BMWがレンジエクステンダー方式の電動(EV)車を再び検討しているというニュースが話題になっています。
航続距離をモーター走行で確保しながら、必要に応じてエンジンで発電するこの仕組みは、純粋なEVとは異なるアプローチとして注目されています。
さらに日産のe-POWERも同じ“発電エンジン+モーター駆動”という点で比較されることが増えました。
今回の記事では、BMWの動きとe-POWERの違いを踏まえつつ、中国市場ではどちらが適しているのかを私の考察と感想を交えて整理します。
BMWがレンジエクステンダー復活を検討する背景
中国市場でEREVが急成長する理由
BMWがレンジエクステンダー方式の採用を再検討している背景には、中国市場で起きている電動車トレンドの大きな変化があります。
中国ではEV販売が伸び続けているものの、充電インフラの地域差や航続距離への不安は依然として解消されていません。
その結果、エンジンで発電しながらモーターで走るEREVと呼ばれるカテゴリーが急速に成長し、2025年には販売数が大幅に増加しました。
大型SUVでは純EVよりもEREVが合理的
特に長距離移動が多い大型SUVのユーザーにとって、バッテリー残量が減ってもエンジンで発電して走行を継続できる安心感は大きな魅力です。
バッテリー容量を増やし車重が増える純EVよりも、発電エンジンを併用したほうが効率を確保しやすいケースも多く、中国の広大な国土事情にも適しています。
BMWとしてもこの市場動向を無視することはできず、既存のEV戦略に加えてEREVをラインナップに組み込むことで、ユーザーの実用性ニーズに応えられると判断したと考えています。
こうした複数の要因が重なり、BMWがレンジエクステンダー復活を本格的に検討し始めたと言えるでしょう。
レンジエクステンダー(EREV)の仕組みと特徴
発電専用エンジンで走行を支える構造
レンジエクステンダー(EREV)は、車輪を直接駆動するのではなく、エンジンを発電専用に使う方式が大きな特徴です。
走行の主体はあくまでモーターであり、バッテリー電力が不足してきた際にだけエンジンが発電を担当します。
そのため運転フィールはEVに近く、加速の滑らかさや静粛性は純EVに近いレベルを維持できます。
EVの弱点を補う“安心感”
EREVの最大の利点は、航続距離に対する心理的不安を大幅に軽減できる点です。
充電インフラが整っていない地域でも、エンジンで発電しながら走行を継続できるため、長距離移動が多いユーザーにとって実用性が非常に高い仕組みといえます。
特に広大な国土を移動する市場では理にかなった技術だと感じます。
EVの航続距離不足を補いながら、ユーザーが求める安心感も両立できる点がEREVの強みです。
日産e-POWERの仕組みとEREVとの違い
同じ“発電エンジン+モーター走行”でも目的が異なる
出典:日産自動車「e-POWERシステム」より
日産e-POWERもエンジンで発電し、モーターのみで走行する点ではEREVと同じ思想を持っています。
しかし、システムの設計思想や用途には明確な違いがあります。
e-POWERのバッテリー容量は比較的小さく、発電エンジンの稼働頻度が高いという特徴があります。
都市部の短距離移動やストップ&ゴーが多い環境に向けて最適化されており、日本の交通事情に合うよう設計されていると言えます。
EREVは長距離向け、e-POWERは都市型という住み分け
一方で、BMWが検討しているEREVは、大型SUVを含む長距離移動を前提とした設計になると予想されます。
バッテリー容量を大きく確保し、エンジンはあくまで航続距離を補うためのバックアップとして機能する構造が中心です。
私の考えとしては、e-POWERは“都市型の電動化”、EREVは“長距離対応の電動化”というように住み分けされていると見ています。
同じように見えても、ユーザーの利用シーンや市場条件が異なるため、両者は似て非なる技術だと言えるでしょう。
中国市場でEREVが支持される理由
充電インフラの地域格差と航続距離への不安
中国でEREVが急速に普及した背景には、充電インフラの地域格差があります。
都市部では超急速充電器の整備が進んでいるものの、地方へ行くほどインフラ密度は一気に低下し、長距離移動の多いユーザーにとって純EVの航続距離は依然として不安材料です。
EREVであれば、電欠の心配を減らしながらEV走行のフィーリングを維持できるため、「安心して乗れる電動車」という印象が強く、中国ユーザーのニーズと合致しています。
