2025年7月、BMWは究極のステーションワゴンとも言える「BMW M3 CSツーリング(G81)」の日本仕様を発表しました。
BMW Mモデルの中でも最上位に位置づけられる「CS」バッジを冠したこの車両は、サーキット走行のDNAを受け継ぎながらも、日常的な使い勝手を兼ね備えた特別な1台です。
特に注目されているのは、世界的にも希少な「30台限定の日本導入」と、欧州仕様とは一部異なる日本専用仕様です。
この記事では、BMW M3 CSツーリングのスペックやデザイン、装備、走行性能の詳細に加えて、日本と欧州の仕様違いまで徹底的に比較・解説します。
購入を検討している方はもちろん、BMWファンや自動車マニアにとっても見逃せない内容です。
BMW M3 CSツーリング G81とは?

CSツーリング誕生の背景
BMW M3 CSツーリングは、BMWの高性能部門である「BMW M社」が開発した限定モデルです。
BMWのMモデルには、通常の「Mパフォーマンスモデル」と、サーキットレベルの走行を可能にする「Mハイ・パフォーマンスモデル」の2系統があります。
本車両は後者に該当し、BMWが本気でサーキット志向と実用性の両立を目指した成果と言えます。
ベースとなっているのは「M3 コンペティション M xDrive ツーリング」。
この車両を元に、さらなる出力向上、徹底した軽量化、CFRPの外装パーツやブレーキシステムの刷新などが施されました。
その上で、CS(コンペティション・スポーツ)の名にふさわしいチューニングが加えられています。
ステーションワゴン初のCSモデル
これまでのCSモデルはセダンやクーペに限られていましたが、今回のM3 CSツーリングはBMW史上初となるワゴンボディのCSモデルです。
これにより、走行性能だけでなくラゲッジ容量や日常の使い勝手も備えた、真の“オールラウンド・ハイパフォーマンスカー”が誕生しました。
生産台数は日本市場限定でわずか30台。
選ばれしオーナーにしか手にできない希少車となっています。
BMW M3 CSツーリングのスペック徹底解析

エンジン性能と加速力
BMW M3 CSツーリングには、3.0リッター直列6気筒DOHC Mツインパワー・ターボ・ガソリンエンジンが搭載されています。
最高出力は550PS(405kW)/6,250rpm、最大トルクは650Nm/2,750-5,950rpmを発揮します。
0-100km/h加速はわずか3.5秒(欧州仕様値)と、スーパーカー並みの加速性能を誇ります。
これはベースモデルの「M3コンペティション M xDrive ツーリング」に対して約20PSの出力向上に相当します。
軽量化による運動性能の向上
BMW M3 CSツーリングでは、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)を積極的に採用し、約15kgの軽量化を実現しています。
特に、ボンネットやルーフ、エア・インテーク、ドアミラーカバー、センターコンソールなどがCFRP製です。
これにより低重心化と軽量ボディがもたらされ、コーナリング性能や加速時のダイレクト感が大きく向上しています。
トランスミッションと駆動方式
トランスミッションは8速Mステップトロニック(Drivelogic付)を採用し、右ハンドル仕様です。
駆動方式にはBMWの誇る「M xDrive」システムを搭載し、通常は4輪駆動ながら、走行モードによって後輪駆動への切り替えも可能。
これにより、安定感とダイナミズムの両立を図っています。
その他スペック
全長4,805mm、全幅1,915mm、全高1,445mm、ホイールベース2,855mmと、ワゴンとしては非常にバランスの取れたプロポーションを備えています。
車両重量は1,840kg、WLTCモード燃費は9.6km/Lとなっており、高性能ながらも一定の実用性も確保されています。
日本仕様と欧州仕様の違い
ボディカラーの違い:欧州は4色、日本は1色限定
欧州仕様のBMW M3 CSツーリングでは、以下の4色のボディカラーから選択が可能です(BMW Individual専用色):
