BMWの高性能スポーツセダン「M5」は、世界中の自動車ファンから注目されるモデルだ。
2024年に発表された最新型「M5 G90」は、パワフルなV8ツインターボエンジンに電動モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHEV)システムを搭載し、史上最もハイパワーなM5となった。
しかし、その一方で大きな問題として浮上したのが「重量の増加」である。
車両重量は前世代モデルよりも大幅に重くなり、特にSNSでは「重すぎるM5」として批判が相次いだ。
これを受け、BMW M社は今後の新型車に関する情報公開のあり方を見直す方針を示している。
本記事では、M5 G90の重量問題の背景やBMWの対応、さらには走行性能への影響について詳しく解説する。
- M5 G90はPHEV化で大幅に重量増加:電動モーターとバッテリー搭載により、車重が約2,445kgになりSNSでは「重い」との批判が広がった
- BMWは今後、車重の公表を控える方針:ネガティブな印象を避けるため、走行性能が評価されるまで重量を公表しない戦略へ
- 高性能セダンの未来はさらなる電動化へ:ライバル車も電動化が進む中、BMWはフルEV化を視野に入れ、重量増対策が今後の課題となる
BMW M5 G90の登場と重量問題とは?

BMWの高性能スポーツセダン「M5」は、最新モデル「G90」に進化し、2024年6月に正式発表された。
この第7世代M5は、従来のV8ツインターボエンジンを継承しながらも、電動モーターを組み込んだプラグインハイブリッド(PHEV)システムを採用。
これにより、システム合計出力は約727馬力に達し、驚異的なパフォーマンスを実現している。
しかし、この電動化によってM5 G90の重量は大幅に増加した。
車両重量はセダンモデルで5,390ポンド(約2,445kg)、ツーリング(ワゴン)モデルでは5,530ポンド(約2,508kg)に達し、前世代F90型M5の約1,900kgと比較すると500kg以上の増加となる。
この数値が公表されると、SNSや自動車ファンの間で「M5が重くなりすぎた」との批判が噴出した。
BMW M社の責任者であるフランク・ファン・ミール氏は、この問題について
「SNSでは重量の数値ばかりが注目され、車の実際の走行性能が評価される前にネガティブな印象が広まってしまった」
と述べている。
こうした反応を受け、BMWは今後の新型車発表時に重量データの公表タイミングを慎重に検討するとしている。
BMW M5 G90の重量が「重い」と言われる理由
プラグインハイブリッド化による重量増加
BMW M5 G90が「重い」と言われる最大の理由は、プラグインハイブリッド(PHEV)システムの採用にある。
従来の4.4リッターV8ツインターボエンジンに加え、電動モーターと18.6kWhのバッテリーが搭載されたことで、大幅な重量増加が発生した。
その結果、M5 G90の車両重量は**5,390ポンド(約2,445kg)**に達している。
特にバッテリーは車両の床下に配置されているため、低重心化には貢献しているが、重量そのものを削減することはできなかった。
また、PHEVシステムを搭載することで補機類も増え、さらなる重量増につながっている。
高剛性ボディと安全基準の影響
M5 G90は、走行性能と安全性を両立させるために、従来以上に剛性を高めた設計が採用されている。
ボディの補強材や新しい衝突安全技術の導入により、構造自体が強化されているが、それによって車両重量も増加している。
加えて、現代の高性能車は安全基準を満たすために衝突試験対策やアクティブセーフティ技術を搭載する必要があり、それらも重量増の要因となっている。
車重公表のタイミングによる影響
BMWはM5 G90の重量を比較的早い段階で公表したが、それが逆に批判を集める結果となった。
発売前に「5,390ポンド」という数値だけが独り歩きし、実際の走行性能を体感する前に「重すぎる」という印象が広まってしまったのだ。
M社のフランク・ファン・ミール氏も「次回からは重量をすぐに公表しない」とコメントしており、情報公開のタイミングがユーザーの受け止め方に与える影響の大きさが浮き彫りとなった。
BMWが車重公表を控える理由とその背景
重量公表が招いた批判
BMWはM5 G90の発表時に、車両重量を5,390ポンド(約2,445kg)と早い段階で公表した。
しかし、この数値が一人歩きし、SNSや自動車ファンの間で「重すぎる」という批判が広がった。
BMW M社のフランク・ファン・ミール氏も「重量ばかりが話題になり、実際の走行性能を体感する前に否定的な意見が先行してしまった」と述べている。
他メーカーの対応との違い
近年、他の高性能車メーカーはハイブリッド化に伴う重量増加への批判を避けるため、車重を公表するタイミングを遅らせる傾向にある。
BMWはM5 G90でこの点を軽視した結果、発売前からネガティブな印象が広がった。
これを受け、同社も今後の新型車では車重の公表を市場投入直前まで控える方針を示している。
走行性能での評価を優先
BMWは、数値ではなく実際の走りを体験してもらうことで、重量増加のデメリットよりもパフォーマンスの向上を感じてもらう狙いがある。
M5 G90も試乗後の評価は好意的なものが増えており、BMWとしては今後「スペック先行ではなく、実際の走行評価を優先する」という戦略を取ると考えられる。
BMW M5 G90の走行性能と重量の影響
加速性能とパワーの向上
M5 G90は、4.4リッターV8ツインターボエンジンに電動モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHEV)システムを採用し、システム合計727馬力、1,000Nmのトルクを発生する。
この圧倒的なパワーにより、0-100km/h加速は3.5秒と、前世代のM5と同等のスプリント性能を実現している。
重量が増加したにもかかわらず、加速力には大きな影響は見られない。
ハンドリングと重量バランス
車両重量の増加により、ハンドリング性能への影響が懸念されたが、BMWは50:50の重量配分を維持し、低重心化を実現している。
また、専用開発されたシャシーや電子制御ダンパーの採用により、俊敏なコーナリング性能を確保。
実際の試乗レビューでは、「重量を感じさせないハンドリング」との評価も多い。
制動性能への影響
重量増加に伴い、制動性能も重要なポイントとなる。
M5 G90は強化ブレーキシステムと回生ブレーキを組み合わせ、高い制動力を確保。
特にサーキット走行では重量の影響が出やすいが、BMWはブレーキ性能を向上させることで、安心感のある減速を実現している。
実際の走行評価は?
M5 G90はスペック上では「重い」と言われるものの、試乗後の評価は概ね好評だ。
BMWはハンドリングとパワーを最適化し、電動化によるデメリットを最小限に抑えている。
実際の走行性能では、単なる「重い車」ではなく、BMWらしいダイナミックな走りを維持していると言える。
M5 G90の重量と未来の展望
BMWの今後の方向性
BMWはMモデルの電動化をさらに進める方針を示しており、今後のM5はフルEV化の可能性もある。
現時点ではPHEVを選択したが、完全電動化されればさらに重量が増すことが考えられる。
そのため、軽量素材の活用やバッテリー技術の進化が重要な課題となる。
高性能セダンの未来
今後のスポーツセダン市場は、パワーだけでなく効率性や環境性能も重視される時代に突入する。
M5 G90はその先駆けとも言える存在であり、BMWは「重量を感じさせないドライビング体験」を追求し続けるだろう。
Reference:motor1.com
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