BMWのデザインがここ数年で大きく変わったと感じている方は多いのではないでしょうか。
その背景には、カリフォルニアに拠点を置くデザインスタジオ「BMW Designworks」の存在があります。
本記事では、BMW 2002に代表されるクラシックなBMWデザインを意識しながら、私が注目している新型iX3 NA5へとつながるデザインの流れを解説します。
単なるデザイン紹介ではなく、BMWらしさとは何かを一緒に考えていきたいと思います。
BMW Designworksとは何か

BMW Designworksは、ドイツ本社とは離れた場所からBMWグループ全体のデザイン戦略を支える「デザインのシンクタンク」のような存在です。
アメリカ・カリフォルニアを中心にミュンヘンや上海にもスタジオを構え、自動車だけでなく鉄道、航空機、インテリア、デジタルインターフェースなど幅広いプロジェクトを手がけています。
私が重要だと感じているのは、Designworksが単なるスタイリング部門ではなく、「ユーザー体験」と「ブランドらしさ」を横断的にデザインしている点です。
BMWデザインの象徴であるキドニーグリルやヘッドライトのグラフィックだけでなく、コクピットの操作系やディスプレイの情報配置、さらにはモビリティ全体の体験まで視野に入れて設計していると言われています。
特に新型iX3 NA5のような電気自動車では、エンジン車時代のパッケージングや造形の前提が大きく変わります。
その中で「一目でBMWと分かるアイデンティティ」をどう維持するかが課題となり、その答えを模索しているのがDesignworksです。
私は、彼らの役割を理解することが、これからのBMWデザインを読み解くうえで欠かせない視点だと考えています。
BMW 2002が築いたデザインの原点
機能美とシンプルさ:BMWデザインの出発点
BMW 2002は、いまでも多くのBMWファンから「原点」として語られる特別な存在です。
理由は明確で、余計な装飾を排したシンプルな造形、走りに直結する軽快なパッケージング、そして視覚的にも機能的にも無駄のないプロポーションが徹底されているからです。
薄いピラーと大きなガラス面、短いオーバーハング、端正なフロントマスクは、当時としてだけでなく、現代の基準で見ても非常にバランスが良く、美しいと感じられます。
私がBMW 2002に強く惹かれるのは、その造形が単なる“レトロなカッコよさ”ではなく、「走りのための必然性」から生まれている点です。
機械としての機能を優先し、その結果として生まれる形が美しい。
これは最近のEVデザインにも通じる考え方で、新型iX3 NA5に見られるフラットな面処理やクリーンなボディラインにも共通しています。
現代のBMWデザインはしばしば「複雑すぎる」と批判されることがありますが、BMW 2002のような本質的でシンプルな美しさが再び評価されているのは、デザインの原点が持つ力がいまも通用する証拠だと私は考えています。
これが、BMWがデザインの未来を語るうえで避けて通れない理由です。
デザインの転換期とDesignworksの役割
EV時代に向けたBMWデザインの再構築
BMWが大きなデザイン転換を迫られたのは、電動化とデジタル化が急速に進んだことがきっかけです。
エンジンが不要になり、フロントの吸気口が役目を失い、パッケージングもフラット化する中で、従来のBMWらしさをどう継承するかが問題になりました。
その答えを探す中心にいるのがBMW Designworksです。
彼らは、自動車の造形だけでなく、ライトグラフィックや情報表示のレイアウトなど、視覚的なコミュニケーション全体を再構築する役割を担っています。
特にNeue Klasseで提案された“グラフィック重視のデザイン言語”は、従来の立体的で力強いラインとは異なり、光と陰影、フラットな面で個性を表現する方向へとシフトしています。
私は、この転換期においてDesignworksが果たしている役割は非常に大きいと感じています。
単にデザインを刷新するのではなく、「BMWをBMWたらしめる要素」を抽出し、それを新しい形で再提示しているからです。
ブランドの伝統とEV時代の要請、その両方を調和させる作業こそが、Designworksの真価だと考えています。
新型iX3 NA5のデザインに受け継がれるDNA