- Laguna Seca Blue(ラグナ・セカ・ブルー)
- British Racing Green(ブリティッシュ・レーシング・グリーン)
- Frozen Solid White(フローズン・ソリッド・ホワイト)
- Saphirschwarz(サファイア・ブラック)
これらはすべてBMW Individualによる特別塗装であり、スポーティさやエレガンスを際立たせる仕上がりです。
とくに「Laguna Seca Blue(ラグナ・セカ・ブルー)」はBMWファンの間でも人気が高く、過去のMモデルで伝統的に使用されてきた色です。
一方、日本仕様では「Frozen Solid White(フローズン・ソリッド・ホワイト)」の1色のみが設定されています。
これは日本市場への供給台数が限定されていること、認証・物流コストの合理化、さらに仕様統一による車両調整の簡略化を目的としていると考えられます。
外装パーツと法規対応の違い
欧州仕様ではフロントリップスポイラーが標準装備されており、空力性能の向上に貢献します。
しかし、日本仕様ではこのリップスポイラーが非装着となっています。
その理由は、日本の車両保安基準への適合が必要だからです。
とくに関係があるのが以下の法規制です:
- 道路運送車両の保安基準 第18条(突起物の制限)
- 道路交通法施行令 第22条(外装の形状と歩行者保護基準)
これらの規定により、車両前面の突起物(リップスポイラーなど)が「突出しすぎていないこと」「歩行者に危険を及ぼさない形状であること」が求められます。
欧州仕様のエアロパーツがこれに適合しない可能性があるため、日本では安全基準への対応として非装着となったと見られます。
装備とオプションの固定化
日本仕様は完全固定装備となっており、オプションの選択はできません。
標準装備として以下が含まれています:
- Mカーボン・バケット・シート
- フル・レザー・メリノ(ブラック/レッド)の内装
- ゴールド・ブロンズ仕上げの19/20インチ鍛造ホイール
- ワイヤレス充電機能
- アダプティブLEDヘッドライト
欧州仕様では、内装カラーや一部装備、ホイールフィニッシュにおいて選択の幅がある可能性があります。
特にBMW Individualオプションの設定有無は市場によって異なるため、日本仕様の“パッケージ統一”とは大きな差異が見られます。
カーボン採用とブレーキ性能の進化
カーボンファイバー強化樹脂(CFRP)で徹底軽量化
BMW M3 CSツーリングでは、随所にカーボンファイバー強化樹脂(CFRP)を採用することで、ベースモデル比で約15kgの軽量化を実現しています。具体的には、ボンネット、ルーフ、フロントスプリッター、リアディフューザー、サイドミラーカバー、センターコンソール、ステアリングホイールのトリム部分などにCFRPが使用されています。
これにより、車両の運動性能に大きく貢献しています。
車重が減ることで加速性能はもちろん、コーナリング時の挙動が軽快になり、サーキット走行でも高い安定性と応答性を発揮します。
また、ルーフをCFRP化することで車両重心が下がり、ロール剛性の向上にも寄与しています。
Mカーボン・セラミック・ブレーキの性能
日本仕様のM3 CSツーリングには、Mカーボン・セラミック・ブレーキが標準装備されています。
このブレーキシステムは、カーボンとセラミック素材を組み合わせた高耐熱・高剛性の構造となっており、一般的な鋳鉄製ブレーキよりも大幅に軽量で、熱ダレにも強いという特長があります。
このブレーキは、サーキットのような高負荷環境下でも安定した制動力を発揮し、ペダルタッチの一貫性やレスポンスにも優れています。
また、長寿命でブレーキダストも少なく、ホイールの清掃頻度を減らせるといった日常的なメリットもあります。
ホイールとタイヤの設計も専用化
M3 CSツーリングでは、フロント19インチ、リア20インチの専用鍛造ホイールが装着されています。
ホイールカラーはゴールド・ブロンズ仕上げで、視覚的にも高い存在感を放ちます。
