モータースポーツ用に設計され、限定生産されたこのモデルは、BMWの高性能車ライン「M」の基礎を築きました。
しかし、その後M1の後継車は登場せず、伝説的な存在として語り継がれています。
一方で、電動化が進む現在の自動車業界では、スポーツカーにも新たな時代が求められています。
そんな中、BMWが「ノイエ・クラッセ」プラットフォームを採用した電動スーパーカーの可能性を示唆するスパイショットが話題となり、M1復活への期待が高まりました。
しかし、BMW M部門のCEOフランク・ヴァン・ミールは、これに対して明確に否定の意を示しました。
今回の記事では、この背景とBMWの戦略を詳しく解説します。
- M1復活の可能性を否定：BMW M部門のCEOが「ノイエ・クラッセ」プロトタイプをM1復活ではなく、試験的なデザイン車両と明言
- 技術的課題と冷却の問題：電動モーターをホイール内蔵にする設計は軽量化に寄与するものの、高出力パワートレインでは冷却が困難と指摘
- 次世代スポーツカーへの挑戦：BMWは「ノイエ・クラッセ」を基盤に、新しい電動Mモデルを開発中。精密な制御と軽量化で新たな運転体験を目指す
BMWノイエ・クラッセとは？
「ノイエ・クラッセ」は、BMWが次世代の電動車両に向けて開発した新しいプラットフォームです。
この名称は、1960年代にBMWが経営危機を脱却するために投入した車種群から由来しています。
現代の「ノイエ・クラッセ」は、電動化やデジタル化、持続可能性を重視した設計思想に基づいています。
このプラットフォームでは、次世代バッテリー技術や効率的な生産方法が採用され、CO2排出量の削減が可能となっています。
また、BMWはこの技術を2025年以降の車種に適用する計画を発表しており、具体例として新型3シリーズやX3が挙げられます。
ノイエ・クラッセは単なる技術革新だけでなく、BMWのブランドイメージを未来に向けて再構築する重要な鍵となるでしょう。
BMW M部門の発言：M1復活を否定する理由
BMW M部門のCEOフランク・ヴァン・ミールは、ノイエ・クラッセ版M1の可能性について「単なるプロトタイプに過ぎない」と発言しました。
このプロトタイプは、ノイエ・クラッセのデザイン要素を取り入れた試験車であり、M1スーパーカーの復活を意図したものではないと述べています。
ヴァン・ミールはまた、技術的な課題についても触れています。
具体的には、電動モーターをホイール内に直接組み込む設計が議論の中心です。
この設計により、駆動軸やサブフレームが不要となり、車両重量を削減できる利点があります。
しかし、高出力を維持するためには冷却が課題となります。
彼は「数百キロワットを空冷で冷却するのは現実的ではない」とし、この設計がMモデルには適さない理由を説明しました。
さらに、M部門は電動車両の動力性能を重視しており、各ホイールに専用のモーターを配置することを理想としています。
この設計は、精密な制御を可能にし、電動車の持つ重量増加を補うとしています。
BMWのスポーツカー戦略とM部門の未来
BMW M部門は、長年にわたり高性能車の開発で培った経験を活かし、電動化時代にも対応する計画を進めています。
その中心には「Heart of Joy」と呼ばれる新しい制御システムがあります。
この技術は、電動車両においてもBMWらしいダイナミクスを実現するための重要な役割を果たします。
また、軽量化への取り組みも重要です。
電動車はバッテリーの重量増加が課題となりますが、BMWは材料選定や構造設計を見直し、総重量を削減する方向性を模索しています。
特に、サーキットでの性能向上を目指したM3やM5などのモデルで、この技術が試験的に導入されています。
M部門が目指すのは、単なる電動車ではなく、電動化によって新たな運転体験を提供する車両です。
これにより、Mブランドの持つ「高性能と精密性」というイメージを維持しながら、新しい顧客層にもアピールすることが期待されています。
ノイエ・クラッセプロトタイプの未来：コンセプトカーとしての可能性
ヴァン・ミールの発言によれば、今回のプロトタイプが市販化される可能性は低いとされています。
しかし、業界の専門家は、これがコンセプトカーとして発表される可能性を指摘しています。
コンセプトカーとしての役割は、技術革新を示すだけでなく、ブランドの未来像を形作るものです。
ノイエ・クラッセプロトタイプがこの役割を果たすことで、BMWの電動化戦略にさらなる注目が集まるでしょう。
また、このようなモデルが次世代のMモデル開発に影響を与える可能性も否定できません。
M1復活は夢のままか、それとも新たな方向性か？
BMW M1の復活は、電動化が進む現代においても多くのファンが待ち望むテーマです。
しかし、今回のノイエ・クラッセプロトタイプは、その夢を現実にするものではないと明確に示されました。
一方で、BMWのM部門は、新技術とデザイン哲学を駆使し、次世代のスポーツカーを創造する準備を進めています。
M1復活の夢は現実とは異なるものの、BMWの挑戦は続きます。
その未来に期待を寄せましょう。
Reference：carbuzz.com
