BMW M2といえば、Mモデルの中でも手頃なサイズ感と走行性能の高さで人気を集めているモデルです。
中でも現行型のG87型M2は、後輪駆動を貫き、6速MTの設定も残ることで、多くのエンスージアストに支持されています。
そんな中、BMW MがついにM2へxDrive(四輪駆動)モデルを投入する可能性が高まっています。
実際にBMWの開発部門責任者であるディルク・ヘッカー氏が、xDriveモデルの登場に前向きなコメントを出したことで、M2ファンの間では大きな話題となっています。
ただし、通常であればxDriveモデルは「より高出力」「より速い加速性能」を兼ね備えた“ハイスペック版”として登場するのが通例ですが、今回のM2 xDriveにはちょっとした異変が見られます。
本記事では、BMW M2 xDrive G87が「本当にハイスペックなのか?」という点について、従来のM2との比較や、参照情報をもとに深掘りしていきます。
- 出力はダウン傾向:無印M2より馬力はわずかに低くなる見込み
- AWDで加速力向上:xDriveにより0-100km/hは約3.5秒以下に
- スペック以上の実用性:雨天や街乗りでも扱いやすく高性能
M2 xDrive G87の馬力はダウン?

開発中のBMW M2 xDrive G87のエンジン出力は「469hp」になるとされています。
この数値は、現行のM2 G87(後輪駆動・AT仕様)の「473hp」と比較して、わずかに低くなる結果です。
これまでのBMW Mシリーズでは、xDrive化に伴い出力を高める傾向が一般的でした。
たとえばM3やM4のxDriveモデルは、後輪駆動版よりも高出力・高トルク化されるケースが多く、事実上の“上位版”という位置づけでした。
それだけに、今回のM2 xDriveの出力が無印M2よりも低いという報道は、多くのファンにとって意外だったのではないでしょうか。
加えて、M2 CSのような「523hp」を誇る特別仕様も存在する中、xDriveモデルがなぜ出力を抑えて登場するのかという点は、非常に興味深いテーマです。
なお、トルクに関しては明言されていないものの、現行AT仕様のM2と同様に「600Nm」が維持される可能性が高いと見られています。
通常なら「xDrive=馬力アップ」のはず
BMWのMモデルにおいて、xDrive(四輪駆動)が採用される際には、出力面での強化がなされるのが通例です。
例えばM3やM4のxDrive仕様では、エンジン出力が向上し、直線加速性能がRWDモデルを上回るように設計されてきました。
これは、AWDによりトラクション性能が大幅に向上するため、高出力のパワーを無駄なく路面に伝えることができるからです。
逆に、RWDのままであればホイールスピンや制御の難しさが生じるため、エンジン出力は抑え気味に設定される傾向があります。
また、M240iやM850iなどのMパフォーマンスモデルでも、AWD仕様においては最大出力や加速性能が強化される傾向が見られます。
そのため、今回のM2 xDriveが「馬力をあえて下げてきた」という点は、明らかに従来のxDriveモデルとは異なるアプローチと言えるでしょう。
BMWがxDrive M2で狙う“別のハイスペック”
では、なぜBMWはM2 xDriveにおいて馬力を上げることなく、むしろ抑えたチューニングを選んだのでしょうか。
その理由の一つは、数値上の出力よりも「実走性能」や「日常での扱いやすさ」に重きを置いた開発方針にあると考えられます。
xDrive化によってM2は四輪すべてで路面を掴むことができるため、加速時のタイヤの空転が抑えられ、安定した発進と加速が可能になります。
実際に0-100km/h加速タイムでは、RWDモデルよりも速くなると見られており、3.5秒を切る可能性も指摘されています。
このように、カタログスペック上の数値は控えめであっても、実際のドライバビリティにおいてはxDriveモデルの方が“高性能”と感じる場面は多いはずです。
特に雨天時や雪道、高速道路の合流など、現実的な使用環境においてxDriveの恩恵は非常に大きいといえます。
BMWがこのモデルで示したのは、「スペック表に現れない性能」こそが真の価値である、という新たなハイスペック像なのかもしれません。
スペックよりも「乗り味」を優先?BMWの開発思想
