トヨタ自動車はニュルブルクリンクを模したテストコースを日本に作ったことを公表しました。

ニュルブルクリンクを日本に作る


こちらの記事で書かれているようにトヨタ自動車は愛知県にニュルブルクリンクを模したテストコースを開設したことを発表しました。

このテストコースは約650.8ヘクタールの土地に建設を進めてきた新たな研究開発施設「テクニカルセンター・シモヤマ」と呼ばれているもの。

約650ヘクタールと言ってもピンときませんが東京ドームの大きさに換算すると約140個分という広大な敷地になりますので、かなり大規模なテストコースだということが分かります。

現在のトヨタ自動車のメインのテストコースは山梨県裾野市にある東富士研究所の敷地面積が約580ヘクタール(東京ドーム124個分)ということなので、日本国内における最大規模のテストコースと開発センターを作ったことになります。

トヨタ自動車が日本にニュルブルクリンクを作った理由

私は今から15年前ぐらいにトヨタ自動車の技術部門と一緒に仕事をしていた時期があります。

その時から新しいテストコースを豊田市近郊に作る計画があることを聞いていました。

理由は簡単で東富士研究所がトヨタ自動車本社から遠いからです。

仕事で東富士研究所にも実際に行きテストコースを走った経験がありますが東富士研究所のテストコースは広大な敷地にオーバルコースやワインディングロードがあります。

また見上げると富士山が真上にそびえ立つ感じがして車好きにはたまらない場所であることは私が保証します。

ちなみに、トヨタ自動車のテストコースを走行するにはライセンスが必要。

当時は三段階+1の四段階の級がありその級によって走行できる場所、速度が指定されます。

+1というのは超エキスパートテストドライバーだけが取得できるライセンスでトヨタ自動車内でも10人とか20人とかぐらいしか所持していないと聞いた覚えがあります。

結局、トヨタ自動車が新しいテストコースを作った理由はトヨタ自動車本社からより近い場所でテストできる環境を整えることで技術開発の効率化を狙ったものです。

テストコースがニュルブルクリンクを模倣する理由

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先日発売された新型スープラ A90がニュルブルクリンクで開発テストが行われたことは有名ですが、世界中の車の多くがニュルブルクリンクで開発テストが行われています。

これはニュルブルクリンクというサーキットの大半が一般道をクローズした状態であり、過酷な一般道での走行テストの多くをニュルブルクリンクで一度にテストできるからです。

つまり、逆言えば一般道によくある状況ををクローズした状態でテストができれば良い訳で、今回のテクニカルセンター・シモヤマの一部のテストコースはそのような状態にする必要がある。

であれば、山間部に作ることを利点にニュルブルクリンクの一部も模倣しながらより一般道に近いシチュエーションのコースを作ったのがテクニカルセンター・シモヤマということになります。

つまり、あらゆる一般道のシチュエーションを再現するために一番効率が良かったのがニュルブルクリンクでり、新しいテストコースを作るために参考にさせてもらった、ということになります。

現在は違う仕事をしているのでトヨタ自動車と一緒に仕事をする機会はなくなりましたが、もし機会があれば新しいテクニカルセンター・シモヤマのテストコースを走ってみたいものです。

ただし、助手席ですが・・・。