BMWは、数々のレーシングカーを通じてパフォーマンスカーの頂点に君臨してきました。その中でも、M2シリーズはプロからアマチュアまで幅広い層に支持されるカスタマー向けレーシングカーとして人気です。今回は、2018年に登場した「BMW M2 CS レーシング(F87)」と、2026年シーズンのデビューを目指している「BMW M2 レーシング(G87)」の違いに焦点を当て、両モデルの進化と特徴を比較していきます。
1. エンジンとパフォーマンスの進化
M2 レーシング G87はS58エンジンを搭載し、F87よりもパワーが向上
2. 車体設計と空力性能の向上
G87はシャシー強化や空力デザインの改善により、F87よりも安定性とコーナリング性能が優れる
3. 洗練されたドライビング体験
G87はよりスムーズで正確な操作感、F87よりさらに洗練される
M2 CS レーシング F87の概要
M2 CS レーシング(F87)は、2018年にBMWがリリースしたM2のレーシングバージョンです。
このモデルは、市販車M2 CSをベースに、主にクラブレーシングやカスタマーレース向けに調整された車両です。
エンジンには、M4にも搭載されたS55型直列6気筒ツインターボが採用され、最高出力は約450馬力。
規制によってパワー調整が行われる場合もありますが、レーシングカーとして十分なパフォーマンスを発揮します。
F87の車両重量は1,500kg前後で、軽量化が施されつつも頑丈なシャシーを備え、レースに必要な安定性を提供します。
また、空力性能を考慮したリアウィングやディフューザーなどの外装パーツも装備され、サーキットでの優れたコーナリング性能を実現しています。
M2 レーシング G87の概要
M2 レーシング G87は、2026年に登場予定の最新レーシングカーで、BMWのM2シリーズの進化形です。
市販のM2 G87をベースに、より高い競技性能を持つカスタマーレーシングカーとして開発されています。
G87の最大の特徴は、エンジンが新型のS58型直列6気筒ツインターボにアップグレードされ、480馬力を発揮することです。
これにより、G87はさらなるパワーとトルクを得ており、サーキットでの加速性能もF87を上回ると予想されています。
G87のデザインは、空力性能がさらに向上しています。
特にワイドなフェンダーや新設計のエアロパーツにより、ダウンフォースが強化されており、コーナリング性能がさらに高まっています。
これにより、高速走行時の安定性や操作性が大きく向上しています。
エンジンとパフォーマンスの違い
F87にはS55型エンジン、G87にはS58型エンジンがそれぞれ搭載されています。
S55型はF87で約450馬力を発揮しましたが、G87のS58型エンジンは市販車で480馬力とさらに強力です。
しかし、レーシングカーではレギュレーションによりエンジン出力が調整されるため、実際のサーキットでのパフォーマンスは必ずしもエンジンの最大出力だけでは測れません。
また、G87では最新のエンジン制御技術が採用されており、トルクの出力バンドや応答性が向上。
これにより、G87はよりスムーズかつ迅速な加速を実現し、特にカーブが多いサーキットでのパフォーマンスが強化されています。
車体設計とシャシーの違い
F87のシャシーは既に高い評価を得ていましたが、G87ではさらに剛性が強化され、特にコーナリング時の安定性が大幅に向上しました。
新型のサスペンションシステムも導入されており、より正確なハンドリングが可能になっています。
エアロパーツもG87の進化点の一つです。
フロントスプリッター、リアディフューザー、ワイドフェンダーといった装備が改良され、空力効率が高まっています。
これにより、ダウンフォースが強化され、特に高速域での安定性が向上しました。
F87では、これらの空力パーツはあくまでベースとしての機能を果たしていましたが、G87ではさらに効率的な設計が施されています。
運転体験の違い
F87は非常にパワフルで、レーシングカー特有の荒々しさを持ちながらも、非常にダイレクトなフィードバックが得られると評されていました。
一方で、G87はさらに洗練されたドライビングフィールを提供します。
最新のトラクションコントロールや安定性制御システムが搭載されており、特に高い速度でのコーナリング性能が強化されています。
また、G87では新たなドライバー支援システムも導入され、より安全で高精度な運転が可能です。
これにより、ドライバーはレース中に車両の限界を引き出しやすくなり、より一層ダイナミックな運転体験が提供されます。
デザインと見た目の違い
F87はクラシックなレーシングカーのデザインが採用されており、シンプルながらも力強い印象を与えていました。
一方で、G87は最新のエルクーニヒ(カモフラージュ)デザインが施されており、より近代的でアグレッシブな印象を与えます。
特にG87のリバリー(車体の塗装デザイン)は、レーシングカーとしての強さと速さを象徴するデザインが採用され、空力性能をさらに引き立たせる役割も果たしています。
これにより、単なる装飾にとどまらず、実用的な側面も兼ね備えたデザインになっています。
コストとカスタマーレーシングカーとしての位置づけ
両モデルのもう一つの違いは、コストやターゲットとするユーザー層です。
F87は、エントリーレベルのカスタマーレーシングカーとして設計され、比較的手頃な価格帯で提供されていました。
G87もまた、カスタマーレーシング向けのモデルですが、より高性能な装備が施されているため、価格は若干上昇すると予想されます。
ただし、G87は最新技術を多く採用しているため、コストパフォーマンスに優れていると言えるでしょう。
特に、レースチームやアマチュアレーサーにとっては、G87の性能が優れた投資となる可能性が高いです。
M2 レーシング G87はM2 CS レーシング F87の正常進化版
BMW M2 CS レーシング F87とM2 レーシング G87は、それぞれ異なる時代のレーシングカーとして開発されましたが、どちらも高い競技性能を誇ります。
F87はクラシックなレーシングカーの設計に基づき、力強いパフォーマンスを提供してきました。
一方で、G87は新しい技術や設計を取り入れ、さらに洗練されたドライビング体験を提供します。
最終的には、どちらのモデルがより優れているかは使用目的やドライバーの好みによるところが大きいですが、最新の技術とパフォーマンスを求めるのであれば、間違いなくG87が最適な選択肢となるでしょう。
Reference:bimmertoday.de