BMWファンや走りを重視する車好きの間で今、大きな話題となっているのが「M2 CS G87がM4 CSL G82より速いのではないか?」という情報です。
どちらもBMWの高性能モデルとして注目されていますが、M2は本来“弟分”にあたる存在。
なぜ上位モデルのM4を超える走りができたのか?
この記事では、その理由をスペック、重量、走行特性、開発思想など多角的にわかりやすく解説します。
- M2 CSの軽さが武器:小型・軽量な車体がコーナリング性能を向上させます。
- M4 CSL超えの可能性:開発者の発言から、M4 CSL並みの速さが期待されます。
- バランス重視の設計思想:M2 CSは数値よりも“走りの質”で勝負しています。
M2 CS G87とM4 CSL G82の立ち位置と基本スペック
M2 CSとM4 CSLの概要

M2 CS G87は、BMWが2025年に発表した高性能クーペで、同社のコンパクトスポーツ部門の頂点に位置するモデルです。
ベースとなる標準のM2(G87)よりも出力や足回りの性能が強化され、サーキットでのパフォーマンスに重きを置いた設計となっています。

一方、M4 CSL G82は2022年に登場した上位モデルで、より大型かつ高出力なマシンとして、BMW Mシリーズの中でも“特別枠”にあたる存在です。
エンジン出力と車両重量の比較
両車に搭載されているのは、いずれもBMWの名機とされる3.0リッター直列6気筒ツインターボエンジン(S58型)です。
M2 CS G87は最高出力523馬力、最大トルク479lb-ft(約650Nm)を発生し、これはM4 Competitionと同等の出力です。
一方、M4 CSL G82は543馬力・479lb-ftと、数値上はM2 CSを上回ります。
しかし注目すべきは重量差です。
M2 CSはコンパクトな車体ゆえに軽量で、M4 CSLよりも約100kgほど軽く仕上がっています。
ミッションや駆動方式の違い
M2 CS G87は、8速トルコン式AT(ステップトロニック)を採用し、駆動方式は後輪駆動(FR)のみです。
マニュアルトランスミッションの設定はありません。
一方、M4 CSLも同様に8速ATを採用していますが、重量配分や前後の駆動トルク配分はM4特有の設計思想に基づいており、高速域での安定性に強みがあります。
M2 CSはよりコンパクトなボディと軽快な動きにより、サーキットにおける機動力でアドバンテージを持っています。
スペック比較表
項目 | M2 CS G87 | M4 CSL G82 |
---|---|---|
発売年 | 2025年 | 2022年 |
エンジン | 3.0L 直列6気筒ツインターボ(S58) | 3.0L 直列6気筒ツインターボ(S58) |
最高出力 | 523馬力 | 543馬力 |
最大トルク | 650Nm(479lb-ft) | 650Nm(479lb-ft) |
駆動方式 | 後輪駆動(RWD) | 後輪駆動(RWD) |
トランスミッション | 8速AT(ステップトロニック) | 8速AT(ステップトロニック) |
車両重量 | 約1,680kg | 約1,590kg |
価格(北米) | $98,000 | $140,895 |
ニュルブルクリンクとは何か?タイムが注目される理由
世界屈指の過酷なサーキット「グリーン・ヘル」
ニュルブルクリンクはドイツに位置する全長20.8kmのサーキットで、「グリーン・ヘル(緑の地獄)」という異名を持つほど、世界でも有数の難易度を誇ります。
カーブは170以上あり、路面のうねりや標高差も大きく、マシンの総合性能とドライバーの腕が問われるコースです。
そのため、多くの自動車メーカーがここで車両開発やタイムアタックを行い、その結果が性能の証明として使われています。
タイムが性能評価の“証明”となる理由
ニュルブルクリンクでのラップタイムは、単なる「速さの指標」ではありません。
コーナリング性能、加速力、ブレーキングの安定性、そしてシャシーバランスや冷却性能など、車のあらゆる性能を総合的に反映する実践テストでもあります。
そのため、ここでのタイムが速ければ、単なるスペック値では表せない“走る性能”の高さが裏付けられるのです。
BMWモデルの参考タイム
たとえば、標準のM2(G87)は約7分38秒、M4 CSは7分21.98秒、M4 CSLは7分18.13秒という記録を持っています。
こうした公称タイムはメーカーの公式データであり、M2 CSがどの位置に食い込むかが注目されているのです。
M2 CS G87が速いとされる理由

