ニュルブルクリンク近郊のBMW Mテスト拠点で、完全電動のEV版BMW M3「ZA0」が充電テスト中に撮影されました。
ノイエクラッセ採用の専用EVプラットフォームと見られ、短いノーズやワイドなスタンス、冷却系の検証らしき痕跡が確認できます。
さらに新世代「Gen6」円形セルのバッテリーパックを搭載すると報じられ、大容量と軽量化をどう両立するかが焦点です。
本稿では公開写真から読み取れる確かな事実と、最も関心が高い「充電時間は何分か」を最新世代の技術要素から整理します。
- 充電時間を予測：現行BMW EVの性能からZA0の急速充電時間を推定し目安を提示。
- 新世代技術を整理：ノイエクラッセやGen6円形セルなど要素を平易に解説。
- 発売時期の見通し：量産開始の時期・工場の報道をまとめ読者の疑問に回答。
EV版BMW M3 ZA0とは何か
ノイエクラッセがもたらす「電動M」の新骨格
BMW M3 ZA0は、M部門が手掛ける初の完全電動モデルと見られます。
従来のCLAR系ではなく、ノイエクラッセと呼ばれる専用EVアーキテクチャを採用するのが最大の特徴です。
エンジン前提の制約から自由になり、バッテリーとモーターを中心に重量配分とパッケージを最適化できます。
その結果としてフロントノーズは短く、キャビン効率とシャシーバランスの両立が進みます。
ガソリン型M3との違いが生む強み
ガソリン型M3は直列6気筒ターボエンジンと後輪駆動を重視した設計で高く評価されてきました。
一方でZA0は電動化により出力の立ち上がりが鋭く、気温や高度に左右されにくい再現性が得られます。
回生制御とトルク配分の緻密な制御により、街中でもサーキットでも同じ挙動を狙えるのが電動Mのメリットです。
スクープ写真の充電シーンは、まさに電動パワートレインと冷却の本格検証段階に入っていることを示します。
ニュルブルクリンクで撮影された充電テストの詳細
充電シーンが示すEV化の本気度
今回撮影されたEV版BMW M3「ZA0」は、ドイツ・ニュルブルクリンク近郊にあるBMW Mのテストセンター駐車場で発見されました。
今回は充電ケーブルを接続した状態が確認され、実際のエネルギーマネジメントや冷却システムの検証段階に入ったことを示しています。
これまでの走行中心のテストとは異なり、充電・放電を伴う総合的な実走評価が行われていると考えられ、開発がより現実的な量産フェーズに近づいたことが分かります。
Gen6バッテリーとノイエクラッセ構造
撮影されたZA0には、BMWの最新「Gen6」円形セルを採用したバッテリーパックが搭載されていると報じられています。
容量は未公表ですが、参考としてiX3 50 xDriveが108.7kWhのパックを搭載しており、M3の場合は軽量化を優先してやや小容量化する可能性があります。
ノイエクラッセEV専用プラットフォームはバッテリーを床下に配置する構造を採り、低重心化とねじり剛性の向上を実現。
今回のプロトタイプでは、その熱管理や高出力運用時の安定性をテストしていると見られます。
800Vアーキテクチャの採用可能性
さらに注目されるのは、800V級の高電圧システムを採用している可能性です。
BMWは今後のノイエクラッセシリーズ全体にこの構造を導入予定で、M3 ZA0も例外ではないでしょう。
これにより、高出力充電と軽量ケーブル化が可能になり、連続サーキット走行でも安定した性能を維持できます。
ニュルブルクリンクという過酷な環境で充電テストを行うこと自体が、Mブランドの誇る“駆け抜ける歓び”をEV時代にどう再構築するかという挑戦の一端を示しています。
充電時間は何分か？現行BMW EVとの比較から予測
800Vシステムによる急速充電性能
現行のBMW i4 M50は400Vシステムで最大205kWの急速充電に対応し、約31分で80％まで充電できます。
一方、ノイエクラッセ世代では800V化によって充電効率が大幅に改善され、15分前後で約80％まで充電可能と予想されています。
M3 ZA0はデュアルモーターによる高出力を備えるため、より大容量のバッテリーを搭載するものの、冷却効率とエネルギー回収システムの進化によって短時間での充電が可能になると見られます。
