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BMW S58エンジンがユーロ7規制をクリア:M3に直列6気筒エンジンが継続確定

BMW S58エンジンがユーロ7規制をクリア:M3に直列6気筒エンジンが継続確定 BMW
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2026年から適用される欧州の排出ガス規制「ユーロ7」。

この新たな環境基準によって、多くの自動車メーカーがエンジンの小型化や電動化を進める中、BMWは意外ともいえる決断をしました。

それは、現行M3やM4に搭載されている「S58型」直列6気筒エンジンを継続するというものです。

規制強化に対応しながらも、性能を落とさずにエンジンを存続させる。

その背景には、BMWの技術力とブランド哲学がありました。

本記事では、S58エンジンがユーロ7にどう対応したのか、なぜ直6を維持できたのかを詳しく解説します。

  1. S58は継続使用決定:BMWはM3・M4に搭載中のS58直列6気筒エンジンを、ユーロ7規制下でも継続使用します。
  2. ユーロ7を技術で突破:冷却と燃焼の改良で排ガス規制をクリア。性能を維持したまま環境対応に成功しました。
  3. 直6を守るブランド哲学:4気筒化せず伝統を守ったBMW Mの判断は、ファンにとって朗報となるものでした。

ユーロ7規制とは何か?

ユーロ6からの変更点と技術的ハードル

ユーロ7は、EUが導入する最新の排出ガス規制で、2026年後半から新型車に適用される予定です。

前身であるユーロ6eと比べて、排出限度値自体は大きく変わっていませんが、その適用範囲と検査条件が大きく強化されています。

これまでよりも現実的な運転状況、たとえばエンジン始動直後の低温時や、渋滞の多い都市部のストップ&ゴー走行、高速道路での巡航など、より多様な場面でクリーン性能を維持することが求められます。

さらに、ユーロ7では「耐用期間」も延長されます。

これまでの規制ではおおむね8万km程度までの性能維持が求められていましたが、ユーロ7では16万kmまたは10年間に拡大される予定です。

これにより、エンジン本体や排気浄化システムの耐久性、長期的な性能安定性がより厳しく問われることになります。

Lambda 1と燃焼制御の制限

ユーロ7でもうひとつ重要なのが、排気ガス中の空燃比制御に関する制限、いわゆる「Lambda 1」制約です。

Lambda 1とは、理想的な空燃比(空気と燃料の混合比)を示す値で、この範囲で燃焼を維持しなければならないという制約が導入されました。

これにより、従来のように高負荷時に燃料を多めに噴射してシリンダー温度を抑える手法は使えなくなります。

つまり、エンジンを冷却するための「余分な燃料噴射」が許されなくなったのです。

この規制は、とくに高性能エンジンにとって大きな課題です。

なぜなら、高回転域での出力を維持するには熱の管理が不可欠であり、それを燃料に頼らずに実現しなければならないからです。

次章では、そうした中でBMWがS58エンジンにどのような技術的工夫を施したのかをご紹介します。

BMW S58エンジンとは何か?

