BMWのフラッグシップセダンである7シリーズが、2027年モデルに向けてフェイスリフト(LCI)を受けることが確認されました。複数のスパイショットやリーク情報から、新型モデルの外装・内装デザイン、そして技術面での進化が明らかになってきています。
今回のLCIによって、7シリーズはさらなるラグジュアリー性と先進性を追求し、メルセデス・ベンツSクラスやアウディA8といった競合との違いを一層強めていく狙いがあります。
- Neue Klasseデザインを採用:フロントとリアの外装に次世代デザインを導入し、印象が一新されます。
- iDrive Xとパノラミックビジョン:大型スクリーンと投影型表示で操作性がより直感的に。
- 内燃+電動化を両立:現行エンジン継続とi7のEV強化。アルピナのEVも計画中です。
2027年型BMW 7シリーズLCIモデルとは

BMWが定期的に行うモデルの中期改良、通称「LCI(ライフサイクル・インパルス)」は、デザインや装備を見直すことで商品力を高める施策です。今回スクープされた2027年型のBMW 7シリーズLCIモデルは、開発コード「G70」で知られる現行7シリーズのフェイスリフト版にあたります。
このLCIモデルは、正式なフルモデルチェンジではなく、マイナーチェンジとして2026年7月からの生産開始が見込まれています。したがって、販売は2026年末から2027年初頭にかけて開始される可能性が高いと考えられます。
対象となるモデルラインアップには、ガソリンエンジンを搭載する「740i」や、プラグインハイブリッド仕様の「750e」、そしてフル電動モデルである「i7」シリーズが含まれる見込みです。とくにi7は、BMWが注力する電動化戦略の象徴として、今後の技術革新を反映した装備や機能が搭載されることが期待されています。
外装デザインの進化ポイント
2027年型BMW 7シリーズLCIモデルの最大の特徴は、外装デザインにNeue Klasse(ノイエ・クラッセ)コンセプトの要素を取り入れている点です。
Neue KlasseはBMWが次世代EVラインに向けて掲げる新しいデザイン哲学であり、クリーンかつ未来的なルックスが特徴です。今回の7シリーズでは、このデザイン言語がフロントマスクに部分的に採用されています。
とくに注目されるのは、スプリットヘッドライトの構成です。先代でも採用されていたこの構造は、上部のデイタイムランニングライト(DRL)と下部のメインヘッドランプに分離された形状で、今回のLCIではそのデザインがより洗練されています。
テスト車両では仮設ライトが使用されている可能性があるものの、最終モデルでもこの形式が継続されると見られます。
また、BMWの象徴でもあるキドニーグリルについても軽微な改良が施されています。グリル自体の大型化は見られないものの、縦方向の立体感が強調されており、より堂々とした印象を与えるデザインへと進化しています。
リアデザインでは、フル幅のテールライトバーが採用される兆しがあります。テスト車両のカモフラージュからも、その形状が左右に大きく広がる可能性が示唆されており、夜間の視認性とブランド認識性を向上させる狙いがあります。
一方で、車体側面に関しては目立った変更が加えられていない点も興味深いポイントです。これは、空力性能の維持やコスト効率を重視しつつ、LCIによる改良の焦点をフロントおよびリアに絞った戦略と考えられます。結果として、既存のシルエットを活かしつつも、新しさを感じさせる巧妙なデザインバランスが実現されています。
内装とテクノロジーの刷新

今回のLCIで最も革新的な進化を遂げているのがインテリアです。特に注目すべきは、新たに採用される次世代インフォテインメントシステム「iDrive X」です。中央には大型の17.9インチタッチスクリーンが配置され、従来の物理ボタンを極力排除したミニマルなデザインが印象的です。
さらに、BMWが「パノラミックビジョン」と呼ぶ新しい情報投影技術も導入されます。これはフロントガラス下部に投影されるディスプレイで、9つのタイルで構成されています。ドライバーの視界内には3つの固定表示タイルが設置され、速度やナビゲーションなど基本情報を提供。さらに右側には6つのカスタマイズ可能なタイルがあり、好みに応じて情報を柔軟に配置できます。
このシステムの導入により、従来のデジタルメータークラスターは廃止される可能性が高いです。つまり、メーターの物理的な存在が減り、情報表示はすべてウィンドウ下部に集約されることで、より直感的で没入感のある運転体験が実現されます。
