2027年に発売予定のBMW M3 EV「ZA0」は、ニュルブルクリンクでの試験走行によって外観と走りの特徴の輪郭が見えてきました。
カモフラージュ越しでも新世代の「Neue Klasse」デザインや冷却を意識した開口部、低い車高とワイドなスタンスが確認でき、電動化しても“Mらしさ”を強く主張しています。
- ニュルで見えた外観:閉じたグリルやワイドフェンダー、20インチ装着など外観の要点を整理し、量産に近い完成度を読み解きます。
- 4モーター700馬力級:開発車両は1300馬力超も、市販は約700馬力級へ。瞬発力と安定性のバランスを重視した設計です。
- Heart of Joyと素材:統合制御「Heart of Joy」に加え、天然繊維ルーフなど環境配慮技術の導入可能性を簡潔に紹介します。
カモフラージュの下に隠されたNeue Klasseの影響
閉じられたキドニーグリルと冷却設計
フロントは従来の大型キドニーを再解釈した“閉じた”意匠で、EVに最適化されたスムーズな面構成が採用されています。
完全に塞がっているわけではなく、下段の大きな開口や水平スリットから必要な空気を取り込み、モーターやバッテリー、インバーターなどの熱管理を行う設計です。
ニュルの高負荷連続走行を想定すれば、走行状況に応じて開閉するアクティブフラップの採用も極めて合理的です。
Neue Klasse流のシンプル&ワイドな表情
グリルは左右が中央付近で近接する“二分割ワイド”の見え方で、バンパーは意図的にプレーンに仕立てられています。
過度なダクトは見られず、空力と冷却を最小限の開口で両立する“引き算の造形”が特徴です。
写真ではグロス調の面も確認でき、量産時には上級グレードで異なる表面処理が用意される可能性があります。
試験車はM特有のサイドミラーカバーが装着されていないことから、外装部品は今後さらに最終形へ近づく段階にあると見られます。
足回りと走行志向を物語るディテール
20インチ+Pilot Sport 5、ブレーキは大径化
リアには20インチ級ホイールとミシュランPilot Sport 5の組み合わせが装着されている個体が観察されました。
サイドウォールの立ち方やタイヤのショルダー形状からも高グリップ志向が読み取れます。
ブレーキは大径ローターと存在感のあるキャリパーを確認でき、ニュルの長い下り区間での熱ダレを抑える狙いが明確です。
電動M3は回生ブレーキも併用しますが、サーキットでは摩擦ブレーキの容量が最終的な安心感を左右します。
ワイドフェンダーと低重心、ニュル前提のスタンス
前後フェンダーは大きく張り出し、トレッドの拡大とともにタイヤの接地面積を確保しています。
バッテリーを床下に収めるレイアウトにより重心は低く、ロールを抑えたフラットな姿勢でコーナーへ進入する様子が確認できます。
車高は現行M3と比べても低く見え、サイドシル下部のえぐりと相まって視覚的にも安定感が強調されています。
トランクリッドの控えめなスポイラーや仮のテールランプなど、量産直前の最終仕上げに向けた“走り優先”のテスト仕様であることが外観から読み取れます。
リアデザインに隠された秘密
カモフラージュの奥に潜む造形
ニュルブルクリンクで捉えられた試験車両のリアセクションは、厚いカモフラージュによって形状が巧みに隠されています。
特にバンパー下部は意図的に膨らませたカバーが装着されており、量産時のラインやディフューザー形状を推測しにくくしています。
これは開発段階で空力や冷却機能を調整している証拠であり、M3 EVが高性能EVとしての最適解を探っていることを示しています。
トランクリッドスポイラーとテールライト
テールには控えめながらも明確に機能を持たせたトランクリッドスポイラーが備わっています。
これは現行M3(G80)にも通じるデザインで、直線高速域やニュルの長いストレートで安定性を高める狙いがあると考えられます。
また、テールライトは仮仕様のユニットが取り付けられており、点灯パターンや内部構造は量産時に刷新される見込みです。
最近のBMWコンセプトから推測すれば、横一文字のLEDが採用される可能性が高く、夜間の視認性とブランドらしい存在感を両立するでしょう。
EVならではのクリーンな後ろ姿
マフラーエンドが存在しないため、従来のM3と比べて後ろ姿はすっきりとした印象を受けます。
これはEVならではの特徴であり、同時に空力効率や軽量化にも寄与します。
排気系が不要となったことでリアバンパー下部のデザイン自由度が高まり、将来的にはダウンフォースを生む新しい処理が取り入れられるかもしれません。
外観からだけでも、BMWが「EVであってもMのDNAを継承する」という意志を込めていることが伝わってきます。
外観から読み取れる完成度とBMWの狙い

