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ワゴン不人気のアメリカでM5ツーリング G99が売れるのか?M3ツーリング G81との比較

ワゴン不人気のアメリカでM5ツーリング G99が売れるのか?M3ツーリング G81との比較 BMW
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ワゴン不人気が根強いアメリカ市場で、BMWはM5ツーリングG99を投入し、M3ツーリングG81は見送りました。

なぜ大型かつ高価格のG99を選んだのか、そして本当に“売れる”のか。

私は自動車業界の動向を追い続けてきた立場から、背景と意図を丁寧に解きほぐし、G81との比較視点で読み解きます。

この記事のポイント

M5ツーリング優先の理由
大型高価格帯で存在感が強く、初のMワゴン成功を狙う“安全策”。

SUVと大きさの壁
SUV偏重と固定観念が強く、ワゴンは価格対効果で不利になりやすい。

復権への布石
M5ツーリングの好調が続けば、次世代M3ツーリングの北米導入検討が現実味を帯びる。

アメリカ市場における「ワゴン不人気」の背景

SUV・ピックアップ偏重という市場構造

アメリカでは1990年代後半以降、SUVとピックアップトラックが販売台数ランキングの上位を長く占めています。

積雪地域や広大な郊外生活では、車高の高い車両が日常の使い勝手で優位に立ち、結果として「家族用ならSUV」という規範が定着しました。

ディーラー側も在庫や広告投下をSUV中心に最適化し、ワゴンは展示台数も露出も限られます。

つまり需要と供給の両面から、ワゴンは選ばれにくい前提条件が積み上がっているのです。

「ワゴン=実用車」という固定観念と価格帯の衝突

もう一つの壁は、ワゴンに対するイメージです。

多くの消費者にとってワゴンは「荷物が積める実用車」であり、スポーツ性を前面に出すモデルは例外的な存在にとどまります。

高価格帯のハイパフォーマンス・ワゴンは、同予算帯のラグジュアリーSUVやフルサイズセダンと直接競合し、見栄え・着座位置・対人印象といった情緒的価値で劣勢になりがちです。

結果として、ワゴンは価格に対する説得力を示しづらく、マーケット全体の選択肢から外れやすい構造が続いてきました。

M3ツーリング G81が見送られた理由とその商品性

曇り空の下、砂地に駐車された白い BMW M3 ツーリング スポーツ ワゴン。.

アメリカ導入が見送られた背景

M3ツーリングG81は、ヨーロッパでは高い評価を受けたモデルですが、アメリカ市場では正式導入が見送られました。

理由のひとつは、BMW M部門のトップであるフランク・ヴァン・ミール氏の判断です。

彼は

「私たちは十分に勇気がなかった(not brave enough)」

と語り、G81をアメリカ市場に投入する決断を見送ったことを認めています。

つまりBMWは、M3ツーリングの販売が芳しくなければ、後続のM5ツーリングG99まで悪影響を及ぼすリスクを懸念したのです。

BMWにとって「初のMワゴン」をどのモデルで出すかは大きな経営判断でした。

もしG81を先に導入して販売が伸び悩めば、より高利益を見込めるG99の導入計画が頓挫しかねません。

特にアメリカ市場ではワゴンの販売実績が乏しく、マーケティングや販売網の再構築に相当なコストがかかります。

そのためBMWは、まず「成功が見込める安全なカード」としてM5ツーリングを選んだのです。

G81が抱えるアメリカ市場での課題

G81は全長4.8メートルに満たない比較的コンパクトな車体を持ち、俊敏なハンドリングや軽快な加速性能など、ピュアMらしい走りが最大の魅力です。

しかしアメリカでは、このサイズ感がむしろネックになります。

3シリーズベースの車格は「高級車」として認識されにくく、同価格帯のSUVやセダンと比べて見栄えや車格面での優位性を示しづらいのです。

さらに価格設定も微妙な位置にあります。

仮にアメリカで販売した場合、ベース価格は約10万ドル前後と予想されますが、それは上位のX3MやM4と競合します。

SUV人気が根強いアメリカでは、同じ価格なら「積載力と存在感のあるSUVを選ぶ」という消費者心理が強く働きます。

つまりM3ツーリングの“走りの魅力”は理解されても、“買う理由”としては弱いのです。

商品性の高さとマーケット不一致

M3ツーリングG81は、直列6気筒3.0リッターツインターボのS58型エンジンを搭載し、最高出力510ps、0-100km/h加速3.6秒という圧倒的な性能を誇ります。