BMW M部門の開発責任者ディルク・ヘッカー氏は、ル・マン24時間レースの現地取材において、M2 xDriveの可能性について
「最終決定ではないが、開発の余地はある」
とコメントしています。
この発言から読み取れるのは、BMWがスペック競争だけに固執していないという姿勢です。
M2 xDriveにおいても、単純なカタログ上の数値ではなく、ユーザーが実際に感じる走行フィールや使いやすさを重視していることがうかがえます。
たとえば、パワーを抑えることで車両バランスを最適化し、四輪駆動でも軽快なステアフィールを維持するなど、トータルでの操縦性を高めている可能性もあります。
また、AWD車でありがちな「前が重くなる」という特性を抑えるために、馬力を控えめにすることで、前後の重量バランスを整えたという見方もできます。
これはあくまで仮説ではありますが、BMWが一貫して「究極のドライビングマシン」を掲げてきた姿勢と合致するものです。
こうした開発思想は、エンスージアストだけでなく、一般ユーザーにとっても日々のドライブが心地よいものになるという恩恵をもたらすでしょう。
M2のラインナップ戦略:xDriveは万能型モデル?
現行のM2 G87には、6速MTと8速AT、そして後輪駆動というシンプルで純粋な構成が用意されています。
一方でxDriveモデルが追加されれば、ラインナップに「万能型」が加わることになります。
たとえば、雪道や雨天などの悪天候においても高い安定性を誇るxDriveモデルは、通勤や週末のドライブといった日常ユースにも適しており、M2をより幅広いユーザー層に届けるための戦略的なモデルと位置づけることができます。
また、xDrive仕様はMTではなくAT専用となる見込みであるため、クラッチ操作を必要としない点も、運転に自信のない人や街乗り中心のユーザーにとっては魅力的です。
RWDの「ピュアスポーツ志向」と、AWDの「実用重視パフォーマンス」。
BMWはこの二つを両立させることで、M2シリーズ全体の魅力を最大化しようとしているのかもしれません。
まとめ:M2 xDrive G87は「数値以上の価値」を持つ1台か
BMW M2 xDrive G87は、エンジン出力の面では現行のM2(473hp)に対してわずかに劣る469hpという数値が報じられており、カタログスペックだけを見れば“ハイスペックモデル”とは言い難い印象を受けます。
しかし、AWD化による加速性能の向上や、日常のあらゆる路面状況に対応できる走行安定性の高さを考慮すれば、M2 xDriveは従来の価値観とは異なる“新しい高性能モデル”として捉えることができます。
BMWは単なる数値の競争ではなく、「使いやすさ」や「扱いやすさ」も含めた総合的なパフォーマンスでM2を再定義しようとしているのかもしれません。
出力を抑えたことには必ず理由があり、それはドライバーの実体験においてこそ真価を発揮するものです。
M2 xDrive G87は、スペックシートを超えた魅力を備えたモデルとして、多くのドライバーに新たな選択肢を提供する存在になるでしょう。
Reference:bmwblog.com
よくある質問(FAQ)
Q1. BMW M2 xDrive G87の馬力はどれくらいですか?
報道によると、M2 xDrive G87の最高出力は469馬力とされており、現行M2(473馬力)よりわずかに低くなります。
Q2. M2 xDrive G87にマニュアルトランスミッションはありますか?
現在のところ、M2 xDriveには8速ATのみが用意される見通しで、MTの設定は予定されていません。
Q3. 0-100km/h加速はどのくらいですか?
xDriveによりトラクション性能が向上し、0-100km/h加速は約3.5秒以下と予測されています。
Q4. M2 xDriveは現行M2より高性能といえるのでしょうか?
出力数値では劣りますが、AWD化により実用的な加速性能や安定性は向上しており、実効性能では優れる面もあります。
Q5. M2 xDriveはいつ発売されますか?
BMWからの正式発表はまだありませんが、2026年8月以降に生産開始との情報があります。
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