iX3やi5との比較で見える新世代性能
BMW iX3 50 xDriveが108.7kWhのバッテリーで最大充電出力210kW、i5 M60が205kWに対応していることから、M3 ZA0では250kWクラスの充電能力を想定しても不自然ではありません。
この場合、10分間で約300km分の走行距離を回復できる計算になります。
さらに、円形セルバッテリーは従来の角形セルに比べてエネルギー密度が20％向上し、充放電の効率も高いため、実用面での利便性は飛躍的に高まるでしょう。
冷却システムと温度管理の進化
高出力充電において重要なのはバッテリーの温度管理です。
BMWはノイエクラッセ世代で、冷却液経路をセル単位に近づけた構造を採用し、充電時の熱負荷を細かく制御しています。
これにより、高速走行や連続ラップ後でも即座に充電が可能となる実用性が確保されます。
つまりM3 ZA0は、単なる高性能EVではなく、“走行と充電の両立”を目指したMブランドの象徴的存在になるのです。
ガソリン型M3（G84）との関係と生産スケジュール
2つのM3が並行開発される理由
EV版M3 ZA0とガソリン型M3 G84は、全く異なるアーキテクチャを持ちながら同時期に開発が進められています。
ZA0はノイエクラッセ専用のEVシャシーを採用し、G84は現行のS58直6ターボを改良した軽度ハイブリッド仕様となる見込みです。
つまりBMWは、M3という象徴的モデルを「内燃の完成形」と「電動化の幕開け」という2つの方向で展開し、移行期の多様な需要に応える戦略を取っているのです。
生産スケジュールと終焉の見通し
報道によれば、現行G80型M3の生産は2027年2月に終了し、ツーリングのG81も同年10月でラインオフするとされています。
一方、EV版M3 ZA0は2027年3月からミュンヘン工場で量産が始まる見通しで、1年半後にはG84がディンゴルフィング工場で生産を開始すると伝えられています。
まとめ：EV版BMW M3 ZA0の充電テストが示す開発の進化段階
今回公開された充電テスト中のBMW M3 ZA0は、ノイエクラッセ世代のEVがいよいよ実用段階に入ったことを示す決定的な証拠でした。
単なるプロトタイプ走行ではなく、エネルギーマネジメントや熱制御を含む実際の運用検証が行われている点が大きな進展です。
800Vアーキテクチャを採用する可能性が高く、15分前後で80％充電という新世代の性能を実現する見込みです。
充電時間という具体的な数値はまだ明かされていませんが、このスクープが示すのは、BMW Mが「EVとしても速く、効率的である」ことを現実のテストで証明し始めたという事実です。
Reference：Instagramより
よくある質問(FAQ)
Q1. 充電時間は何分くらいですか？
公式値は未発表です。ノイエクラッセ世代の高電圧化により、15分前後で約80％までの急速充電が実現する可能性がありますが、最終仕様の公表待ちです。
Q2. バッテリー容量や種類は決まっていますか？
容量は未公表ですが、Gen6の円形セルを使うバッテリーパックを搭載すると報じられています。参考としてiX3 50 xDriveは108.7kWhを搭載します。
Q3. ガソリン型M3（G84）との違いは？
ZA0はEV専用のノイエクラッセ・プラットフォームで、短いノーズなどパッケージングが異なります。G84は直6ベースの内燃モデルで、アーキテクチャとパワートレインが根本的に違います。
Q4. 市販開始時期や生産工場は分かっていますか？
EV版M3 ZA0は2027年3月にミュンヘンで生産開始の見通し、G84は2028年7月にディンゴルフィングという報道があります（正式発表待ち）。
Q5. 現在の開発段階はどこまで進んでいますか？
BMW M3 ZA0は、すでに走行テスト段階を終え、今回のスクープでは充電や熱管理を含むエネルギーマネジメントの検証に入っていることが確認されました。これは量産前の実運用テスト段階と見られ、開発が最終フェーズに近づいていることを示しています。
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