理想汽車(Li Auto)の成功が象徴する市場の成熟
中国でEREV人気が高まった理由の一つは、理想汽車(Li Auto)がEREV戦略で成功したことです。
特に大型SUV市場では、長距離移動・積載性・快適性のバランスを求めるユーザーが多く、バッテリー容量を極端に増やすよりも、発電エンジンを搭載して航続距離を補うほうが現実的です。
こうした「実用性を重視するユーザー層」に向けてEREVがハマったことで、市場全体がEREVを認知し、さらに販売が伸びる好循環が生まれました。
私が感じる中国特有の“合理性”
私としては、中国ユーザーは新しい技術を積極的に取り入れつつも、実用面で合理的な判断をする傾向が強いと感じます。
航続距離や充電環境に不安がある状況では、EREVの「電動車でありながらガソリンで安心を確保する」という特徴は非常に魅力的です。
中国でEREVが支持されるのは、技術としての新しさ以上に、生活圏での実利に直結しているからだと考えています。
BMWのEREVとe-POWER、どちらが中国に向くのか
長距離移動を前提としたBMWのEREVは中国市場と相性が良い
BMWが検討するEREVは、大型SUVを中心に長距離移動を想定した構造になると考えられます。
大容量バッテリーを搭載しつつ、バッテリーが減ってもエンジンで電力を供給できるため、広大な中国市場の移動環境に適した電動化方式といえます。
特に、高速道路を長時間走る使用シーンでは、航続距離不安が少なく、ピュアEVよりも実用メリットが大きくなります。
この点は、都市利用が多い日本とは明確に状況が異なります。
e-POWERは都市型に最適化されたシステム
一方で日産e-POWERは、都市部での短距離移動やストップ&ゴーが中心の日本の交通環境に最適化されています。
バッテリー容量は小さく、エンジンが頻繁に稼働しながらバッテリーを補う方式で、軽快な加速フィールと扱いやすさが特徴です。
しかし、中国の広大な土地や長距離移動を考えると、e-POWERの構造では航続距離の面で不利になりやすく、EREVほどの安心感は得られません。
まとめ:用途と市場条件を考えるとBMWのEREVが優勢
私の考えとしては、中国市場で求められる“実用性”と“広大な距離の移動”という条件を踏まえると、BMWのEREVのほうが高い適性を持つと感じます。
e-POWERは都市型電動化の代表例として優れていますが、中国の電動車戦略やユーザーの行動範囲を考えると、EREVがより自然にフィットするはずです。
今後BMWがEREVを本格的に投入すれば、中国市場における競争力強化にもつながると見ています。
Reference:cryptopolitan.com
よくある質問(FAQ)
Q1.BMWのレンジエクステンダーとは何ですか?
レンジエクステンダーは、エンジンを発電専用として使い、走行自体はモーターだけで行う電動車の方式です。バッテリー残量が減った際にエンジンで発電し、航続距離を伸ばせる点が特徴です。
Q2.e-POWERとBMWのEREVはどこが違うのですか?
どちらも発電エンジンとモーター走行を組み合わせますが、e-POWERは比較的バッテリーが小さく都市部の短距離移動向け、BMWのEREVは大容量バッテリーと長距離移動を前提とした大型SUV向けという違いがあります。
Q3.なぜ中国ではEREVが支持されているのですか?
中国では地域によって充電インフラの整備状況に差があり、長距離移動時の電欠不安が大きな課題です。EREVならガソリンで発電しながら走れるため、EVの走りと航続距離の安心感を両立できる点が支持されています。
Q4.BMWのEREVは日本市場にも投入される可能性がありますか?
現時点では中国向けの大型SUVが主な検討対象とされていますが、日本でも長距離利用の多いユーザーには一定のニーズがあります。正式発表はまだですが、電動化の流れ次第では日本導入の可能性もあると考えています。
Q5.EVとEREV、どちらを選ぶべきでしょうか?
主に都市部の短距離走行が中心で自宅や職場に充電設備があるなら純EVが有利です。一方、長距離移動が多く充電環境に不安がある場合は、発電用エンジンを備えるEREVのほうが実用面で安心できる選択肢になります。






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