社長の仕事 値上げ

先日知人の紹介でB to Bでオフィス用品の販売をしている社長さんとお会いしました。要は営業に来られた訳ですが、「笑えない」ですけど「残念」な話があったので、お伝えします。

売上は増えているけど利益が出ない

その社長さんは元大手のオフィス用品販売会社のご出身で現在は独立して数年経過されている40歳台前半の社長さんです。もちろん、知人の紹介なので売り込まれること前提でお会いしました。

定番のコピー機(複合機)の提案や携帯電話のキャリアの切替などのコスト削減をメインに提案されましたが、価格的にまったく優位性が無かったので、今回はご縁が無かったということで商談は終了。

その後、雑談含めて情報交換をしていたんですが、その社長さんがおっしゃった一言が気になりました。

「売上は増えているんですが利益が出ないんですよねえ」

私はその一言を聞いて内心笑いそうになったのですが、ここはぐっと押さえて頷いて話を聞いていました。なぜ、私が笑いそうになったのか?

価格で訴求した人は価格にしか反応しない

社長の仕事 値上げ

その社長さんが持参したチラシには「激安」「最安値」など「安さ」を全面に出したチラシばかり。価格に釣られてお客さんは価格以外に興味がないにで、付加価値を訴えても反応しない。

当たり前のことなんですが、売ることをメインに考えていると意外と忘れてしまう視点です。現にその社長から提示された価格は自社の価格に僅かに届かない程度ですから、通常の管理が甘い会社なら簡単に切り替えしてもらえるレベルでした。

それはその会社の努力の結果なので良いのですが、このままだと増収減益な状態は変わらず、少ない利益もさらに減少していくのは必然です。なぜなら、価格に反応した顧客はさらなる値下げをしないと購入しないですから。

では売上を増やしながら利益率も向上させる方法は?

結論から言えば、そんな方法はありません。身も蓋もない話ですがそれが現実です。しかし、売上は減少しますが利益率、利益額を増やす方法はあります。それは「顧客の選別」です。

・価格にしか反応しない顧客
・値引きしか要求しない顧客
・少額取引でもクレームが多い顧客

このような顧客とは一切取引を止めるのです。そんなことをしたら売上が大幅に減少する、と思いますよね?確かに一時的には減少しますが、最終的には利益率、利益額共に売上が減少する前よりも増えます。

簡単な算数の問題です。

社長の仕事 値上げ

ご覧のように極端な例ですが、販売数=客数と考えてもらうと分かりやすいと思います。こうすることによって、客数が減れば必然的にクレームの発生率が減りますので、空いた時間でさらに営業することが可能になります。

ライバル会社よりも高く売るには?

そんなことは分かっている。しかし、ライバル会社よりも安く売らなければ販売出来ないから困っているんですよ、という社長さんもいらっしゃると思います。先程例に上げたオフィス用品なんて激戦ですよね。どうすればその激戦の中で高く売る(値上げする)ことが出来るのか?

方法はいくつかありますが、ざっくり上げると以下の通りです。

1.ライバルがいない市場で販売する
2.あなたの会社と取引するメリットを与える
3.紹介客を増やす

1のライバルがいない市場なんてどこにある?と思いますが探せばたくさんあるハズです。例えば、一般企業メインであれば、医療施設などはライバルが少ないかもしれません。または、大手企業メインならば中小企業メインに切り替えるのも1つに方法です。

2のメリットについても同様。例えば、あなたの会社の取引先だけで懇親会を開くことで、ビジネスマッチングが行えるかもしれません。もっと簡単な方法であれば、あなたの取引先の商品を代わりに販売するのも効果的。この際は手数料は取っては行けません。簡単に言えば、紹介ですね。

3は意外と苦手な人が多いですが、取引先にお客さんを紹介してくれるように頼むこと。頼まないとお客さんは紹介してくれません。必要が無い、そんなことする理由に気づかないので。

そうすると、今までリーチしたことがないお客さんや業界にリーチ出来るかもしれません。そして、1番のメリットは価格訴求に頼らなくても販売が可能です。もちろん、市場価格とかけ離れた価格であればダメですが、相場並であれば成約する可能性は高い。

成約しないと紹介者の顔を潰すことになる、関係性にもよりますが紹介販売とはそういう思考の上で成約につながっていくもの。これはクレームも同様。よほどひどいことをしない限り、クレームの数は少ないハズです。

ただし、紹介先で大きなクレームになった場合は、紹介元の会社でも取引が中止になるリスクもあるのでご注意ください。

【参考図書】