BMW X3 G01は新型へのモデルチェンジを行った一方で、兄弟車のBMW X4(G02)は2025年内に生産を終了します。
ガソリンは9月末、ディーゼルは11月末でラインオフ予定です。(日本では既に受注中止)
なぜ“続くX3”と“終わるX4”に分かれたのか。
公式発表と販売動向、さらに電動化シフトという大きな文脈から、BMWのSUV戦略を読み解きます。
- X4は年内で終了:ガソリンは9月末、ディーゼルは11月末で生産終了
- X3は主力として継続:実用性と販売規模でモデルチェンジが妥当
- 後継は電動iX4:ノイエクラッセ採用、2026年11月に生産開始見込み
BMW X4(G02)生産終了の正式発表とタイムライン
ガソリンは2025年9月末、ディーゼルは11月末で終了
BMWはX4(G02)の内燃機関モデルについて、段階的な生産終了スケジュールを示しました。
ドイツ本国ではガソリン仕様が2025年9月30日で生産を終え、ディーゼル仕様(20d/30d/M40d)も2025年11月末でラインオフとなります。
これによりX4の内燃機関モデルは年内で区切りを迎える見通しです。
コンフィギュレーターの表示と在庫販売の状況
計画の反映として、ドイツの公式コンフィギュレーターではガソリン仕様のX4が非表示となり、「選択したモデルシリーズでは利用できません」と案内されます。
一方、米国のBMWUSAビルドページではxDrive30iやM40iの表示が続き、在庫販売の消化が進みます。
日本でもBMW JAPAN公式サイトからX4はラインアップから消滅しています。
市場や在庫に応じて見え方が異なるのは移行期ならではです。
現行X4(2018年登場)は、次期の内燃機関版が計画されていないとされ、BMWは空白を将来の電動SUVで埋める方針です。
兄弟車X3はなぜモデルチェンジを果たしたのか

X3は主力SUVとして世界的に販売を維持
BMW X3は世界中で販売される主力SUVとして、堅調な需要を維持してきました。
特に欧州・北米・中国の3市場で安定した販売を記録しており、ブランド全体の収益を支える存在です。
こうした背景から、BMWはX3の後継モデル「G45」を開発し、内燃機関と電動化の両路線を維持する方針を取りました。
新型X3 G45の内燃機関版は改良版CLARプラットフォームを採用し、48Vマイルドハイブリッドシステムを全車標準搭載するなど、次世代規制への対応も万全です。
X4との販売バランスと市場ポジション
一方のX4はクーペSUVというデザイン性重視の派生モデルであり、販売台数はX3の半分以下にとどまります。
2018年登場のG02型ではボディ形状の個性は際立っていたものの、ファミリーユーザーや法人需要ではX3が圧倒的に支持されました。
そのため、BMWはモデルラインの効率化を進める中で、X3を中核に据え、X4の次期モデルを見送る決断を下したとみられます。
結果としてX3は実用性重視の主力モデルとして生き残り、X4は新時代の電動SUVへと役割を譲る形になりました。
なぜX4だけが終了?BMWの再編戦略

ラインナップ整理と重複排除の動き
BMWは現在、SUVラインナップの整理を進めています。
ガソリン・ディーゼル・電動化モデルが混在する中で、販売が重複する車種を減らす方針を明確に打ち出しました。
その中でもX4は、デザインと走行性能の面でX2やX6と競合する部分があり、商品構成の整理対象になったと考えられます。
特に新型X2 U10がボディを拡大し、価格帯もX4に接近したことで、両車の役割が重なり始めました。
クーペSUV市場の成熟とX4の立ち位置
また、市場全体で見るとクーペSUVセグメントは成熟期に入り、メルセデス・ベンツGLCクーペやアウディQ5スポーツバックなど競合が増加しています。
独自性が薄れた結果、X4の販売は一時期より落ち着きを見せており、BMWとしても生産コストに対して十分な利益を確保しにくくなっていました。
そこでBMWは、限られた開発リソースをEV専用の次世代モデル「iX4」に集中させ、ブランド全体の効率化と電動化を加速させる戦略を選択したのです。
合理化の裏にある電動化ロードマップ
この決断は単なる販売不振の結果ではなく、BMWの中長期的な電動化ロードマップの一環です。
ノイエクラッセ・プラットフォームを軸にSUV群を再編し、X3を内燃・電動の橋渡しモデルとしつつ、X4を完全EVラインへ転換させる。
これが“なぜX4だけが終了したのか”という問いへの本質的な答えといえるでしょう。
後継モデルは電動SUV「BMW iX4」へ