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Mモデル専用の高性能直列6気筒エンジン

S58エンジンは、BMWのモータースポーツ部門「M社」が開発した高性能直列6気筒エンジンです。

2019年に発売された「G80型M3」や「G82型M4」に初めて搭載され、現行のX3 M、X4 Mなどにも使用されています。

排気量は2,993ccで、ツインターボチャージャーにより高出力・高トルクを実現しています。

標準仕様で最大出力は480ps、コンペティション仕様では510psに達します。

このS58は、一般向けのB58エンジンをベースにしながらも、シリンダーブロックや吸排気系、冷却系統、ターボ配置などが大幅に強化されています。

高回転域でのレスポンスや冷却性能、耐久性に優れており、サーキット走行やハードな加速でも安定した性能を発揮します。

また、S58はEURO6規制下でもすでに厳しい基準をクリアしており、従来から環境性能と出力性能の両立を意識して開発されていました。

Mモデルの中心を担うこのエンジンは、BMWにとって単なるパワーユニットではなく、ブランドの象徴といえる存在です。

S58がユーロ7をクリアするための技術的工夫

冷却と燃焼の根本的な見直し

ユーロ7で課題となるのは、Lambda 1制約による熱管理の難しさです。

従来は高負荷時に燃料を多めに噴射することでシリンダー内の温度を抑制していましたが、ユーロ7ではこれが禁止されました。

そこでBMWは、燃焼プロセス自体の見直しに着手しました。

エンジン内部の冷却経路を最適化し、燃焼温度のピークを抑えることで、余分な燃料噴射に頼らずに温度上昇を制御できるようにしたのです。

さらに、インタークーラーの改良や排気系の断熱処理などにより、効率的な熱処理とガス浄化を両立。

これにより、触媒コンバーターが早期に最適温度に達するよう調整され、コールドスタート時の排出ガスも大幅に低減されました。

BMW MのCEOであるフランク・ヴァン・ミール氏は、

「性能を犠牲にせずにユーロ7をクリアするのが目標だった」

と述べています。

事実、M3やM4の新型にもS58が継続して採用されることが判明しており、これは同エンジンが高い環境適応性を備えつつ、本来のMらしい走行性能を失っていないことを意味します。

なぜM3は直列6気筒を継続できたのか?

BMW M3 G84がハイブリッド化する3つの理由とは?
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小排気量化や4気筒化を避けたBMWの哲学

BMWがM3に直列6気筒エンジンを継続した理由は、単なる技術的な対応力だけではありません。

それは、Mモデルに求められる「ドライビングプレジャー」を守るというブランドの哲学にあります。

フランク・ヴァン・ミールCEOは、

「M5に4気筒を載せることなど考えられない」

と明言しており、排気音やレスポンス、回転フィールなど、感性に訴える要素を大切にしていることがうかがえます。

実際に他社では、メルセデスAMGがC63をV8から4気筒ハイブリッドに変更し、賛否を呼んでいます。

対してBMWは、歴史あるエンジン形式を維持しながら、環境規制にも対応するという「両立の道」を選びました。

これは単に技術力の証明にとどまらず、ファンとの約束を守る姿勢でもあります。

ハイブリッド化と伝統の両立へ

S58エンジンがユーロ7をクリアしたという事実は、BMWが今後も内燃エンジンを大切にしながら電動化と共存していく方針を示しています。

すでに次期M3には軽度のハイブリッドシステム(48V)を組み合わせた改良型S58が搭載される可能性が高いと報じられており、効率と性能のさらなる向上が期待されています。

BMW Mにとって、エンジンは単なる部品ではなく、ブランドの魂そのものです。

S58の継続は、多くのBMWファンにとって朗報であり、今後も「駆けぬける歓び」が失われないことを示しています。

新時代のM3が、環境と走りの両立をどう進化させるのか、その姿に期待が高まります。

Reference:thedrive.com

よくある質問(FAQ)

Q1. S58エンジンとはどのようなエンジンですか?

S58エンジンはBMW M社が開発した3.0L直列6気筒ツインターボエンジンで、M3やM4などに搭載されている高性能ユニットです。

Q2. ユーロ7規制の何が厳しいのですか?

ユーロ7は排出量の数値よりも、コールドスタートや都市走行など実際の使用状況下での排出性能を厳しく評価する点が特徴です。

Q3. なぜBMWは直列6気筒を維持できたのですか?

BMWは冷却・燃焼技術を見直し、燃料による冷却に頼らず熱管理することでユーロ7に適合させました。

Q4. 他メーカーはなぜ4気筒化しているのですか?

排ガス規制対応と電動化への移行を見据え、多くのメーカーが小型・低燃費なエンジンを選ぶ傾向にあるためです。

Q5. 次期M3も直列6気筒エンジンになりますか?

現時点では継続が予定されており、S58エンジンの改良型にマイルドハイブリッドが組み合わさる可能性が高いと報じられています。

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