BMW Mが「Competition(コンペティション)」バッジを廃止し、上位ラインをCS/CSLに整理する方針を示しました。
東京モビリティショーでBMW Mのフランク・ヴァン・ミールCEOが事実上の終了を認め、今後は“標準のM=従来のCompetition相当”という位置づけに移行します。
私自身、かつてM4 F82を所有していた経験から、この再編の意味を丁寧に解説します。
BMW M「Competition」廃止のニュース概要
2025年11月、BMW Mは長年続いた「Competition」グレードを終息させ、ラインナップの整理に踏み切ると発表しました。
背景には、購入者の大半が上位仕様を選ぶ実態があり、標準Mの性能・装備を引き上げて実質的にCompetition相当へ統合する狙いがあります。
東京モビリティショーの場でヴァン・ミールCEOが事実上の終了を認めたことも報じられました。
今後はベースM、そしてより尖ったCS/CSLという明快な階層で語られる見通しです。
名称の簡素化はモデル比較のわかりやすさや商品企画の自由度にも寄与し、販売現場での説明コスト削減にもつながると考えられます。

私は以前M4 コンペティション F82を所有していましたが、当時はまだコンペティションモデルの初期だっためコンペティションのエンブレムが付いていませんでした。
わざわざM5 コンペティションのエンブレムを購入して、コンペティションの文字だけをM4に取り付けていました。
そんな思い出があるコンペティションというグレードが廃止されるのは、少しさみしい気分になります。
BMW Mが「Competition」を廃止した理由
Mブランドを整理し、わかりやすい階層へ再構築
BMW Mが「Competition」バッジを廃止した最大の理由は、ブランド構成の複雑化を解消するためです。
これまでのMモデルは、標準仕様・Competition・CS・CSLという四段階構成で展開されており、一般ユーザーにはその違いが分かりにくいものでした。
実際には販売の大半をCompetition仕様が占め、標準Mが事実上必要がない状態でした。
これにより、Mブランドの訴求力が曖昧になり、ベースMの存在意義を見直す必要が出てきました。
電動化時代に合わせたブランド再定義
もう一つの理由は、今後の電動化戦略における位置づけの明確化です。
内燃エンジン中心の時代では、パフォーマンス差を出すために“Competition”という上位バージョンを用意することが効果的でした。
しかし、ハイブリッドやEVモデルが増えるこれからのMでは、単純に出力や馬力の差でモデルを階層化することが難しくなります。
そのため、BMWは「M=すでにCompetition水準の性能」として標準仕様を底上げし、より少ないバリエーションでブランドメッセージを統一する方向へ舵を切りました。
また、マーケティング面でも大きな意義があります。
多すぎるモデルは消費者の選択を複雑にし、販売現場でも混乱を招きやすい構成でした。
BMWはこの問題を「明快なピラミッド構造」で整理し、Mブランドのアイデンティティを再構築しようとしています。
結果として、これまで“上位モデルの証”だったCompetitionは、標準Mへと吸収され、全体のブランド価値を底上げする役割を担うことになったのです。
CS/CSLに一本化する新しいMライン戦略
「M→CS→CSL」という明快な三段階構成
BMW Mは今後、「M」「CS」「CSL」という三段階でラインナップを整理します。
標準のMモデルは、これまでのCompetitionと同等の性能と装備を持ち、日常と非日常を両立する万能型として位置づけられます。
その上に位置するのがCSで、軽量化や足回りの強化などを通じて、サーキット走行にも対応できるハードな仕様です。
そして最上位のCSLは、徹底的な軽量化や限定生産によって、“究極のM”を象徴する存在となります。
この三段階構成によって、ユーザーは自分が求める走行スタイルに応じて明確に選択できるようになります。
ブランド価値を高めるための合理化
この新戦略は、単なる整理ではなく、Mブランドをよりわかりやすく再定義するものです。
複雑化していたグレード体系を統合することで、生産や開発の効率が向上し、コスト面でも優位に働きます。
さらに、Mの象徴である走行性能とブランド力を保ちながら、モデル名で差別化を図ることが可能になります。
かつて私が所有していたM4 F82 Competitionでも、バッジが持つ特別感は確かに強く感じられましたが、今後のMではその“特別”が全モデルに拡大する形になります。
BMWはこの一本化によって、Mブランドをよりシンプルで力強い存在として進化させようとしているのです。
実際のM3/M4で見えた“競争力の変化”
ユーザー選好が統合を後押し
コンペティションモデルが標準のMへ統合された背景には、購入者の大多数が上位仕様であるCompetitionを選び続けた現実があります。
結果として「標準Mの存在意義」が曖昧になり、装備と性能を標準側に引き上げて一本化する判断が下されました。
名称を整理しつつ実質的な性能は維持する──この方針により、モデル選びはシンプルで直感的になりました。
標準Mの底上げと体験の変化
現行のM3/M4は標準でも高出力と優れたシャシーを備え、事実上コンペティション級の実力に達しています。
私が所有していたM4 F82では、Competitionで最高出力がわずかに増え、応答性や足まわりの味付けに違いを感じましたが、外観差は最小限でした。
いまはその“差”が標準へ吸収され、上位はCS/CSLが担う構図へ移行。
ユーザーは性能差よりも、用途や体験価値でMを選ぶ時代に入ったと感じます。
まとめ:BMW Mコンペティション廃止は“整理と進化”の象徴
Competitionバッジの廃止は、一見すると伝統を手放すようにも見えますが、実際はMブランドの本質を磨くための決断です。
標準モデルを底上げし、上位のCS/CSLを明確にすることで、ユーザーは直感的に“自分に合うM”を選べるようになります。
私がかつて感じたM4 F82 Competitionの特別感を、今後は感じることはできないのが少し残念です。
BMW Mは今後CS、CSLというグレードの価値を高める戦略をとると思いますが、共に限定車となり一般的には購入できないことが残念に思います。
Reference:motor1.com
よくある質問(FAQ)
Q1. 何が変わったのですか?
BMW Mは「Competition」バッジを廃止し、ラインナップをM/CS/CSLの三段階に整理しました。標準Mは従来のコンペティション相当の性能・装備へと底上げされます。
Q2. なぜCompetitionを廃止したのですか?
上位仕様の需要が高く、構成が複雑化していたためです。選択肢をシンプルにし、標準Mの価値を明確化する狙いがあります。結果として、装備と性能を標準側に統合します。
Q3. 既存のM3/M4オーナーに影響はありますか?
既存車の価値や機能が失われることはありません。今回の変更は今後のライン戦略の見直しで、既販モデルの仕様やサポートに直ちに不利益が生じるものではありません。
Q4. CSとCSLの違いは何ですか?
CSは軽量化や足回り強化を伴うハイパフォーマンス公道仕様、CSLはさらなる軽量化・限定性・サーキット志向を高めた“究極のM”という位置づけです。
Q5. 今後のMモデルの選び方はどう変わりますか?
今後は「M」「CS」「CSL」の三段階が明確に分かれるため、用途に応じて選びやすくなります。日常とスポーツを両立するならM、よりハードな走りを求めるならCS、究極の限定性能を体感したいならCSLが最適です。








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