組み合わされるタイヤは、高性能なサーキット走行にも対応したミシュラン製のパイロットスポーツカップ2が装着されており、トラクションとグリップ性能に優れています。
限定30台の価値と購入方法
希少性と価格のバランス
BMW M3 CSツーリング(日本仕様)は、わずか30台限定で導入され、車両本体価格は2,098万円(税込)に設定されています。
これは、ベースとなるM3コンペティション・ツーリング(約1,410万円)と比べて約688万円の価格差があるものの、エンジン出力の向上、CFRPによる軽量化、装備の充実度を考慮すると、内容に見合った金額といえます。
加えて、CS専用のボディ設計や装備はプレミアム性が高く、リセールバリューも期待できます。
事実、過去のM4 CSやM5 CSなども中古市場で高値を維持しており、コレクションとしての価値も非常に高いと評価されています。
購入方法とスケジュール
BMW M3 CSツーリング(日本仕様)は、BMW正規ディーラーを通じて応募が行われます。
応募受付は2024年6月下旬から開始され、商談権を得た当選者には、ディーラーから個別に連絡が入ります。
当選後はディーラーと契約を進め、納車スケジュールや登録手続きなどの詳細が案内される流れです。
なお、本モデルは完全固定仕様となっており、ボディカラーや内装、装備の変更はできません。
全国で30台という超希少な台数のため、抽選倍率は非常に高くなることが予想されます。
M3コンペティションとの違いとCSを選ぶ理由
ベースモデルとの主な違い
M3 CSツーリングのベース車両は「M3コンペティション M xDrive ツーリング」です。
外観上の違いとしては、CFRPルーフや専用デザインのエアインテーク、ゴールドブロンズの鍛造ホイールが挙げられます。
また、CSは前述の通り、約15kgの軽量化と出力20PSアップにより、0-100km/h加速はベースモデルの3.6秒から3.5秒へ短縮されています。
走行性能と乗り味の差
CSは、ステアリング応答性、ブレーキフィール、トラクション性能においてベースモデルを上回ります。
特に、Mカーボン・バケット・シートのホールド性や、アクティブ・ディファレンシャルとの連携によるコーナリング性能は、ワゴンボディでありながら非常にスポーティです。
CSを選ぶ意義とは?
CSを選ぶ最大の理由は、所有満足度と希少性の両立にあります。
日常で使える実用性を持ちながら、サーキットレベルのパフォーマンスを引き出せるワゴン車は他に類を見ません。
さらに、BMW M社が技術と美学を注ぎ込んだCSモデルは、単なる移動手段ではなく「所有する喜び」を感じさせる存在です。
まとめ:限定30台のM3 CSツーリングが示す、BMWワゴンの到達点とは
BMW M3 CSツーリング G81は、走行性能・デザイン・実用性の三拍子が揃った究極のハイパフォーマンス・ワゴンです。
30台限定の希少性と、日本仕様ならではの特別設計が所有者の特別感を引き立てます。
ベースモデルを凌駕する性能に加え、細部まで緻密に設計された専用装備は、BMW Mの真髄を体現しています。
限定モデルならではの価値を理解し、所有することで得られる感動を、ぜひ手にしてみてください。
Reference:press.bmwgroup.com
よくある質問(FAQ)
BMW M3 CSツーリングは何台限定ですか?
日本仕様は30台限定で販売され、すべて抽選による販売方式となっています。
日本仕様と欧州仕様ではどこが違いますか?
主にボディカラー、装備内容、フロントスポイラーの有無が異なります。日本仕様は1色限定で、装備は完全固定です。
CSモデルはコンペティションモデルと何が違いますか?
エンジン出力の向上、CFRPによる軽量化、専用ブレーキと装備など、走行性能と特別感が大きく異なります。
購入するにはどうすればいいですか?
全国のBMW正規ディーラーで抽選応募を行い、当選者にのみ商談の案内が届きます。
リセールバリューは期待できますか?
過去のCSモデルは中古市場でも高値で取引されており、本モデルも高いリセールが見込まれます。
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