BMWのホットハッチ「M135 F70」とクーペ「M235 F74」には、最新のB48エンジンが搭載されています。
この2.0L直列4気筒ターボエンジンは、BMWの公称値として最高出力300馬力(ps)・最大トルク400Nmを発生するとされています。
しかし、実際の性能はどうなのでしょうか?
今回、ダイノテスト(シャシーダイナモ)を用いて新型M135iを測定した結果、BMWの公称値を上回る実馬力320ps相当が記録されました。
これは、カタログスペック以上のパワーを秘めている可能性を示唆しています。
この記事では、M135 F70 & M235 F74のB48エンジンの実力を徹底検証し、ダイノテストの詳細や過去モデルとの比較、さらにはチューニングの可能性まで解説します。
BMWが公表していない「真のスペック」とは? 詳細を見ていきましょう。
- 公称300馬力のB48エンジンは実測320馬力相当:ダイノテストで公称値を超えるパワーを記録し、先代M135i(F40)よりも高性能。
- xDrive & DCTでM140iとは異なる走行性能:四輪駆動と7速DCTの組み合わせで安定感が向上し、実用性も高い。
- ECUチューンで350馬力超えが可能:B48エンジンはチューニング耐性が高く、さらなるパワーアップも期待できる。
BMW M135 F70 & M235 F74のB48エンジンとは?
BMW M135 F70とM235 F74には、最新のB48エンジンが搭載されています。
このエンジンは2.0L直列4気筒ターボ(DOHC、ツインスクロールターボ)を採用し、BMWのダウンサイジング戦略の中核を担うユニットです。
小型・軽量ながら高出力を実現し、パワーと燃費性能のバランスに優れています。
両モデルは共通のFAARプラットフォームを採用し、xDrive(四輪駆動)を標準装備。
また、7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)との組み合わせにより、スムーズかつ俊敏な加速を実現しています。
公称スペックの比較
モデル | 最高出力(ps) | 最大トルク(Nm) |
---|---|---|
M135 F70 / M235 F74(日本仕様) | 300 | 400 |
M135 F70(欧州仕様) | 296 | 400 |
M135 F40(旧型) | 306 | 450 |
M140i F20(先代直6モデル) | 335 | 500 |
新型M135 F70は、先代M135 F40と比較するとトルクが50Nm低下しており、M140i F20の3.0L直6ターボ(B58エンジン)と比べると出力面で見劣りする部分もあります。
しかし、最新のB48エンジンは軽量・コンパクトであり、全体的な運動性能とハンドリングは向上。
さらに、ECUチューンによるパワーアップが容易で、ポテンシャルの高さが魅力です。
このB48エンジンは、BMWの最新技術を搭載しながらもチューニング耐性が高く、ストック状態でも公称値以上のパワーを発揮することがダイノテストで確認されています。
次章では、実際のダイノ測定結果を詳しく見ていきましょう。
ダイノテストの結果:BMWの公称値を超えた実馬力
BMW M135 F70のダイノテストでは、BMWの公称値を超える実馬力320ps相当が記録されました。
公称300psのエンジンが、なぜこれ以上の出力を発揮したのかを詳しく見ていきます。
ダイノテストとは?
ダイノテスト(シャシーダイナモ)は、車両のホイール出力(whp)を測定する装置です。
ホイールで測定された出力には、トランスミッションや駆動系のロスが含まれるため、一般的にフライホイール出力(エンジン出力)より低くなります。
四輪駆動(xDrive)のM135はロスが大きく、測定結果を元にエンジン出力を推定する必要があります。
ダイノ測定結果
- ホイール出力(whp):286ps
- 最大トルク(whp測定値):405Nm
- 推定フライホイール出力(hp):約320ps(ドライブトレインのロスを考慮)
BMWの公称値(300ps / 400Nm)を上回るパワーが確認され、特にトルクは公式値を超えていました。
BMW公称値(300馬力)よりも高い理由
- BMWの公称値には安全マージンがある
BMWはエンジンの耐久性や燃料品質の影響を考慮し、実際の出力より控えめな数値を公表する傾向があります。 - ダイノ環境や燃料の違い
テスト時の気温、湿度、燃料の種類によってエンジンの性能が変化し、公称値を超える結果が出ることがあります。 - 実際のパフォーマンスはカタログ値以上の可能性
B48エンジンはECUプログラムでパワー調整が可能で、M135 F70の設定は控えめとされています。しかし、ダイノ測定では公称値以上の出力が確認され、実際の加速性能は数値以上に優れている可能性があります。
結論:M135 F70、M235 F74は公称スペック以上の実力を持つ
ダイノテストの結果、新型M135 F70のB48エンジンは公称300馬力を超え、320ps相当の出力を発揮していることが分かりました。
これは、BMWのスペック公表の傾向やエンジンの高いポテンシャルによるものです。
次章では、M135 F70が先代M135 F40やM140i F20と比較して、どのような違いがあるのかを詳しく見ていきます。
先代M135i(F40)およびM140i(F20)との比較
BMW M135 F70は、過去のM135i(F40)やM140i(F20)と比べて、どのように進化したのでしょうか?