このようなUX(ユーザーエクスペリエンス)の進化は、BMWが目指す「感覚的に操作できる車内空間」の象徴ともいえます。未来的でありながら、ドライバーの意図を自然に汲み取る設計は、高級車としての価値を大きく引き上げる要素になるでしょう。
パワートレインと電動化の展望
2027年型BMW 7シリーズLCIモデルでは、既存のエンジンラインアップが継続される見通しです。具体的には、直列6気筒ガソリンエンジン「B58」、ディーゼル仕様の「B57」、そしてV型8気筒ツインターボの「S68」などが主力として搭載されると予想されます。これらのエンジンはいずれも比較的新しい世代であり、今後導入が予定されているEuro7排出ガス規制にも対応可能なポテンシャルを有しています。
加えて、燃費効率と環境性能を両立させるために、48Vマイルドハイブリッドシステムの標準搭載が見込まれており、一部モデルではプラグインハイブリッド(PHEV)仕様の拡充も予想されています。これにより、都市部でのゼロエミッション走行と長距離ドライブの両立が可能となります。
電動化を象徴するi7シリーズについても、技術進化が期待されています。BMWは現在、全固体電池(SSB: Solid-State Battery)の研究開発を進めており、2027年以降の投入を視野に入れています。ただし、今回のLCIモデルでSSBが採用される可能性は低く、従来のリチウムイオンバッテリーが継続されると考えられます。
さらに注目すべきは、ALPINAによるi7ベースのEVモデルの開発計画です。これまで内燃機関中心だったALPINAブランドも、規制対応の必要性から電動化へとシフトしており、7シリーズLCIの派生として初のフルエレクトリックALPINAが登場する可能性が高まっています。これは高級EV市場における新たな差別化要素となるでしょう。
注目点まとめと今後の展望
2027年型BMW 7シリーズのLCIは、単なるデザイン変更ではなく、ブランド戦略の転換点とも言える存在です。BMWが追求する「持続可能なプレミアムモビリティ」を具現化しつつ、従来の7シリーズが持つ威厳と高級感を損なうことなく進化を遂げています。
Neue Klasse風の外装デザイン、パノラミックビジョンによる革新的インターフェース、そして電動化技術の強化といった要素は、今後のBMW全体のデザイン戦略や商品設計にも深く関わる指針といえるでしょう。
つまり、今回のLCIは7シリーズの刷新にとどまらず、BMWの未来像を先取りするモデルとも位置付けられます。
また、フルモデルチェンジではなく中期改良でありながらも、7シリーズの存在感や技術水準は確実にアップデートされており、競合他社との比較でも優位性を保つ内容となっています。
特に高級車市場では、快適性と先進性の両立がますます重要視される中、今回のLCIはその期待に応える内容です。
日本市場への導入時期としては、2027年初頭が有力と考えられます。政府のEV支援政策や、都市部での環境規制強化の流れを受け、i7やPHEVモデルの人気が高まる可能性があります。
新型7シリーズは、従来のファンだけでなく、環境意識の高い新しいユーザー層にも訴求する存在になるでしょう。
Reference:autoevolution.com
よくある質問(FAQ)
Q1. BMW 7シリーズのLCIとは何ですか?
LCIとは「ライフサイクル・インパルス」の略で、BMW独自の中期改良を意味します。デザインや装備、テクノロジーを見直すことで、現行モデルを最新水準に引き上げます。
Q2. 2027年型7シリーズはどのような外装変更がありますか?
Neue Klasseのデザイン言語を反映し、スプリットヘッドライトの進化、再設計されたキドニーグリル、そしてフル幅のテールライトバーが採用される見込みです。
Q3. 新しいiDrive Xとはどんなシステムですか?
iDrive Xは17.9インチの大型スクリーンと、パノラミックビジョンと呼ばれる投影型表示システムを備えた次世代インフォテインメントです。9つの情報タイルで構成されています。
Q4. パワートレインに変更はありますか?
B58/B57/S68エンジンが継続使用される予定で、48VマイルドハイブリッドやPHEV仕様も拡充。i7では電動化技術の進化も見込まれています。
Q5. 日本での発売はいつ頃になりますか?
BMW 7シリーズ LCIモデルの生産は2026年7月から開始される予定で、日本市場では2027年初頭の導入が有力と見られています。
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