クラシックBMWに通じる“機能美の再構築”
新型iX3 NA5は、BMWがこれから展開するNeue Klasseデザインを実車へ落とし込む役割を担った重要なモデルです。
私が強く感じるのは、このクルマの造形が単なる新規性ではなく、BMW 2002が持っていた“必要なものだけを残す機能美”を現代的に翻訳している点です。
複雑なラインを避け、ノイズを最小限に抑えた面処理は、光の当たり方だけで表情が変わるシンプルな造形思想に基づいています。
これは2002の端正でクリーンなサイドビューと強い共通性があり、BMWが原点へ回帰し始めていることを示しています。
フロントの閉じたキドニーグリルは、EVとしての合理性そのものです。
しかし平面的になりすぎず、輪郭のグラフィックでBMWらしい“顔つき”を維持しています。
ヘッドライトもシャープで、クラシックBMWが持つ“鋭い視線”を現代風に再構築した印象です。
立体感よりグラフィックを重視する手法はNeue Klasseで示された方向性であり、私はこの変化を必然と感じています。
EV時代のプロポーションと“BMWらしさ”の両立
サイドビューに目を向けると、短いオーバーハングと伸びやかなキャビンが後輪駆動らしい姿勢をEVパッケージのまま保っています。
これは2002が持っていた“走りの姿勢”に近く、私はNA5のサイドラインこそがBMWらしさの核だと考えています。
電動化によって自由度が増したことで、むしろ機能的で整ったプロポーションが実現しやすくなっている点が興味深いところです。
内装も大きく変化しました。
大型ディスプレイを採用しつつ、全体の印象は驚くほどクリーンで、操作系は整理され必要な要素だけが残されています。
単なるミニマルではなく「走りに集中するための簡潔さ」が意図されている点に、BMWデザインの本質が見えます。
BMW 2002の“ドライバーのための空間”がデジタル時代に合わせて再構築された形だと私は解釈しています。
総じてiX3 NA5は、クラシックBMWの持つ美学とEVとしての合理性を高い次元で融合したデザインだと感じています。
見た目の派手さよりも、長く付き合える品の良さが強調されており、BMWデザインが本来持っていた美しさが再び息を吹き返しつつあると私は評価しています。
BMWデザインはどこへ向かうのか
2002の精神とNeue Klasseが示す方向性
BMWデザインが次にどこへ向かうのかを考えるとき、私は「原点への回帰」と「EV時代の合理性」という二つの軸が同時に進んでいると感じています。
BMW 2002が象徴した“走りのための形”や“無駄のない機能美”は、デザインが複雑化した時期にも常にファンの中に残り続けた価値観でした。
そして今、Neue Klasseのデザイン言語と新型iX3 NA5を見る限り、この価値観が再び中心に戻ってきているように思えます。
シンプルで、光の当たり方で表情を変え、かつ走りの姿勢を崩さない。
その方向性は、BMWがこれからもブランドの核を守る意思を示しているように見えます。
EV時代の制約とBMWデザイン再発明
一方で、デジタル化や安全規制、EVのパッケージングといった新しい条件の中で、従来のBMWらしさをそのまま残すことは現実的ではありません。
だからこそ、BMWは“面の質”や“グラフィック表現”といった、従来とは違う方法でアイデンティティを確立しようとしています。
私はこれを単なる変化ではなく「BMWの再発明」だと考えています。
過去の美学を引き継ぎつつ、時代に合わせて表現方法を更新する姿勢は、むしろBMWらしい進化です。
賛否の声が出るのも理解していますが、デザインが大きく動く時期ほどブランドの本質が浮かび上がるものです。
iX3 NA5やNeue Klasseを見ていると、BMWは原点の精神をよりクリアな形で未来へと繋げようとしており、その方向性に私はポジティブな期待を持っています。
まとめ:BMW Designworksとデザイン史を総括
BMW 2002の機能美から始まったBMWデザインの原点は、時代を経ても確かな価値として残り続けています。
BMW Designworksは、その歴史を踏まえながら新しい時代の要請を形にする“デザインの橋渡し役”として重要な役割を果たしています。
新型iX3 NA5は、その両者が結びついた象徴的なモデルであり、クラシックの精神とEVとしての合理性が自然なバランスで融合していると私は感じています。
BMWが未来へ進むうえで、この流れはますます重要になるはずです。
Reference:bimmerlife.com
よくある質問(FAQ)
Q1.BMW Designworksとは何ですか?
BMW Designworksは、BMWグループのデザイン戦略を支えるデザインスタジオで、カリフォルニアやミュンヘン、上海を拠点に自動車だけでなく航空機やインダストリアルデザイン、UIなど幅広い分野を手がけています。
Q2.BMW 2002はなぜデザインの原点と呼ばれるのですか?
BMW 2002は、薄いピラーと大きなガラス面、短いオーバーハングといった機能美に基づくシンプルな造形が特徴で、「走りのための形」がそのままデザインになっている点から、BMWデザインの原点として高く評価されています。
Q3.新型iX3 NA5のデザインは何が特徴ですか?
新型iX3 NA5は、ノイズを抑えたクリーンな面構成と閉じたキドニーグリル、シャープなライトグラフィックが特徴で、EVとしての合理性と一目でBMWと分かるアイデンティティを両立したデザインになっています。
Q4.BMW 2002とiX3 NA5のデザインにはどんな共通点がありますか?
どちらも「必要な要素だけを残す」考え方がベースにあり、シンプルで整ったプロポーションと、走りの姿勢を意識したシルエットが共通しています。クラシックな機能美を、iX3 NA5ではEV時代の造形として再解釈しているといえます。
Q5.BMWデザインは今後どう変わっていくと考えますか?
今後のBMWデザインは、BMW 2002に象徴される機能美と、EV・デジタル時代の合理性を組み合わせた方向に進むと考えています。Designworksが中心となり、シンプルでありながらBMWらしさを保つデザインへと進化していく流れが強まるはずです。








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