化
即時トルクが特徴のEVでは、ボディのねじれ剛性とサスペンションの耐久性が重要になります。
これに対応するため、M3 EVではサブフレームやクロスメンバー、ダンパー取り付け部の強化が行われると推測されます。
これらの補強材の追加がさらに車両重量を押し上げているのです。
4. 高度な冷却システムの装備
EVではモーター、バッテリー、インバーターなど発熱源が複数あり、それぞれに適切な冷却が求められます。
M3 EVのような高出力車では、専用のラジエーターや液冷パイプが複数搭載されるため、重量が複雑化します。
冷却システム全体で数十kgの重量増加があると考えられます。
5. 衝突安全性と法規制への対応
バッテリー車は火災リスクやクラッシュ時の損傷対策として、構造補強が義務付けられています。
バッテリーを保護するアルミケースやクラッシャブルゾーンの設計変更など、安全基準への対応が重量増に直結しています。
これはユーザー保護の観点からも必要不可欠な装備です。
EV専用の構造とは？Neue Klasseプラットフォームの特徴
ゼロベースで設計されたEVアーキテクチャ
Neue Klasseは、BMWが2030年代の主力EV群に向けて開発した最新のプラットフォームです。
これまでの内燃機関用シャシーと異なり、EV向けに完全設計されている点が最大の特徴です。
床下にはバッテリーモジュールがフラットに配置され、モーターは前後に搭載。
これにより、理想的な50:50の重量配分と低重心を実現します。
柔軟な拡張性と高剛性構造
Neue Klasseはホイールベースやトレッド幅の調整が可能で、コンパクトカーから大型SUVまで対応可能です。
M3 EVでは、スポーツ性能を重視するため、骨格には高張力鋼やアルミを多用し、ねじれ剛性と衝突安全性を高めています。
これにより走行性能は向上しますが、同時に重量が増える副作用もあります。
EV特有の機能設計と最適化
この構造はエネルギー効率の最適化も図られており、エアロダイナミクスや冷却経路もゼロベースで設計されています。
また、モジュラー式の電子プラットフォームによって、ソフトウェア更新やADAS（先進運転支援）システムの高度な統合も可能です。
こうした多機能性が集積された結果として、部品点数の増加＝重量増加というトレードオフが生じています。
重くても速い？性能と走行特性のバランスを探る
高重量をどうやってカバーするのか
2.7トンという重量を抱えながらも、BMW M3 EVは高い走行性能を維持することが期待されています。
その理由は、モーターならではの瞬時のトルクと、電子制御による精密な駆動配分にあります。
特にクアッドモーター構成であれば、各タイヤに独立した制御を行い、最適なトラクションを確保することができます。
重量を逆手に取る制御技術
BMWは長年にわたり、車両制御技術において高い評価を得ています。
今回も、ESC（電子制御スタビリティコントロール）やアクティブサスペンションを駆使することで、重さを感じさせない操縦性を実現するはずです。
また、床下に配置されたバッテリーによる低重心化は、旋回時の安定感にも大きく貢献します。
0-100km/h加速は3秒台か
公式なスペックは未発表ですが、4モーター搭載の高出力モデルとなれば、0-100km/h加速は3秒台前半も現実的と見られています。
テスラ モデルS プラッドやポルシェ タイカン ターボSと並ぶ、EVハイパフォーマンスセダンの仲間入りを果たすことになるでしょう。
まとめ：BMW M3 EVの重量増、その理由と構造のすべて
新型BMW M3 EV（ZA0）は、ガソリンモデルに比べて約1トンも重くなることがスパイショットから判明しました。
この重量増の背景には、大容量バッテリー、クアッドモーターの可能性、冷却システム、安全対策、そしてEV専用シャシー構造の5つの要因が密接に関係しています。
採用されるNeue Klasseプラットフォームは、電動化時代のBMWを支える中核構造であり、パフォーマンスと効率、安全性を高い次元で両立させています。
その代償として重量は増すものの、BMWは高精度な制御技術とモーター特性を武器に、それを補う走行性能を提供する見込みです。
M3 EVは、単に重いクルマではなく、EV時代における「速さ」「安定性」「実用性」を再定義する存在となるでしょう。今後の正式発表と試乗レビューに、ますます期待が高まります。
Reference：carscoops.com
よくある質問（FAQ）
Q1.新型BMW M3 EVの発売時期はいつですか？
正式な発売日は未発表ですが、BMWは2026年頃に市販モデルを発表する可能性が高いと見られています。
Q2.ガソリンモデルのM3は継続販売されますか？
現時点ではガソリン版M3（G80型）も併売される見込みで、EVと並行して販売戦略が取られる予定です。
Q3.M3 EVの航続距離はどのくらいになりますか？
まだ公表されていませんが、100kWh級のバッテリー搭載により500km以上の航続距離が期待されています。
Q4.2.7トンの重さで走行性能に問題はありませんか？
BMWはモーター制御やシャシー設計で高重量をカバーしており、0-100km/h加速も3秒台が予想されています。
Q5.Neue Klasseプラットフォームとは何ですか？
Neue KlasseはBMWがEV専用に開発した次世代プラットフォームで、柔軟性と剛性に優れた構造が特徴です。
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