ステーションワゴンでありながらサーキット走行も可能な完成度は、まさにMが築いてきた理想の形です。

実際、欧州市場ではファミリー層を中心に好調な販売を記録しています。

しかしその完成度が高いほど、アメリカ市場では“中途半端”に見えてしまうという皮肉な側面もあります。

ハイパフォーマンスを求める層はM4やM5を選び、実用性を求める層はXシリーズへ流れる。

つまりG81は、アメリカ市場における「M=ステータス」「ワゴン=ファミリーカー」という二極化構造に入り込む余地が少なかったのです。

私の見立てでは、BMWがG81をあえて導入しなかったのは消極策ではなく、より長期的にブランドを守るための慎重な一手だったと考えています。

M5ツーリング G99が選ばれた戦略的理由と販売動向

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アメリカ市場で“安全な賭け”を選んだ理由

BMWがM3ツーリングG81ではなく、M5ツーリングG99をアメリカに導入したのは、市場性を見極めた戦略的な判断でした。

アメリカでは「大きい=高級」という価値観が根強く、特に高性能モデルではサイズと排気量が購買意欲を左右します。

M5ツーリングG99はV8ハイブリッドを搭載し、圧倒的なトルクと存在感を持つモデルです。

M部門のヴァン・ミール氏はこの選択を

「論理的な決断」

と語り、

「初のMワゴンで失敗は許されない」

と明言しました。

つまり、BMWはブランドの信頼を守るために“安全な賭け”としてG99を選んだのです。

アメリカ市場での販売動向と成功要因

M5ツーリングは販売初期から予想を上回る反響を得ています。

BMWはセダンとツーリングの比率を当初70対30と見込んでいましたが、実際には50対50に修正されるほどの人気を記録しました。

価格は約12万ドルと高額ながら、ハイパフォーマンスSUVでは得られない“走りの純度”が富裕層に評価され、予約はセダンを上回る勢いで推移しています。

ファミリーユースにも対応する実用性と、0-100km/h加速3.4秒という圧倒的な性能を両立させた点が、アメリカ市場における新しい成功モデルとなりました。

ブランド強化と次の一手

M5ツーリングG99の投入は、単なる販売戦略ではなくブランド価値の再定義でもあります。

SUVが主流のアメリカで“走りのワゴン”を再び浸透させることは、BMWがMブランドの原点を取り戻す挑戦でもあるのです。

その成果を受け、BMW幹部は「M5ツーリングの成功次第でM3ツーリング導入を検討する」と言及しています。

私の見立てでは、G99の成功はM3ツーリングG81が北米上陸するための布石になるでしょう。

ワゴン不人気の市場において、BMWが再び“走りで魅せる時代”を切り拓こうとしているのです。

まとめ:M5ツーリング G99が切り拓く“ワゴン復権”の可能性

M5ツーリングG99の成功は、単なる販売結果にとどまらず、BMWにとって戦略的な意味を持っています。

ワゴン不人気とされるアメリカ市場で、走りと実用性を両立したM5が評価されたことは、「ワゴンでも成功できる」という新しい可能性を示しました。

BMWがM3ツーリングG81を見送った判断は、結果的にG99で市場の反応を試すための布石だったとも言えます。

この成果によって、BMWは再びワゴン市場に光を見出しました。

今後、M5ツーリングの好調が続けば、次世代M3ツーリングのアメリカ導入も現実味を帯びてくるでしょう。

M5ツーリングG99は、SUV一辺倒の時代に「走りの歓び」を取り戻す象徴的な存在です。

私は、このモデルがワゴンというカテゴリーそのものの価値を再定義し、BMWが再びスポーツワゴンの魅力を広めるきっかけになると確信しています。

Reference:motor1.com

よくある質問(FAQ)

Q1. なぜアメリカではM3ツーリングG81が発売されなかったのですか?

ワゴン不人気の市場で最初のMワゴンを成功させるため、より大型かつ高価格帯で存在感のあるM5ツーリングG99を優先する“安全な賭け”が選ばれたと私は考えます。

Q2. M5ツーリングG99はアメリカで本当に売れていますか?

初期受注は好調で、セダンと拮抗する水準に達したとの報道があり、話題喚起と実需の両面で成功の兆しが見られます。大型高性能と実用性の両立が評価されています。

Q3. アメリカでワゴンが不人気な理由は何ですか?

SUV・ピックアップ偏重の市場構造と、「ワゴン=実用車」という固定観念が根強いからです。価格帯が高くなるほど、同予算のSUVや大型セダンが選ばれやすい傾向があります。

Q4. M3ツーリングG81の北米導入は将来あり得ますか?

M5ツーリングG99の成功が継続すれば、ブランドとしてワゴンの地位が高まり、次世代での検討余地が広がる可能性があります。私は“布石”としての意味を強く感じています。

Q5. G99とG81はどんな点が違い、市場適合にどう影響しますか?

G99はサイズ・価格・パワーで“旗艦”としての説得力があり、米国の嗜好に合致します。G81は運動性能に秀でますが、米国では車格評価や価格対効果で不利になりやすい点が課題です。

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