ノイエクラッセ・プラットフォーム採用の新世代EV
BMW X4の後継モデルとして登場するのが、完全電動SUVの「BMW iX4(コードネームNA7)」です。
このモデルは、ノイエクラッセ・プラットフォームを採用する新世代EV群の一角を担う存在で、2026年11月からハンガリーのデブレツェン工場で生産開始が予定されています。
BMWは同工場で「iX3」や「iX2」に続く次世代EVを展開しており、iX4はその中心的役割を担うモデルになるとみられます。
航続距離800km、Mパフォーマンス仕様も登場予定
欧州WLTP基準で航続距離は約800kmとされ、バッテリー効率と軽量化技術の進化を象徴するモデルになる見通しです。
また、高性能グレードとして「iX4 M60」も2027年春に登場すると報じられており、現行X4 Mの後継的な位置づけを担うと考えられます。
駆動方式はxDrive50、xDrive40、sDrive40など複数の構成が想定され、ユーザー層の幅広いニーズに応える仕様となりそうです。
デザインはスポーティさを継承しつつ新時代へ
デザイン面では、現行X4の流線的なクーペスタイルを継承しつつ、ノイエクラッセらしいシャープな造形と大型パノラマディスプレイを採用する見込みです。
これにより、内外装ともに「従来の延長ではない、完全な再構築」として登場する可能性があります。
X4という名称は消えるものの、その遺伝子は新世代EV「iX4」に確実に引き継がれるでしょう。
まとめ:BMW SUV戦略が示す“淘汰と進化”の方向性
X4消滅の背景にある合理的な選択
BMWがX4を生産終了し、X3をモデルチェンジさせたのは、単なる販売台数の差だけではありません。
多様化しすぎたSUVラインを整理し、電動化時代に適した構成へ移行するという、戦略的な判断です。
X3は引き続きガソリン・ディーゼル・EVの橋渡しモデルとして残り、X4は完全EV「iX4」として新しいフェーズへ進みます。
これにより、BMWは同セグメント内での競合を最小化しつつ、開発コストと販売効率の最適化を図る狙いを持っています。
Reference:motor.es
よくある質問(FAQ)
Q1. BMW X4(G02)はいつ生産終了しますか?
ガソリンモデルは2025年9月30日で終了、ディーゼル(20d/30d/M40d)は2025年11月末で終了します。段階的にラインオフが進み、年内で区切りとなります。
Q2. なぜX3はモデルチェンジなのにX4は終了したのですか?
X3は世界的な販売規模が大きい主力SUVで、実用性需要が厚い一方、X4は派生のクーペSUVで販売重複や収益性の課題があり、ラインアップ効率化と電動化の方針から見直されました。
Q3. X4の後継は何になりますか?
後継は完全電動SUVのBMW iX4(コードNA7)と見られます。2026年11月にハンガリーのデブレツェン工場で生産開始予定、2027年初頭の市場投入が想定されています。
Q4. いまX4は新車で購入できますか?
ドイツ本国のコンフィギュレーターではガソリン仕様が非表示。一方で米国サイトではxDrive30iやM40iが表示されるなど、地域在庫の販売は継続しています(在庫限り)。日本は販売終了。
Q5. 高性能モデルの計画はありますか?
iX4にはMパフォーマンス相当のiX4 M60が2027年春に登場すると報じられています。さらにフルM版(ZA7)の可能性も言及がありますが、現時点ではうわさ段階です。
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