スペックやパフォーマンスの違いを見ていきます。
先代M135i(F40型)との比較
M135i F40(2019~2024年モデル)は、公称306ps / 450Nmを発生するB48エンジンを搭載していました。
しかし、ダイノテストの結果は296フライホイール馬力と、新型M135i F70(推定320ps)よりも低い数値を記録しています。
トルクはF40の450Nmに対し、F70は400Nmと50Nm低下していますが、7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)とxDriveの改良により、加速性能は向上しています。
M140i(F20型)との比較
M140i F20(2016~2019年モデル)は、B58エンジン(3.0L直6ターボ)を搭載し、335ps / 500Nmを発生していました。
FRとxDriveを選択できた点も特徴です。
新型M135i F70は2.0L直4ターボ(B48エンジン)を採用し、xDrive専用の設定となりました。
直列6気筒の滑らかなフィーリングやパワー感ではM140iに劣りますが、軽量化と燃費性能の向上というメリットがあります。
結論:F70型M135iの立ち位置
F70型M135iは、F40型よりも実測値のパワーが向上し、駆動系の最適化によって加速性能も改善されています。
M140iのような直6の魅力は失われましたが、軽量化されたシャシーとxDriveの組み合わせにより、扱いやすさと安定感が向上しています。
新型M135i F70は、過去モデルの長所を引き継ぎつつ、日常使いしやすいホットハッチへと進化したといえるでしょう。
M135 F70 & M235 F74のB48エンジンのチューニングポテンシャル
M135 F70とM235 F74のB48エンジンは、チューニング耐性が高いことで知られています。
純正状態でも公称値を上回る実馬力を発揮し、ECUチューンや吸排気の強化により350馬力超えも可能です。
過去のB48搭載車のチューニング実績
- ECUマップ変更で320~350馬力へパワーアップ
- 吸排気のアップグレードでさらなる出力向上
特に、ECUチューンのみで大幅なパワー向上が期待できるため、手軽なチューニング手法として人気です。
M135 F70 / M235 F74のチューニングの可能性
- ECUチューンだけで公称値を超える出力を実現
- ストリート向けならECUと軽量化、サーキット向けなら冷却系強化が有効
- DCTやxDriveの耐久性を考慮したバランスの取れたチューニングが重要
適切なチューニングを施すことで、M135 F70 & M235 F74は、さらにハイパフォーマンスなモデルへ進化します。
まとめ:M135 F70 & M235 F74のB48エンジンは侮れない
BMW M135 F70とM235 F74に搭載されるB48エンジンは、公称300馬力とされているものの、ダイノテストでは320馬力相当の出力が確認されました。
これは、BMWの保守的なスペック公表と、B48エンジンの高いポテンシャルによるものです。
また、先代M135i(F40)よりもパワフルであり、M140i(F20)の直列6気筒エンジンには及ばないものの、最新のxDriveシステムと7速DCTによって、実際のパフォーマンスは非常に優れています。
さらに、B48エンジンはチューニング耐性が高く、ECUチューンだけで350馬力超えが可能とされており、吸排気のアップグレードを加えることでさらなるパワーアップも期待できます。
M135i / M235iはFRのM140iとは異なる魅力を持ち、xDriveによる安定したトラクションと、軽量な4気筒エンジンのレスポンスが特徴です。
結論として、B48エンジンを搭載したM135i F70 & M235i F74は、公称値以上のパワーを秘めたホットハッチ/クーペであり、チューニング次第でさらに高性能なモデルへと進化できる1台といえるでしょう。
Reference:
How much power does the new F70 M135i make? Dyno Testing standard power
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