BMWがICE(内燃機関車)の一部車種、グレードの生産中止を決定BMWが内燃機関(ICE)車両の一部車種やグレードの生産を中止する決定を下しました。この決定は、研究開発(R&D)費用の増加や電気自動車(EV)・ハイブリッド車の開発に伴うコストの圧迫が主な理由です。

【この記事のポイント】

生産中止の背景
BMWは高額な研究開発費用と電動車両開発のコスト増加に対応するため、内燃機関車両の一部の生産を中止

対象モデルと仕様
BMW 各シリーズのマニュアルミッション車、エンジンのバリエーションが廃止

消費者と市場への影響
選択肢の減少がある一方で、電動車両への移行により競争力の維持と未来のモデルに注力

内燃機関(ICE)車両の一部車種やグレードの生産中止の理由

BMW X3Mは生産中止へ~後継はiX3M ZA5へ

BMWが内燃機関車両の一部の生産を中止する主な理由は、急増する研究開発(R&D)費用と新技術導入に伴うコスト増加です。

BMWは、電気自動車(EV)やハイブリッド車の開発を進めており、これには膨大な資金が必要です。

2024年までの間に、BMWは研究開発に約6%の収益を投じる計画であり、この負担が製造コストを押し上げています。

さらに、中国の電気自動車クオータの導入*1も影響を与えています。

中国政府は電気自動車の普及を促進するために、メーカーに対して一定の電動車両の販売義務を課しており、これに対応するために欧州の自動車メーカーも急ピッチで電動車両の開発を進めています。

この規制への適応が、開発コストの増大を招いています。

これらの要因が重なり、BMWは内燃機関車両の一部モデルやグレードの生産中止を決定しました。

これにより、製造プロセスを簡素化し、コスト削減を図るとともに、新技術への投資を確保する狙いがあります。

*1:中国の電気自動車クオータの導入

中国の電気自動車(EV)クオータは、中国政府が電動車両の普及を促進するために、自動車メーカーに対して一定割合の電動車両を販売することを義務付ける規制です。

このような規制は、中国国内での電動車両の普及を加速させるとともに、環境保護や大気汚染の改善を目指しています。

自動車メーカーにとっては、この規制に適応するために電動車両の開発や生産体制の見直しが必要となり、その結果、コストの増加や生産戦略の変更を余儀なくされることがあります。

具体的な生産中止対象

BMWの一部のディーゼルエンジン車が2024年4月から生産中止になっていた

BMWは生産中止を決定した内燃機関(ICE)車両の具体的な対象として、いくつかのモデルと仕様の変更を発表しています。

まず、BMW 2シリーズクーペのマニュアルシフトバリエーションが中止されます。

これは、マニュアルシフト車両の販売が少なく、また各市場での認証コストが高いため、コスト削減の一環として行われます。

次に、新しい5シリーズディーゼルのエントリーレベルバージョンからもマニュアルシフトオプションが削除されます。

これにより、製品ラインの簡素化とコストの削減を図ります。

これらの変更は、製造プロセスの効率化や部品の共通化を進めるための措置です。

さらに、BMWは全体のエンジンバリエーションを縮小する方針を示しています。

例えば、現行の5シリーズには複数のディーゼルエンジンが用意されていますが、次世代モデルではその数が削減される見込みです。

このようなエンジンバリエーションの整理により、製造コストを抑え、より効率的な生産体制を確立することを目指しています。

これらの変更は、BMWが将来の電動車両やハイブリッド車に集中するための戦略の一環であり、内燃機関車両の製造コストや複雑さを軽減するためのものです。

生産中止が与える影響

BMWが内燃機関車両の一部生産を中止する決定は、消費者や販売戦略、そして将来のモデルに大きな影響を及ぼします。

まず、消費者への影響として、選択肢の減少が挙げられます。

特にマニュアルシフトのオプションが削除されることで、運転の楽しみを求める一部のファン層が失望する可能性があります。

また、エンジンバリエーションの縮小は、特定の性能や仕様を希望する顧客にとって、選択肢の制限となり、購入の選択肢が狭まることが考えられます。

次に、BMWの販売戦略への影響についてですが、製造コストの削減を目指すこの方針は、価格設定にも影響を与える可能性があります。

生産コストが削減されることで、将来的には価格の安定が期待されますが、一方で、一部モデルの価格が上昇する可能性もあります。

また、内燃機関車両の選択肢が減ることで、他メーカーに顧客を奪われるリスクも考えられます。

競争力の維持に関しては、BMWが電動車両やハイブリッド車に注力することで、新たな市場での競争力を高める狙いがあります。

電動車両市場の拡大に伴い、これらのモデルでの競争力を確保することが重要です。

将来的には、より環境に優しい車両の需要が高まる中で、BMWの競争力を維持するためには、新技術の導入と製品ラインの見直しが不可欠となります。

未来のモデルへの影響としては、内燃機関車両から電動車両へのシフトが加速し、次世代モデルにはより多くの電動オプションが含まれるでしょう。

この移行期には、新技術の開発と市場の需要に応じた柔軟な対応が求められます。

BMWがどのようにこの変革期を乗り越え、未来の車両ラインアップを構築するかが注目されます。

Reference:reuters.com