軽量でコンパクトなボディがもたらすアドバンテージ
M2 CS G87の大きな強みは、M4 CSL G82に比べて車体がひとまわりコンパクトで軽いという点です。
ボディサイズが小さいことにより、コーナリング時の旋回性能や切り返しの俊敏性が格段に高まります。
また、最小回転半径が小さいことでテクニカルな区間でもライン取りがしやすく、車体の動きに対するドライバーの入力がよりダイレクトに伝わる傾向があります。
バランスに優れたパッケージング設計
BMWはM2 CS G87において「ドライバーとマシンの一体感」を追求した設計を採用しています。
フロント・リアの重量配分はほぼ50:50と理想的で、過度なオーバーステアやアンダーステアを抑制します。
これにより、車両の挙動が予測しやすく、攻めた走りでも安定感を失いにくい構造となっています。
サスペンションとブレーキのチューニング
足回りには最新世代のアダプティブMサスペンションが採用されており、路面状況に応じて瞬時に減衰力を調整します。
これにより、ストレートではしっかりとした接地感を保ち、コーナーでは路面追従性を高めて最大限のグリップを確保します。
また、Mカーボンセラミックブレーキ(オプション)によって制動性能も強化され、ニュルブルクリンクのようなハードな環境でも熱ダレを抑えつつ安定した制動力を発揮します。
最適化された電子制御システム
トラクションコントロールやMダイナミックモードなど、BMWの高度な電子制御が活かされている点も見逃せません。
M2 CSはドライビングアシスト機能を最小限にとどめつつも、限界走行時に必要な制御はしっかりと介入するバランスが取られています。
これにより、攻めた走行をしても唐突なスピンや制御不能に陥るリスクを軽減し、安全かつ速く走れるパッケージが完成しています。
エンジンスペック以上の「体感的速さ」
M4 CSLの方が数値上のパワーでは上回っていますが、M2 CSはそのパワーを効率良く路面に伝えられる設計となっている点が重要です。
車体の軽さとパワーのバランスが最適化されており、加速時やコーナー立ち上がりのレスポンスではM4よりも優れていると評価されています。
この「無駄のない速さ」こそが、ニュルブルクリンクのような複雑なコースでタイムに表れやすい要因なのです。
BMW開発責任者のコメントと裏付け
開発責任者が語る「M2 CSはM4に近い」発言の真意
BMWのM部門で開発を統括するDirk Häcker(ディルク・ハッカー)氏は、2025年のル・マン24時間レース会場で行われたインタビューの中で、M2 CSのニュルブルクリンクでのパフォーマンスについて以下のように語っています。
「M2 CSのタイムはM4 CSやM4 CSLに非常に近い。標準のM2とはまったく別物だ」
と述べたのです。
実際のラップタイム比較に見る実力
現在、M4 CSLの公式ラップタイムは7分18.13秒、M4 CSは7分21.98秒です。
一方、標準のM2(G87)は7分38秒台とされており、M2 CSがそれより大きく短縮されることは確実視されています。
BMWはM2 CSの正確なタイムをまだ公表していませんが、開発責任者のコメントからも「M4 CSLに迫るタイム」であることは間違いないと見られています。
BMWが狙った“下剋上”のパフォーマンス
本来、M2はエントリーモデルという位置づけですが、BMWはあえてその小さな車体に最大限のパフォーマンスを詰め込み、上位車種のM4すら驚かせる仕上がりにしたという見方もできます。
これは単なるモデル展開ではなく、BMWが「走りの本質」を突き詰める哲学を具現化した結果だと言えるでしょう。
なぜM4 CSLよりもM2 CSが“体感的に”速く感じるのか
ドライバーとの一体感を重視した設計
M2 CSは、パワーや車格だけでなく「体感的な速さ」にこだわって開発されています。
ボディサイズが小さく、ホイールベースも短いため、コーナー進入や立ち上がりでの車の挙動が素直です。
加えて、シート位置やステアリングの反応もダイレクトで、ドライバーがマシンの状態を常に“感じながら”操作できます。
これはM4 CSLにはない「軽快さ」として、多くのテストドライバーからも高評価を得ています。
シンプルな駆動方式が生むレスポンス
M2 CSはあえて四輪駆動(xDrive)を採用せず、後輪駆動(RWD)に絞ったことで、トラクションの調整や車両の挙動変化をより直感的に扱えます。
四輪駆動は直線加速には有利ですが、複雑なコースでは逆に重さや制御遅延がデメリットになり得ます。
M2 CSはその点で、車両の動きが機械的にダイレクトに伝わり、コーナーが連続するニュルブルクリンクで有利な傾向があります。
乗り味の“感覚”がもたらす心理的優位
数値ではなく「走らせた感覚」での速さも重要です。
M2 CSはレスポンスに優れ、サウンドや操作フィードバックも直感的です。
こうした「気持ちよさ」がドライバーの集中力を高め、結果としてラップタイムにも良い影響を与えます。
数値では見えない部分で、M2 CSはM4 CSLを上回る“楽しさと速さ”を提供しているのです。
なぜM2 CS G87はM4 CSL G82よりニュルで速いのか
タイムに現れた“効率性と軽快性”の勝利
M2 CS G87がM4 CSL G82よりもニュルブルクリンクで速い、あるいは同等のタイムを記録する理由は明確です。
それは単なる出力の差ではなく、車両全体の「効率性」と「バランス設計」によるものです。
M2 CSはよりコンパクトな車体と軽量ボディ、俊敏な応答性を持ち、テクニカルなコースであるニュルブルクリンクにおいてはこの点が大きなアドバンテージとなります。
過剰なパワーより、最適化されたパッケージがカギ
M4 CSLはスペック上は上位モデルでありながら、全体的に大柄で、コーナリングでの素早い切り返しではM2 CSに一歩譲る面があります。
また、M2 CSのシャシー設定やブレーキ性能、電子制御システムの調整が最適化されており、結果として「より扱いやすく速い」マシンに仕上がっているのです。
コンパクトMモデルの逆襲が始まる
このタイム差は、BMWの開発思想が「パワー一辺倒ではなく、トータルバランスを追求した結果」であることを示しています。
小さくても速く、精密に走れるM2 CSは、BMWの未来を象徴する存在と言えるでしょう。
Reference:carbuzz.com
よくある質問(FAQ)
Q1. M2 CS G87とM2(標準モデル)はどう違うの?
M2 CSは出力・足回り・ブレーキなどが強化され、よりサーキット向けに特化しています。
Q2. M2 CS G87はM4 CSL G82より本当に速いのですか?
開発者コメントと設計思想から、ニュルでは同等もしくは上回る可能性があるとされています。
Q3. なぜM2 CSはパワーが劣るのに速いのですか?
軽量な車体と優れたバランス設計により、パワー以上の走行性能を発揮しているためです。
Q4. M2 CSは一般道でも扱いやすいですか?
高性能モデルながらも扱いやすいセッティングで、日常走行でも快適です。
Q5. M2 CSLは将来的に登場する可能性がありますか?
一部で開発の噂があり、将来的に市販化される可能性があります。
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