カモフラージュで覆われた姿にもかかわらず、M3 EV「ZA0」の外観はすでに量産に近い完成度を示しています。
低重心のシルエット、大きく張り出したフェンダー、20インチホイールが生む力強いスタンスは、EV化によって失われるのではないかと懸念されていた「Mらしさ」をむしろ強調しています。
フロントからリアまでの一貫した造形は、次世代Mモデルが単なる電動セダンではなく、ブランドの象徴として仕上げられていることを示しています。
BMWはEV時代においても走りとデザインの両立を妥協しない姿勢を外観に込めており、その狙いはニュルブルクリンクのテスト車両からも明確に伝わってきます。
技術と未来:BMW M3 EV ZA0の進化ポイント
4モーターによる圧倒的なパワー

次期BMW M3 EV「ZA0」には、M専用に開発された4モーター駆動システムが搭載される予定です。
開発車両では1300馬力超を発揮した事例もありますが、市販仕様はおよそ700馬力に調整されると予測されています。
これは現行ガソリン版M3の最高出力(約510馬力)を大きく上回り、電動化によってさらなる加速性能を獲得することを意味します。
ニュルブルクリンクでのテストでは、鋭い加速と正確なライン取りが確認されており、航続距離よりも「速さ」に軸を置いた開発方針が感じられます。
「Heart of Joy」が可能にする統合制御

BMWは次世代Mモデルのために「Heart of Joy」と呼ばれる新しい制御モジュールを開発しています。
これはモーターの駆動力配分、ABS、トラクションコントロール、ステアリングアシストをすべて統合的に制御するシステムです。
従来は複数のコンピューターが担当していた領域を一括管理することで、レスポンスが大幅に向上し、路面状況に応じた最適な制御が可能になります。
特にニュルブルクリンクのような複雑なコースでは、急激な荷重移動や高速からのブレーキングが頻発しますが、このシステムにより安定感を保ちつつも鋭い走りが実現できるのです。
サステナブル素材で未来を見据える

BMWはMモデルの電動化に伴い、素材面でも環境への配慮を進めています。
その一例が、炭素繊維ルーフの代わりに天然繊維であるフラックス素材を用いたルーフパネルです。
M4での事例では、この切り替えにより製造過程でのCO₂排出量を40%削減することに成功しました。
M3 EVにも同様の技術が導入される可能性が高く、単なる高性能EVという枠を超えて、持続可能なモビリティの象徴へと進化していく狙いが伺えます。
BMWは「速さ」と「環境性能」を両立させることで、Mブランドを次世代へ継承しようとしているのです。
まとめ:BMW M3 EV ZA0の完成度とニュルブルクリンク試験走行からの期待
ニュルブルクリンクでのテスト走行から明らかになったのは、BMW M3 EV「ZA0」がすでに高い完成度に達しているという事実です。
閉じられたキドニーグリルやワイドなフェンダーが生む力強い外観は、電動化しても“Mらしさ”を失わないことを示しています。
さらに、4モーターによる700馬力級の出力と「Heart of Joy」による統合制御は、従来のM3を超える新しい走りの世界を予感させます。
サステナブル素材の採用は、性能と環境意識の両立という次世代Mの方向性を象徴しています。
2027年の正式発表を前に、ニュルブルクリンクでの試験走行は、BMWが「EVでも最速のM」を目指す強い意志を裏付けるものとなりました。
EV化が進む時代において、M3 EV ZA0はブランドの象徴として新たな伝説を築く存在になるでしょう。
Reference:carbuzz.com
よくある質問(FAQ)
Q1. 発売時期はいつですか?
BMW M3 EV「ZA0」は2027年の登場が想定されています。ニュルブルクリンクでの試験走行から、量産仕様に近い外観へ急速に仕上がっていることが確認できます。
Q2. 出力やモーター構成はどうなりますか?
量産仕様は約700馬力級の出力を想定し、4モーターAWDが計画されています。開発車両では1300馬力超の事例も示されましたが、市販では扱いやすさを優先した調整になる見込みです。
Q3. ニュル走行から分かった外観のポイントは?
閉じられたキドニーグリルと大開口の下部インテーク、20インチ+ハイグリップタイヤ、張り出したフェンダー、控えめなトランクリッドスポイラーなどが観察されました。リアは厚いカモフラージュで最終形を秘匿しています。
Q4. ガソリン版M3は並行して登場しますか?
はい。次期ガソリンM3「G84」も用意される見込みです。直6の別系統ユニット(マイルドハイブリッド化)を採用し、xDrive+ATの組み合わせが予想されています(登場時期は2028年頃)。
Q5. サステナブル素材は採用されますか?
天然繊維(フラックス)ルーフの導入可能性があります。M4では炭素繊維からの切替えで製造時CO₂を約40%削減した事例があり、ZA0にも波及することが期待されます。
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